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僕と君の川  作者: コトコト
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一話&二話

初めましてコトコトです。

今回は名前だけでも覚えていただけると幸いです。楽しんでいただければと思います。

プロローグ


声が聞こえる。

もう聞きたくない声が

もう見たくない映像が頭によぎる。

黒い髪の少年がたくさんの大人に刃物を持って追いかけられるそんな映像が頭によぎる。

容赦なく少年の背中を切る。少年は声一つあげず涙も流さずただただ走る。幼くして叫んでも助けを求めても誰も助けてくれないことを知ってしまったからだ。

だからって何も感じないわけじゃない。怒っているのは顔を見ればすぐわかった。

森を抜け、目の前に見えるのは崖であった。

「追い詰めだぞ!」

「恨むなら黒い髪に生まれたことを恨むんだな!」

あとな達がそう言うと、刃物を構えて少年へ一歩ずつ近づく。

少年は後ろへ少しずつ下がるものの、もう下がれなくなるまでは時間の問題だ。少年は確認するように崖の下を見て、覚悟を決めたのか崖の方へ向いた。

「な、なんだ?」

大人たちがうろたえていると顔だけ大人たちの方へ向いてこう言った。

「ばーか」

そう言って崖を飛び降りた。大人たちは突然の行動で時が止まったかのように動かなかったがその内の一人が動き出した。

その一人が崖の下を見ると

「お、おい崖の下は川だ!逃げられたんだ!!」

そう叫んだ瞬間、周りの空気がどよめいた。

だが、それも数分で止まり一人の大人がこう言った。

「あの怪我だ。助かるわけねぇよ!」

それを聞いた大人たちも、「そうだ!」「助かるわけねぇ!」

そう言って何事も無かったのように戻って行った。


一話 天使に選ばれたお嬢様


たくさんの木々に囲まれてそびえ立っているお屋敷に一人の少女とたくさんのメイドが住んでいる。

季節は冬から春への移り変わりの時期、桜がさき始めた時期である。日が登ったばっかでひんやりと冷える風が吹く。

コンコン

「お嬢様、おはようございます」

そう言うとメイドが二人、部屋にに入ってくる。一人はカーテンを開けもう一人はお嬢様と呼ぼれた少女を起こす。

「お嬢様朝でございます。起きてくださいまし」

メイドが少女の体を揺らす。

「ぅん…もう朝なの?」

少女がそう言って目を開ける。金色の髪に金色の瞳を持つ少女・ルアーナは眠そうにあくびをするとベットから降りて両手を上げた。

「では……」

そういったメイドはルアーナの服をぬがし新しい服に着替えさせる。その間にルアーナの髪を整えたりとメイド二人は無駄なく動いている。着替え終わった後はそのまま食堂に向かった。

「今日の食事は………」

メイドの一人が食事のメニューを呪文の如く言うと、

「そう、今日も美味しそうで何よりだわ」

毎日欠かさず行われる会話である。眠そうな顔をしながらパンを取り食事を始める。周りにはたくさんのメイドがいるなか真ん中で食事をとるルアーナの横に料理人が近づいてきた。

