やがて英雄となる男
この話は急に思いついたものでおかしなところがあると思いますが開いてくださりありがとうございます。
大声で笑うのは誰か、その姿は醜悪な人の形なした者だった。
口は顔の半分は裂けているのではないかと思うほど大きく口内は無数の牙が無規則に生えており体はまるで人の皮をはいだかのような見た目だ。
「終わりだ!ブレイヴァー!!」
どこから声を出しているのか謎だがその声は聞くだけで底冷えするような恐ろしい声だ。
しかしこの者もブレイヴァーと呼ばれた者よりは軽傷だが相当な傷を受けており満身創痍の状態だ。
「まだッ…まだ戦えるッ!!だから…動けッ!!動くんだッ!!」
血反吐を吐きながら自分を叱咤するように声を出すがその体はゆうことを聞かないほどボロボロだ。
「ふん!その体で何が出来る!!お前はもう死を待つしか出来ないではないか!」
そう言いいたぶる様に傷口をえぐる。
「うぐ…ぐぁっ!!」
痛みに耐えるように呻く。
「やめてっ!彼だけは見逃してッ!!私はどうなってもいいから!!」
彼の仲間の1人が叫ぶように懇願する。
他に二人いるが意識はあるがすでに身体は麻痺毒で動かないでいた。
「それはダメだっ!…俺はどうなってもいいッ!!だからメアリーだけは!!」
「はっははは!!素晴らしい愛だな、よしこうしよう」
そこで一つ間を開ける。
「二人同時に殺してあげよう」
「私はいたぶるのは好きだが無駄なことはしたくないのでな」
それを聞いたブレイヴァーは絶望が顔をよぎる。
無造作にメアリーと呼ばれた者をブレイヴァーの近くに放り投げ終わりだと言うように一言発す。
「楽しかったぞ」
仲間達はその血に染った手が振り上げられたのを見て死を覚悟して目を瞑る。
しかしブレイヴァーは最後の瞬間まで足掻くと決めたかのように目を見開き睨むように化け物を見つめる。
ついにその拳が振るわれる。
「まだ終わりじゃねぇよ」
その拳を受け止めたのは何か。
その男は黒い髪に血が燃え盛るような真っ赤な目をして化け物の拳を剣で受け止めていた。
「何者だ…貴様?」
「エレイン、約束を守りに来たぞ」
ブレイヴァーはこの者が誰か必死に記憶を探るが思い当たる節は無い。
なぜならばエレインと呼ばれた者しか会ったことがないからだ。
「クシフォス…?」
その者の周りには圧倒的な闘牙の操作により陽炎のように空間が揺れ動いていた。
しかし見た目に反してまるで一般人のような神力しかないなんともチグハグな者だ。
「ふん、どうやって止めたか知らないが私の邪魔をしたことを後悔するがいい」
再び今度は俺に無造作に拳を放つ。
しかしそれは剣で上手い具合に払われ逆にカウンターを放つ。
「ぐっ…」
しかしその傷はすぐ塞がれる。
ブレイヴァー達がつけた傷が残っているのに関わらず。
「貴様っ…ふざけているのか…?」
「逃げてクシフォスッ!!あなたじゃ絶対に勝てない!!」
そう言うには理由がある、生物は少なからずふたつの力がある。
1つは全生物が持っている闘牙、もうひとつは神力、または魔力の三つがある。
闘牙は身体操作、攻撃の原型を作る力で簡単に言えば【力】その物だ。
神力、魔力は神法、魔法に使われる物でこの神法か魔法が使えなければ戦いはそもそも出来ないほど強力だ。
単純に剣に纏わせたりするだけで相手はどんな強固な鎧を着ていてもどちらかが使えなければあっさり切られて死ぬ。
これを前提に考えて欲しい、こんな世界で神力はあるが操作する器官がないとどうなる?
