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6話「神から魔剣を与えられた俺は世界最強だった件、その2」

「これにて神域耐性レベル1取得完了です。それと転生者の方に自動で取得される言語理解の

取得も完了しました。」


 俺はクロノスの授けたという言語理解をギフトカタログから探した。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


〈言語理解〉


祝福種別:ユニバーサル

種別:スキル

使用方法:パッシブ

属性:なし

レンジ:なし


攻撃:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

防御:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

魔術:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

神秘:★★★★★☆☆☆☆☆



対象世界でもっとも使われている言語を転生時に自動習得する事が可能です。

異世界転生スキルの決定版!


必要善コイン:0


この祝福を選ばれた人はこんな祝福を選んでいます。


〈高位魔術習得〉


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「言語習得の方が神域耐性より神秘のステータスが高いのか?」

「えぇ、神域耐性はすべてのステータスが存在しません。なんでそうなのかは祝福を産み出した主神にしかなわかりません。」

「神なのにわからない事もあるのか?」

「えぇ…お恥ずかしいですが我々神々も主神の代行者でしかありませんので…」


 クロノスは自分の不甲斐なさを悔やんでいるのか下を向きながらブツブツとなにかを言っている。


「あぁ、ところでカタログには10コインで得られるギフトはなかったんだが?この残ったコインの使い道は無いのか?」


 匡は落ち込んでいるクロノスを気遣い話題を変えることにした。


「残ったコインですか……そうですねぇ、あぁ!そういえば10コインですと名前変更ができますよ。」

「名前変更?」

「使い続けてきた名前は自身を定義する言葉として魂に刻まれています。それは異世界に転生した際も引き継がれます。その名前を自身の好きな名前に変更するとこが出来できますよ。」


 名前の変更か…わざわざ魂の名前を変えなくても偽名を使えばいいだけだしな。


「いやそれはいい、このコインはお守りとして持っておくことにしよう。」

「そうですか……分かりました。では、これを受け取ってください。」


 クロノスが神器《ガフの部屋》を俺に差し出す。普通の人間が触れればただでは済まない物らしいので恐る恐る受け取るが、特に体に問題はない。神域耐性は問題なく機能しているようだ。安心して胸をなでおろす。


「それを胸に当ててください。」


 俺は言うとおりにガフの部屋を胸に当てる。すると何の抵抗も無くそのまま体の中にスッと入っていった。

一体何が起きた!?想像していなかった事態に匡は動揺した。


「おい、体の中に入っていったぞ!」

「大丈夫です、これでガフの部屋は問題なく機能します。」

「そういうものなのか…一体どういう原理なんだ?」


 胸の辺りを調べるが特に問題は無く、体にも異変は感じられない。全く持って興味深い。

 

「これで準備は整いました。異世界転生の準備を始めます。」


 そう言うとクロノスは呪文を唱え始める。すると俺の足元に未知の文字が記された円陣が現れ、光を放ち始める。


「藤堂匡さん、これから貴方を異世界に転生させます。異世界には多重に肉体強化をかけた上に強力な武器や能力の祝福を持った転生者ばかりです。正直、困難な戦いになると思います。不甲斐ないですが、今は貴方にすべてを託すしかありません。」


 クロノスの深刻な声と言葉からは何もできないことへの自責の念が感じられた。


「フッ、転生した奴がどれほどの力を持ってるかは知らないが、俺には今まで人類を存続させ続けてきたこの頭脳がある!だから今度は人類を、いや世界を救ってやるさ!!」


 正直言うとこれは強がりだ、これから向かう異世界、強力な祝福を得た転生者、知恵を振り絞ってどうにかなるのかすら分からない。そして人類救済の為とはいえこれから自分の行う「行為」の事を考えると膝が震え、心臓を締め上げられたような気持ちなる。

 だが、迷いを振り切り、踏み出さなければ今までの犠牲にしてきたものが無駄なってしまう。それだけは許されない、許してはいけない。だからこそ去勢でも何でもいい。この決意を曲げないためならば。