「どうでしょう?お味の方は……」

「美味しいわ料理長、これからも頼むわね」

それを聞くと気味の悪い笑顔をして戻っていく。これも普段から欠かさず行われることである。

食事を終えるとメイドを二人連れ、街におりて教会に入る。そこではたくさんの信者が頭を下げて待っていた。少女は顔色ひとつ変えずに前に立つとこう言った。

「今日は特にお告げはないわ、いつも通りに過ごしなさい!」

それを聞いた信者は深深と頭を下げ、帰っていく。そこへ神官と偉そうな人が近づいてきて

「ルアーナ様毎日ありがとうございます、これでこの教会も安泰です」

「気にしないでください、それが私のやるべき事のなのだから……それよりもクロのことを聞きたいのですが」

それを聞いた神官は口ごもった。目を逸らし話をずらそうとしているのがすぐにわかった。

「まさか………」

ルアーナの顔色が変わる。

「殺しました……」

神官がそう言った。それを聞くとルアーナは

「何故ですか?あれほど何もするなと……」

「黒い髪の少年です、きっと不幸を呼ぶ!」

それを言われたら返す言葉もないと、歯ぎしりを立てる。それもそうだこの世界での基準は髪や目の色で決まる。

ルアーナの持つ金色は天使の証とされ最上級の身分を与えられる。逆にクロの持つ黒色は悪魔の証として忌み嫌われ不幸を呼ぶとされている。

「あなたがあの少年に恋心を抱いているのは知っていますがこれも街のためです。」

街のためと言われると認めない訳にも行かず

「分かりました……」

少女は悲しそうな顔をして屋敷に戻ろうとすると

「気を落とさずに……そうだ、私が街一番にかっこいい男性を選んで決ま……」

その瞬間、神官の首にナイフが向けられていた。

「お嬢様がどんなお気持ちかも知らないで……」

メイドは怒っていたようだ。もう一人も動かなかっただけで相当怒っているのがわかる。

「ひっ……」

神官が情けない声を上げる。これを見たルアーナは

「私は大丈夫です。神官さんもすみません」

メイドはナイフをしまい一礼をした後ルアーナの後ろに立つ。

神官の方は腰が抜けて動けないようだ。

「今日はもう戻ります。ご迷惑かけてすみませんでした」

そう言ってルアーナ達は屋敷に戻って行った。


二話 私の名前


「今日の午後のお仕事は取りやめて起きました…今日は休むことを推奨します」

そう言うとメイドは部屋から出ていった。ルアーナはベットで横になっている。クロが死んだと聞かされてから何も考えられなくなり一つの言葉がずっと思い出していたからだ。

(ああ、そうだ……初めて会ったのはたしか)


六歳の頃だ……お母様とお父様が死んで一人でも頑張ろうと思った頃だ。何でもかんでも自分一人でやろうとしてよく失敗してた。料理を始めたら指を切り、皿を運ぼうとしたら落として割ったりなど……

それでも頑張らないとって思っていろんなことをした。毎度怪我して終わり迷惑をかける自分が嫌で、できるかもって思ったことは全部やった。それでも結果は出せず迷惑をかけてばっかりだった。

そんな時、メイド長にお使いを頼まれた。街におりて小麦粉を買ってきて来るという簡単な事だ。ただ、一人で屋敷の外に出るのは初めてだった為メイドをつけるべきだという話になったがせっかく来たチャンスだ

「安心しなさい!私は天使に選ばれたのよ」

そう言うと勢いよく屋敷から出た。


「迷ったわね」

屋敷は木々に正確には森に囲まれて立っている。しかもその森はとても大きく、熊や猪も普通に出る。そこらの小娘が出歩くには充分危険な場所である。

「ま、まぁメイド達がすぐに見つけて……」

そこでふと頭によぎる。また迷惑をかけるのかと……

「ここは一人で帰るべきよね!」

そう言うと感覚に頼って歩き出した。一人で動いたことの無い私にとってまるで冒険をしている気分だった。木の棒を拾って歌を口ずさみ進んでいく。だが、それも上手くいかない。貴族である私の服は森を歩くのには向かない服で数え切れないほど転んだ。おかげで服はボロボロになってしまった。

「はぁ〜、最悪……」

愚痴をこぼしながらも進んでいく。体には切り傷にかすり傷があり、目には涙が溜まっていた。屋敷に近づいているのかも分からず、いつもいたメイドは後ろにいなくて、強がりも限界になっていた。

日が降り始めた頃、休むために腰をかける。ふと隣を見ると

「…………」

猪と目があった。

鼻息が荒くなっており、ヨダレっぽいものも口元にあった。

「お……おはよぉ〜?」

挨拶をして一礼をする。

深呼吸をすると…………………全速力で走り出した。

「いーーーーーーやーーーーーーーーーーーーーーーーーっ」

涙を流して走った。後ろをむくと

「来てる来てる!早くないあの子〜〜!?」

猪も全速力で走ってきていた。

「無理無理〜〜!追いつかれるーーーーー!!」

そう言って逃げていると猪は追いかけるのをやめた。

「へ?何?よくわかんないけどよっしゃーーーー!!」

そう言った瞬間、身体がぐらったと揺れた。

「え?」

崖だった。

(ああ、そうか……これからは前見ないとな〜)

