(2)最近のネコって名乗るんですか!?
前回のあらすじ!
何の変哲も無い人間、higureの元に、突如謎の白い生物が襲来! この地球を支配するためにやって来たと言っている明らかに危ない何かに、家に住まわせろと言われた!
『ここが貴様の家か……。』
一度は拒否したが、結局家に入れてしまった……。自分の家のリビングを浮遊するこいつは、部屋の様子をまじまじと確認しているようだ。
「えぇっとぉ……あの、僕の家で何するの? 泊めるだけで良いの?」
眉間に皺が寄るのを感じる。指と指を突き合わせて、少し遠慮気味で聞いてみた。また名乗られでもしたら、本当に脳が破裂する。
『いや、幾ら貴様等より遥か高みの高位生命体とて、所詮は生物。何も飲まず食わずで永遠と生きられる訳では無い。私の主食は……』
「主食は……?」
『人間だ。貴様には食料にもなってもらう。』
「えぇぇぇぇぇ〜!? 嫌だよ! え!? そこで『君になら……良いよ? 僕を食べて……(ハート)』とはならねえだろ!! は? え? どゆこと??」
何だこいつ! 急に目の前に降ってきて家に押し掛けてきたかと思ったら、今度は食わせろ!? 正気か、この生物!?
『お、落ち着け、取り敢えず落ち着くのだ。』
「落ち着けないだろ! 例えば殺人鬼に捕まったとして『今から殺しま〜す』『あっ分かりました〜、どうぞ〜』とはならねえだろ!!」
『だから、殺すなんて言っていないであろうが! 嘗めるな、人間よ──。私は人間の髪一本で一ヶ月は腹が減らん。まして人間の切った爪ともなれば五ヶ月だ。安心しろ、何も貴様の体全てを食い尽くすとは言っておらんだろう。』
どうにも納得出来ん……。僕とこいつとの距離は見た目の距離以上に離れている。殺らなきゃ……殺られる。
『貴様には私をこの家に住まわせ、この家の管理をする責務があるからな。貴様を食う訳にはいかぬ。貴様は今日から私の下僕だ。良いな?』
「良かねえよ!! しかもそんな責務背負った覚え無えよ! ……というか、どちらかと言えば君の方がペットっぽい見た目してるけど──」
『ええい、うるさいぞ不敬が! おすわり! お手!』
「手無いじゃん!」
『うるさ〜い! というか、私の名前はマカロニ・チーズ・ファクトリー・オブ・リ・ローデッド・サグラダ・ゲノム・アン・イグザム・ローグアウト・バッド・ガブリエル・ドンドン・パフパフ・リチュームグリス・タングステン・イッテルビウム・A・Z・ネクロノミコン・コルチゾール Σ:268α型 第一号と言っておろうが!〔君〕じゃない。名乗ってやっているのだ、確りマカロニ・チーズ・ファクトリー・オブ・リ・ローデッド・サグラダ・ゲノム・アン・イグザム・ローグアウト・バッド・ガブリエル・ドンドン・パフパフ・リチュームグリス・タングステン・イッテルビウム・A・Z・ネクロノミコン・コルチゾール Σ:268α型 第一号と呼べ!』
「……二度も名乗るなぁっ!! も〜良い! 良く分かんないから、君は『ネコ一号』ね!」
『なあんなのだ、そのネーミングは!? ネクロノミコン・コルチゾールの部分からネコなのか!? 私は猫では無い! 確かに可愛いが……断じて違う!』
「あっ、猫好きなんだ……。」
ジーッとネコ一号を見詰めると、ヤツは黙り込んだ。少し頬が赤い気がする。頬がどこだか分からないけど。
『ん゛ん゛! と、兎に角だな……私にはマカロニ・チーズ・ファクトリー・オブ──』
「何度も何度も詠唱するな! 卍解でもする気か!?」
何とか詠唱を阻止したが、もう既に僕のライフはゼロだ……。
つっ込むのに疲れるなんて、迚も久し振りな気がする。そうでもして阻止しなければ、脳が破裂はしないにしても、本当に麻痺程度なら起こりそうではある。