 円陣の光が強くなりそして周囲にプラズマが発生し始め、匡の体が徐々に光の粒子のようになり散り始める。


「それでは異世界に送ります。幸運を祈ります。」


 その言葉を聞いたのを最後にすべての感覚が消失した。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 まずは光を感じた。

 そして、触覚、聴覚、嗅覚、あらゆる感覚が押し寄せてくる。

 全ての感覚がそれぞれの情報を処理し、今感じているものを世界と認識する。


 辺りにはたくさんの木々が生い茂り、自分が立っている場所は舗装はされていないが道であることを理解する。


「転生は成功したのか?」


 自分の身の回りを確認する。

 研究服と白衣を身にまとい、体は先ほどと同じで活力あふれている所をみると若々しい17歳のままのようだ。どうやらそのままの姿で転生ができているようだ。


 さて、情報収集をしたいが辺りは一面の木々、森のど真ん中だった。


「とりあえず、歩くか」


 まずは人のいる場所を探さなくては今後の計画を立てようも無い。


 しばらく歩いていると背後から何かが近づいてくる音が聞こえてくる。振り返るとガタガタと音を立てながら荷馬車がこちらに向かってきている。

 これは好都合だ。この荷馬車の御者からこの世界の事を聞けるかもしれないし、あわよくば人のいるところまで連れて行ってもらえるかもしれないという期待をしながら荷馬車に手を振る。


 スルーされる可能性も高かったが、運よく荷馬車は止まってくれた事に内心胸をなでおろす。


「あんたどうしたんだい?こんな森の中で一人で歩いてるなんて」


 話しかけてきた御者の男の服装や馬車の形状からこの世界の文明レベルは中世ヨーロッパに近いものを感じる。地球とはかけ離れた文明をイメージしていたのだが、少し肩すかしを喰らう。

 そんなことを考えながらも男への返答を考える。いきなりこの世界の話を聞こうとすれば頭のいかれた奴と警戒される可能性もある。はたしてどう答えたものか?


「その服……もしかしてあんた転生してきた人かい?」


 男からの問いかけに驚きを隠せず数歩後ろに下がる。

 何故、俺が転生してきたとこの男は分かったのか。思わぬ事態に額に脂汗がにじみ出る。


「あぁ、そう警戒しないでくれよ。俺もこの世界に転生してきたんだ。あんたのお仲間だよ。」

「――何だと?」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 俺は荷馬車の荷台に揺られながら男の話を聞いた。

 男はこの「アーヴェイン」という世界に10年前に転生してきたらしい。

 当初はこの世界の抱える問題である魔王を倒す為に勇者として旅をするつもりだったのだが、自身のコインで得た祝福では力不足だったので今は魔王討伐を諦めて御者として働いているそうだ。

 そして転生者が転生するタイミングはランダムであり自身よりも前に転生していた者もいればこれから転生してくる者もいるらしく、男は新しい転生者を見つけたら荷馬車に乗せてやるくらいの手助けをしているそうだ。


「俺が死んだのは2062年だったんだが、あんたは何年に死んだんだ?」

「――2100年だ」


「へぇーまだあの世界残ってるのかぁ。俺死んだ時ですらもう終わりかけみたいな世界だったからもう滅んでると思ってたよ。あんな世界だったからさぁ俺なんか死んだあとどうするかって神様に聞かれたときも速攻で異世界転生を選んだね。」


 男は笑いながら話す。その言葉に俺は胸の中に静かに怒りの炎が燃え盛る。

 こうした連中が無自覚に人類を滅亡に向かわせていた事や今それを笑いごととして話していることに憎悪すら覚える。

 俺は荷馬車においてあった剣を手に取り鞘から抜く。初めて持つ剣のずっしりとした重さと銀に輝く刃はこれが人を殺めることのできる武器であることを再認識させれくれる。

 剣を振り上げると鼓動が高まる。このままこの剣を振り下ろしてしまえばこの男を殺せる。しかし殺人という行為に葛藤が生じてないといえば嘘になる。それでも、今まで犠牲にしてきたものが脳裏に浮かび、迷いを吹き飛ばした。そして剣を男の後頭部めがけて振り下ろした。


ガキン!


