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1000文字短編

ダンジョンの蜂

作者: をち武者

「難度Sのダンジョンをクリアしたって!?」

「すげぇ!」


 それは私に向けられた賞賛ではなかった。

 私と同期のパーティー、キラービーだ。


 彼らはそれほどレベルが高い訳でもないし技能やスキルに秀でている訳でもない。

 しかし彼らはダンジョン攻略の常連だった。

 それには何か秘密があるはず。


 実はチートの噂もある、何か不正を行っているという話だ。

 私は真相を確かめるべく、彼らの後をつける事にした。



 朝、出発を前にして彼らは墓地へ行く。

 倒れた仲間の墓参りと冒険を前にして気を引き締める為だろう。


 良く見るとメンバーが一人足りないようだ、だがダンジョンへ向かう前には合流した。

 寝坊だったらしい。


 そのままダンジョンの中へと入るが、今の所不正らしき行為は見られない。

 本当にあの面子とレベルで攻略が可能なのだろうか……?



 ダンジョンの中でも大した変化は見られなかった。

 平穏すぎる。というか逆にそれがおかしいのだ、敵が居ない。


 戦ったのは序盤だけ、他には大した敵に出会ってすらいない。

 一体どういう事だろう。


 良く見ると彼らの姿が発光して見える、最初は目の錯覚かと思ったが間違いない。

 何かのスキルだろうか? そんな素振りは見えなかったが。



「ど、どうしたんだ? お前ら」


 その疑問を口にしたのは私ではなかった。

 パーティーの一人、なぜか発光していない男が言ったのだ。


 なぜ彼だけ光っていないのだろう。

 だがその問いに答える者は居なかった。


 全員が何かに取り憑かれたようにダンジョンの奥へ奥へと進んで行く。

 そして私は発見する、彼らの発する光の粒が徐々に大きくなっている事に。

 これは何かの卵か?


「うわっ、た、助けて!?」


 魔物の巣の中に辿り着いたパーティーは尚も奥へと進んで行く。

 しかし発光していない男は残念ながらそこで魔物の餌となってしまった。



 その様子を眺めていた私はそこで足を止める、さすがにこれ以上進むのは危険だ。

 そしてあのパーティーは何かに取り憑かれている。


 彼らの残した光の粒を見ると、それは更に大きくなってモンスターの形を成している。

 これは一体どういう……。

 そして私はフと思い当たる。

 植物は自らの種を運ぶのに蜂や鳥を利用するらしい。


 彼らは種を運んでいるのだ、だとしたらそれはあの墓場からだろう。

 犠牲になったのは墓場に来ていなかった男、つまりそういう事か。


 だとしたら私はあの墓場にをもっと調べねばならない。

 もしここから無事に帰る事が出来ればの話だが……。

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