名前……? 何度も何度も訂正される……そして家に泊めてもらいたい……。
「あっ! 良し、じゃあこうしよう。僕が君を『ネコ一号』と呼ぶことを許可し、もう二度と本名を僕に名乗らないと誓ってくれるのなら、僕の家に泊めてあげよう。若し許可してくれないのなら、今直ぐ僕は保健所か警察署か科学実験所にでも電話して君を引き取ってもらう。さあ、どうする?」
『なッ!! ぐ、ぐぬぬ……。くそう……幾ら私が高位生命体で人間より遥かに強いとしても、私の存在が公表でもされたら、私の真の目的が……。』
「じゃあ、あと十秒の間に答えて下さ〜い。タイムアップで即電話しま〜す。十……九……」
『ちょ、ちょっと待て! くそお……この高位生命体の私が、こんな何の変哲も無い人間に屈する等……。』
「八……七……」
『私の名前は大切だ……だがこの惑星を支配することも大切だ……!!』
何でその二つが同等の価値なのかがイマイチ良く分からない。
別にメチャクチャ馬鹿にした名前でも無いし、第一ただ略しただけなのに、そんなに悩むのか……。
「六……五……四……」
『くそうっ……くそうっ!! 私の計画はここで頓挫してしまうのか!? 嫌だ!』
そんなに!? そんなに「ネコ一号」って気に入らなかった!? 猫好きなんじゃないの!? 自分じゃ気付かないだけで、僕そんなにネーミングセンス壊滅的……?
「三……」
『くッ……!』
「二……」
『ぐぐぐ……!』
「一──」
『ぐあ──────ッ! 分かった、分かった! 許可する、私を〔ネコ一号〕と呼ぶことを許可する──ッ!』
「名乗らないことは?」
『誓うッ! もう貴様には名乗らんッ! というか、どうせ何度名乗っても覚えられないなら名乗る必要は無いことに気付いたッ!』
「……良し、契約完了。約束だからね、僕も許可するよ、君がここに住まうこと。ああ、でも、家主は僕だから、マナーは守ってもらうよ?」
『分かった。これから宜しく頼んだぞ、人間よ──。』
「higureね。こちらこそ宜しく、ネコ一号。」
ネコ一号が手を差し出してくる。僕もそれに応じて、その手を握って固く握手をした。
「って……手ぇぇぇぇぇ!?」
さっきまで生えていなかった手が、生えている……!? しかも、それと確り握手しちゃってる!? 完全に形が人間の手の形だ!! しかもちょっと綺麗な手の形してる……。
『嘗めるなよ、人間──』
「higureです。」
『私は高位生命体なのだ。体の形等、自由自在に変えられる。貴様等と同じにするな。』
「えぇぇぇぇぇ……。」
うねうねと次々に形を変える尻尾らしき部分。グー、チョキ、パー、グー、チョキ、パー、左右に揺れて、右手が中指、左手が中指で……。
『F〇〇k you.』
「ふざけんなぁぁぁ──ッ!!」
あれ?
「もう一本腕生えてきてるぅぅぅ──ッ!?」
『体全体が不定形に決まっておろう、低脳め。』
こいつと一緒の生活……先が思いやられます。
僕、猫飼ってるんです。名前は「チョコ」って言うんですが、僕だけ「チョコたん」って呼んでます。ちなみに兄上は「チョコくん」、母上は「デブくん」、父上は「チョコ助」って呼んでます。
チョコ、頭バグってそうだな……。
本編ですが、やっと名付けられました『ネコ一号』です。ええ、たまに野蛮な部分が出てしまい申し訳ありませんね、作者の程度が知れます。適当に笑っといてー! 笑わせてもらいます! ハハハ!
僕、丑十八のTwitterをフォローすると作品が投稿されたお知らせが見れる他、何の利益も生まない呟きが見れます。物好きさんは見てみて下さい。
https://twitter.com/higure90350667?s=09