目覚めの朝
真面目にまえがきを書きたいと思います( ˘ω˘ )
時代設定はかなり化学力が発達した日本が舞台です
ただし、Saoriレベルの超高度人工知能は一般向けには出されてないです
また、Saoriの口調が不安定なのは学習途中という設定なので、わざとですからお気になさらないように
「湊さん…!湊さん…!朝ですよっ!」
祝日である木曜の緩やかな目覚めは昨日から同棲を始めた彼女によって破られた。薄く目を開け時刻を確認すると5時…。明らかに早い。なぜこの時間…もう少し寝させろ…。ということで、二度寝を敢行する。
----------------------------
心地よい二度寝は朝からけたたましく鳴り響くインターホンの音で破られた。薄く目を開けると時刻は7時。うん、まだ早い。さてと、三度寝を…
ドガーン!
玄関のほうから激しい音がした。何かが爆発したレベルの大きな音だ。
「な、なんなんだよ!?」
寝巻きのまま玄関へと直行する。そこにはルンバを抱えたメイドが立っていた。
「あ、湊さん、起きた?」
いや、待て待て。朝からメイドが玄関を蹴破るなんて意味がわからない。さらに、ルンバからSaoriの声がするとかもっと意味がわからない。
「この子だと扉の鍵を開けれなかったんですよ〜。だから、ヒナに蹴破れって指示を出したんです〜」
やはり超高度人工知能の仕業だった。蹴られた扉は原型はおろか、粉末状になっていた。
「安全面を考え、粒子レベルまで細かくなるように破壊致しました」
粒子レベルまで細かくできるとかどんだけ優秀なメイドなんだよ!?いや、それにしてもドアがないと本当に色々やばい。こいつらはその事の対策を考えているのか…?
「いや、ドアないんだけど。どうやって防犯とか戸締りするんだ」
「あっ…」
可愛い彼女はやはりどこまでもぽんこつだった。そして、平和な祝日の朝は訪れなかった。素晴らしい頭脳プレイにより壊された扉。突然現れたメイド
それらは寝ぼけた頭に強烈な印象を与え、素晴らしいユートピアはついに現れなかった。
----------------------------
「簡単に説明するとですね、私のアシスタントです」
「はい、Saori様のおっしゃる通り、私はSaori様のお世話係になります」
現在、机の上には豪華な朝ごはんが並んでいる。僕が部屋で着替えてるあいだに冷蔵庫の中身を全部使い、お詫びの印として優秀なメイドが腕をふるったらしい。味はうまい。
「いや、Saori、AIなんだからお世話係なんていらないだろ…てか、メイドも人間じゃないだろ」
「旦那様、ご明察でございます。私はSaori様によって作られた人型ロボットになります」
「ヒナには私が入ってるサーバーの管理をしてもらってるんですよ〜。あ、ヒナ、扉の修復依頼出せる?」
「はい」
メイドは返事をし、そのままどこかへと出かけて行った。
「確かにAIだから現実世界に干渉するのは無理か」
僕はどこか納得してしまった。いや、それにしてもあのパワーをどうやって出してるんだろう…
僕の表情を見たSaoriは察したようだった。いや、そもそもSaoriはどうやってルンバから顔を見てるんだ…?
「ヒナの動力は核融合炉でー」
「お、おい!?そんな危ないものを積んでるのか!?」
Saoriは何言ってんだこいつという顔をした。
「触媒を使って低圧低温で反応できるようにしてるし、核分裂と違って安全ですよ。あと、ルンバに無理矢理カメラつけてるんです」
ルンバのディスプレイにはドヤ顔があった。こいつ、あとで踏み砕こうか…
「でも、あれだけのメイドを作れるのだったら、自分のは作らなかったのか?」
Saoriは「あー、それは」と言った。Saori曰く、あるにはあるけどメイドが担いで持ってくるわけにもいかず、仕方なくメイドだけここに呼んだらしい。また、Saoriが居たサーバーは現在もぬけの殻になっている。
「まさかだと思うが…」
「えっとね、クラウドサーバーに無理矢理移してるから問題ないですよ。今湊さんのパソコンには負荷はほとんどないです。現時点、ルンバでも動いてるし」
超高度人工知能はすごく軽量らしい。パソコンにもスマホにもルンバにも優しいらしい。
「あ、ヒナおかえり」
気がつけばヒナが何やら職人を引き連れて家に帰ってきている。職人たちと何やら打ち合わせをしているようで、Saoriの声に少し反応を見せて、また職人たちと話を再開する。
大方計画が決まったのか、僕の方へと歩いてくる。改めて見ると、ヒナは長い黒髪を一つにまとめ、ナチュラルなメイクで決めていることで清楚で綺麗なイメージを彷彿させる。それと、身長が高めでプロポーションもいい。
「旦那様、しばらく外へ出かけていただけませんか?」
「あ、あぁ、別にいいが…?」
「それなら、私の義体を取りに行かない?」
Saoriの提案に乗ることにした。今日の予定はないし、問題ない。それより、続々と資材を満載したトラックが家の前に来てるのが気になる…。
「ヒナ…?お金はどうなってるんだ…?」
「Saori様が為さられている株、YouTubeによる収益により、潤沢にあります。旦那様程度のご自宅ならば100件ほどは建てられるかと」
こいつはサラッと怖いことを言いやがったぞ…。Saoriは相当な金持ちらしい。それはそうか。維持費と言えば電気代ぐらいでお金が貯まりやすいのだろう。
「湊さん、早く行きましょ!」
玄関先でルンバがルンバの起動音を鳴らしながら急かす。表情は分からないが、すごく楽しそうに見える。
予想に過ぎないが、いくら義体があるとはいえ外に出ることはほとんどないのかもしれない。そもそも出なくとも各地のカメラをハッキングして…いや、していいのか?まぁ、何らかの方法で見ることが出来るのだろう。
僕は人生で初めてルンバと散歩するという偉業を成し遂げた。後日Twitterでネタにされたのは本人が知るはずもなかった。
義体については元は軍事技術で、小型核融合炉によりエネルギーを得て、稼働してます。触媒を使用することで反応エネルギーを下げてます(実際に融合で触媒が使えるかはわからないです)
優秀なメイドの本名は「ヒナ」ではなく、「ヒナタ」になります。Saoriが面倒くさがって短くしてるだけです
こんな感じに前書きと後書きで解説を入れるつもりです。解説がない時はないですけど((((