 間の抜けた音と共に手に伝わってきた感覚はまるで固い棒で分厚いコンクリートの壁を殴った時のような手がしびれる感覚。人を斬った経験はないが明らかにこの感覚はおかしい。


「なんだ……これは」


 男の後頭部と剣間に未知の文字が描かれた円陣が発生しており接触面に火花を散らして物理的な接触を妨げていた。

 男は自分に向けられた突然の殺意に驚き荷馬車を急停車して転がるように降りて匡から距離を取る。


「あっ、あんたいきなりなにするんだ!防御魔術を使ってなかったら死んでたじゃないか!!」


 今のは祝福ではなく、魔術!?地球では見ることのできなかった未知の現象。

 男は俺の殺意に気付いていなかった様子だった、なのに俺の攻撃を防いだということは、あれは自動で起動すると考えるべきか、耐久度はどの程度あるのか?防御範囲はどこまでか?発動回数に上限はあるのか?

 数多の仮説を立てながら匡も馬車を下りて男に対峙する。

 先ほどの話を信じるならこの男は転生者としてはあまり強力な方ではないらしい。

 ならば俺のするべきことはこの男の殺害、可能であれば捕縛の後、魔術に関する情報を聞き出してからの殺害。


「お前に恨みが無いわけではないが、今はその力の検証実験を始める!」


 剣を構えて男に向かって走る。祝福による強化のよるものなのか自身の人生で最高のスピードで男の間合いに入り、構えた剣を振り下ろす。この間合いでこのスピードの振り下ろしだ避けることはできないはず。そう普通の人間なら避けることはできないはずだが、男は右に数歩動いて攻撃を紙一重で回避していた。

 すかさず距離を詰めては剣を振るが、男は焦る表情を見せながらも攻撃を回避し続ける。

 攻撃を避け続けられる原因がクロノスの言っていた普通の転生者が行っている俺がした以上のステータスアップによるものなのか、何らかの魔術によるものなのかすら判別できずに息を切らしている。


「なんなんだよあんた!いったい俺が何したっていうんだよ!」

「うるさい!お前を殺さないと世界が救えないだよ!」


 俺は言葉と共に鞘を男に向かって投げつける。男は投げられた鞘を避ける為に右に数歩に避ける。そう、それを待っていた。この男は不意の攻撃を右に避ける癖がある。いかに肉体が俺より強化されていようが回避後の体性からではすぐに回避はできまい!回避後の男の右脇腹めがけて両手持ちで剣をフルスイングする。魔術による防御の可能性もあるが、今はこの手しかない!

 剣が男の脇腹にめり込むまであと少しのところで男が言葉を発した。


「〈疾風爆破〉」


 男の言葉と共に風が剣と脇腹の間で発生し、風で圧縮された空気の壁が剣の動きを妨げている。それに

気づいた瞬間、圧縮された空気が破裂した。


「うわああぁぁぁぁ!!」


 俺の体は風によって森の方に吹き飛ばされる。森の中を木の枝にぶつかった程度ではその勢いは衰えない。この森はあまり広くなかったのか数秒後には森を突き抜けて見えた青空と太陽のまぶしさに瞼を閉じる。次に感じたのは頭から落下するような感覚。次に目を開けた時に見えたのは険しく切り立った渓谷とその下にある大きな川だった。自分の体は抗うすべもなく川に吸い込まれてそこで俺の意識が途切れた。

いつも読んでいただきありがとうございます。お待たせしましたようやく異世界編に突入です。

次回投稿は4月13日を予定しておりましたが、諸事情により少し遅れてしまいます申し訳ありません。

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