唐突に発症してしまった、とあるジャンルアレルギーの話
異世界転生系、最近は少し下火になりつつありますが、それでもまだまだ人気のジャンルですよね。
筆者も好きです。色々と読んでいます。
しかし、最近になって、唐突に異世界転生ものの中のとあるジャンルに対して、不快感を覚えるようになってしまいました。
それは、原作ありの世界に転生/憑依した、というジャンルです。
まぁ、要は、小説や漫画、アニメやゲームの世界に入っちゃったよ、という奴ですね。
主人公は、虚構世界の友人キャラや悪役、はたまた名も無きモブになって、影に日向にせっせと活動し、まぁなんだかんだ成功を収めたりするのがテンプレートな流れでしょうか。
そんでもって、本来なら原作主人公に惚れる筈だったヒロインを、結果として横取りする形になっちゃったり。言い方は悪いですけども。
主人公格になってしまった、というパターンは見ない気がしますね。
さて、そんな原作ありの世界の場合、原作知識を活用して彼らは活躍したりする訳です。
まぁ、色々と知ってますからね。
これから起こる事件、過去の真相、登場人物たちの悩みやその解決方法など、知っているのに無視できるかって気持ちでしょう。
気持ちは分からんでもない。
見てみぬ振りが出来ないのは、一般的な道徳心があれば、誰でも大なり小なり抱く気持ちだ。
悪役転生で、自身の破滅を回避しようとするのも、確かに分かる。
誰しも、幸せになりたい筈だし。
しかし、である。
そんな原作改変、原作ブレイクをする事に、対立する設定が大抵の主人公には付与されている。
原作の事が大好きだ、という設定だ。
まぁ、ある種、当然の設定だ。
微に入り細を穿つような原作知識を無理なく持たせるためには、必要な属性である。
彼らは、原作を愛しているからこそ、事細かに記憶する程に読み返しては、資料集などにしか書かれていない裏設定までも網羅しているのだ。
重過ぎる愛だ。
色々と読み込む方だと自分は思っているが、しかしそこまでした作品は、一つたりともないな、と敗北感を抱く筆者である。
まぁ、それはどうでもいいが。
そんな病的な愛情を持った彼らが、果たして原作改変を良しとするのだろうか。
漫画や小説が、アニメなどになった際、アニオリ要素を加えてしまって度々批判が飛び交うオタク世界を見ていると、絶対にあり得ないと思えてしまう。
彼らは、原作に忠実に世界が広がる事を望んでいるのだ。
故に、彼らが原作を歪めるような行動をする事に、近頃の筆者は不快感を覚えるようになってしまった。
ヒロインの辛い過去を帳消しにする?
その結果、未来にはお前を魅了したヒロインは消えてしまうぞ?
未来に発生する問題を、事前解決する?
その結果、世は何事もなく、お前をワクワクドキドキさせた事件は起きないぞ?
悪役として破滅する運命を覆す?
その結果、お前が愛した主人公たちの関係性が、発展しなくなるかもしれないぞ?
お前らの持っていた病的な愛情は、そんな簡単に覆して良いものなのか?
百%訪れる悲劇さえも受け入れて、それでも原作を原作のままに進める事が、お前らの愛ではないのか?
自身の苦悩や破滅を、甘んじて受け入れるべきではないのか?
それこそが、原作愛なのではないのか?
そんな事をツラツラと思い付いてしまい、最近は素直に楽しめなくなってしまったのです。
自分って馬鹿だなー、と思う今日この頃。
愛の形なんて、人それぞれなんだし、ぶっちゃけそれでも良いんだよ、って言われてしまえばそれまでな話なんですけどね。