簡単だ、戦えないということだ。
それはどんな動物でも本能的に分かっていることでありそんな者はいずれ死ぬ、そう決まっているのだ。
「神力が使えないじゃないッ!クシフォスじゃ絶対に勝てない!だから逃げてッ!!」
神力が使えなければ先程のように魔力で傷がすぐ塞がるのだ。
俺は静かに答える。
「誰がそう決めた?神か?悪魔か?人か?なら俺がそれを壊そう」
俺は剣が届かない位置から心臓を狙い突きを放つ。
何を感じっとたのか化け物は咄嗟に手で防いでみせた。
その手はまるで内側から爆発するように飛び散るが何事も無かったように新たに生えていく。
「貴様ッ!何をした!!」
まるで理解できないようなものを見る目だ。
「自分で考えろ」
その隙に一気に距離を詰め切り伏せる。
まだ油断をしているためこんな簡単に切れるが本気を出し始めたらまずいだろう。
切り傷は既にくっついており痺れを切らしたのか化け物は魔法を使う
【猛毒の霧】
化け物の全身から吹き出すように霧状の麻痺毒が噴射される。
「まずいっ…それに触れてはダメだ!!」
ブレイヴァーが警告を発するがそんなのをお構い無しに止まっている化け物の首を切る。
しかしそれは首の半分も切られて一瞬動きが止まる。
「ぐっ…しかし麻痺毒は一瞬で回る、私の勝ちだ!!」
化け物の予想に反して一切動きは止まらずその一瞬でも致命的で頭に剣を差し込まれさらに切られる。
「終わりだ」
もう聞こえているのか分からない化け物の頭部を完全に潰す。
流石にここまでやればいくら再生すると言っても死に絶える。
「うそ…勝っちゃった…」
メアリーが声を発す。
「少し触るぞ」
俺はエレインに近寄り闘牙で免疫力に【力】を与える。
30秒程たちある程度痺れが取れたようだ。
俺は他のものにも同様の事をやり念の為周りを警戒しながら治るのを待つ。
10分程で嘘のように痺れが取れまだ動ける方のメアリーが全員を癒す。
しばらくの沈黙がありエレインが口を開く。
「クシフォス、どうしてここに?」
その表情は驚きと困惑がありありと浮かんでおり声も不安そうだ。
「約束を守るためだ、俺は1度も嘘をつかなかっただろう?」
「そうだけど…それじゃあの力は何?どうして神法を使わずに化け物を殺せれたの?」
「簡単だ闘牙は【力】の塊だろう?その力を変質させ切断の【力】にしたんだ」
「そんなことも出来るんだ…ありがとう助けてくれて」
そう抱きついてくれた。
「あー、水を指すようで悪いがお前は誰なんだ?」
ブレイヴァーがすまなそうに聞く。
「俺はクシフォス、エレインの幼地味で同じ村出身だ」
実は今この瞬間にも暴れだしそうな感情が渦巻いている。
なぜかと言うと闘牙は【力】その物だから闘争心が非常に掻き立てられる、誰かと一緒に居ればその者に被害が及ぶかもしれないそうなる前に離れなければ。
「機会があればまた会うだろう、じゃあな」
エレインを離れさせそのまま去ろうとした時。
「まってッ!!あなたの約束だけ守って私の約束は守らないの!?」
その言葉に息を飲むが俺は拒絶するしかない
「すまないな、闘牙は闘争心を非常に掻き立てられる、俺と一緒に居れば危険だ」
「それでもいいから私もついて行くわ」
周りは驚愕の表情だ。
しかしエレインのその目は硬い決意を抱いていた。
この目は何がなんでもその通りにする目だ。
「っダメだ、着いてくるな」
俺は早足にその場を離れようとする。
しかし腕を捕まる。
「離せっ!」
「あなたならすぐ振り解けるでしょう?それに」
その通りだ。
「そんな顔の貴方をほっとけるわけないじゃい」
俺はその言葉に立ち止まる。
「大丈夫、一緒に行こう?」
「っ…勝手にしろ」
その瞬間エレインは笑顔になり手を解きブレイヴァー達に一言言う。
「そういうわけですのでパーティーは抜けさせてもらいます、すみません」
「あぁ全然構わないぞ、頑張れよ」
エレインはその言葉を背に私の横に来る。
「後であなたに何があったかを聞かせて欲しいな」
「…わかった」
その後ろ姿は幸せに包まれていた。
後に勇者と協力し、魔王を打ち倒した英雄としてクシフォスは語り継がれる。
最後までお読みいただきありがとうございました、良ければ感想をどうぞよろしくお願いいたします。