これからあるのかな?…と思った瞬間意識を失うのだった


パチパチパチ

そんな音と共に目が覚める。

「ここは……?」

「ん〜?起きたの〜?」

そんな声とともに景色がはっきりと見えるようになる。

目の前には黒い髪の少年が倒れた木に座っていた。

火が起こされていて魚が焼いてある。

「黒い髪………?」

「そうだけど何か……?」

焼かれた魚を渡される。それを受け取って現状のことを聞いた。

簡単に言うと、流れてきた私を拾って魚を焼いてたそうだ。

「こんな所で何をしているの?」

それを聞いた少年に睨まれた。怖かったのを察すると深呼吸をして話してくれた。

「黒い髪の人間は街や村には暮らせないんだよ」

それを聞いたら返す言葉が見つからなかった。

「逆になんで君は流されてきたの?」

聞かれたのでお返しも兼ねて事情を話した。


「はっはっははははははははははははっっはっやべむせた…」

「そこまで笑わなくても良くないかしら?」

「いや……だって…………」

買い物で迷子になったってところから笑いを堪えきれなくなっているのはわかってた。自分でも話してて恥ずかしくなった。

けど、そこまで笑わなくてもいいんじゃないかって思えて仕方がない。

「わりぃ……ついおかしくって」

おかしいって……両親が死んで悲しんでるのに……

「あなたって性格が悪いのね」

「そうかな?もう二年も人と話してないから分からないわ」

「二年って……そういえば……」

言おうとしてやめた。見ればわかる。川がすぐ近くにあるから生活しやすいのか生活感に溢れてるし、何よりすぐそこに二つのお墓があるから。

「どうしたの?言わないの?」

「いえ、なんでもないわ」

「へ〜、君空気は読めるんだ」

心を見透かされていたのかこんなことを言われる。

「ま、屋敷までの案内はしてあげなくもないよ」

「本当?」

「その代わり食べ物を恵んで欲しいかな」

「いい……」

その瞬間、頭によぎる。また迷惑をかけるのかと

「やっぱり一人で大丈夫だわ」

立ち上がり屋敷へと向かう。

「君、屋敷との方向違うよー」

「え?」

ジト目で見られる。

「えーっと〜」

ため息をつかれたあと低いトーンで言われる。

「君さ〜、一人で生きて行けると本気で思ってんの?」

「………っ」

言葉を返そうとしたのに返せなかった。

「断言するよ、君にそんな力はないよ」

悔しかった。でも何も言えなかった。

「君は誰かがいないと生きていけない」

それでも……

「それでも…私は、一人でも…頑張ろうって………決めたから!!」

「君には不可能だよ」

「………っ」

もう無視して行こうとしたその時だった。

「でも、そんな君が羨ましいよ」

「え?」

確かに聞こえたその言葉は、とても胸に響いた。それが気になって仕方がなかった。

「後、屋敷までの道違うよー」

「へ?」

恥ずかしくて仕方なかった。でもそれよりもあの言葉が気になって仕方がなかった。

「あ…あなたに案内されてあげても構わないわよ」

「そう?じゃ…出発は明日だから」

「………う、うん」

「僕もう寝るけど、君もちゃんと寝るんだよ」

「そ、そうね……ん?」

ふと見ると、少年はもう寝ていた。……がたたき起こした。

「何?」

かなりお怒りのご様子だった。

「……わ、私の名前はルアーナよ!」

「そ……」

寝ようとした少年を叩く。

「何?」

「貴方の名前は?」

「そんなものないけど?」

「ならあたしが着けてあげよっか?」

「頭大丈夫?」

名前つけるとするならその人の特徴から取るといいらしいわね。

「おーい、聞こえてますかー?」

「そうね、あなたは今日から❨クロ❩よ!!」

「あ、そう」

せっかく着けたのにその態度だとさすがに向かってくるわね。

イタズラでもいてやろうかしら。そんな事を考えてると

「ありがと……」

それを聞いた私は静かに眠りについた。



どうだったでしょうか?

ぜひ感想などを書いて言っていただけると幸いです。

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