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ひねくれ野郎と天然少女



____________「ごめん、俺は今はだれとも付き合う気はないんだ。」桜がまだ咲いていない桜の木の下で今日だけで何回言ったかわからないこの言葉を見知らぬ女の子に行った。






今日は3月9日今日は中学の卒業式なわけだけどなんでこんな日に告白するのか意味が分からない。しかも振られているのに彼女たちは告白するまえより晴れやかな顔して俺の前から去っていく。




わかったぞ、これはなんかの罰ゲームなのだろう。あの愛想のない非リアに告白して来いという。それかどっかにカメラマンがいて俺が告白されて喜んでいる顔を撮って俺を笑いものにするつもりか。どちらにしても質の悪いいたずらだ。




第一本気の告白なら今日じゃなくてもっと前にするべきだろう。なんでよりによって卒業式の日なんだ。今日もし告白が成功しても四月から新しい高校に入るわけだし、会う機会も当然減るし今告白するメリットがないだろう。




しかもさっきから告白してくる女子は俺が一回も話したことがない隣のクラスの子とかさらには隣のと隣の隣のクラスの子とか。もう遠すぎてよくわかんないわ。そんなことを考えていると後ろから誰かが近づいてきた。




またかと思った俺は振り返らずに「ごめん、俺は今はだれとも付き合う気はないんだ」振り返るのもめんどくさくなって俺は相手を見ることなく言った。すると後ろから聞き覚えのある男女の声が聞こえ俺は急いで振り返った。




「なんだそれ、大河。おーい、姫、大河がおかしくなってるぞ」その後ろにいた女子も「なになに、悪いものでも食べたの?」と笑っていた。




一番面倒なやつらに面倒なことをしてしまった。




こいつらは、幼馴染の犬咲雄志と姫野和姫である。二人とは幼馴染だが俺とは対照的に社交的で友達も多い。それと対照的に俺は無愛想で内向的で友達もそんなに多くない。そんな俺とも仲良くしてくれる二人には少なからず感謝している。




「何しに来たんだよ?」今頃教室では卒業アルバムに寄せ書きをしていて、みんな中学の思い出に浸っている真っ最中だろ。人気者の二人ならアイドルの握手会のように寄せ書き待ちの長蛇の列ができていても不思議ではない。




「いやー、お前が教室から出ていくのが見えて気になったからついてきたらなんとお前が告白されているシーンに出くわしたわけだ」いやーそれも一人じゃなくて何人もだもんな~と雄志は人懐っこい笑顔で言った。




こいつら覗き見してたわけか。悪趣味な幼馴染だな。雄志が見てたってことはもちろんもう一人の幼馴染の姫も見てたんだろうな。俺は少し睨むように姫を見た。




すると姫は「私は止めようとしたんだけど、雄志がどうしてもっていうから。ごめんね。てかなんで全部断ってんのさっきの隣のクラスで人気ある田沼さんでしょ?」最初は下を向きながら反省している様子だったが最後は完全に逆切れだった。




なんで断ったかなんて聞くまでもないだろう小沼さんだか田沼さんだか知らないが俺はその人の名前を今知ったし。名前知らない人と付き合わないだろう普通。




「だよなー。もったいないぞ。」姫に便乗して雄志も乗ってくる。




こいつらはあの告白を乙女の純情な告白だと本気で思っているのだろうか。確実にあれはドッキリとか質の悪いいたずらだろ。そうでないとあんな連続で告白されるわけないだろう。雄志や姫ならともかくこの俺が。




「さっきのはなんかのいたずらだろ。でないと話したこともないやつに告白したりしないだろう。」ホントに質の悪いいたずらだよ。前からちょくちょくあったことだけど。例えば、書道の授業になると毎回隣のクラスの女子たちが週替わりで俺の道具を借りに来たり。あれのせいで俺のクラスの書道授業終わっても全クラスの授業が終わるまで道具持って帰れなくて大変だったな。




二人は顔を見合わせため息をつくと「でた。大河の被害妄想」「ほんと馬鹿だよね。大河に告った子可愛そう。」二人呆れたように言った。



なんだよ被害妄想って。



「大河あんた普通に顔いいし頭もいいし結構女子に人気あるんだよ。」心底呆れたように姫が言った。




「クラスの人気者にそういってもらえるなんて嬉しいよ。」俺がかっこいいか。思ったことないな。




「真面目に聞きなさい。も~いつからこんな捻くれちゃったのかな。昔は素直だったのに。」余計なお世話だよ。でもいつからか。間違いなくあの日からだろうな。



今から一年前俺には好きな女子がいた。その人は俺より年上で面倒見がよく優しい人だった。その人の名前は犬咲志穂。そう雄志の姉だ。雄志の姉ということは当然幼馴染ということになる。



子供のころから遊んでいたことはもちろん中学に入っても一緒に帰ったり、お弁当を一緒に食べたりしていた。その時俺は勝手に両想いなんだと勝手に思ってしまっていた。




だって、その時彼女はとても楽しそうだったし、俺も楽しかったから。そして俺はある日彼女に告白することにした。告白を決意したその日に俺はたまたま彼女が告白されているところに出くわしてしまった。




当然俺は即答で断るものだと思ったが、答えは少し考えさせてほしいというものだった。一見してみると普通の答えなのだが、俺はその答えにひどく落胆した。考えるということはもしかしたら付き合う可能性があるということだ言う風に思ってしまった。




俺はそのあと彼女と一緒に学校から帰ることになったが彼女は告白されたという話を俺にすることはなかった。翌日学校では彼女とバスケ部のエースの高橋先輩と付き合っているという噂が流れた。



志穂さんは学校でも才色兼備の生徒会長として有名だったし高橋先輩もイケメンで身長も高く有名人だったから噂はすぐに全生徒に伝わった。



その噂が広がったころから俺は彼女と前のように話すことができなくなった。それからだろう、俺が好意的に接してもらえばもらうほどなにか裏があるのだろうと考えるようになったのは。



「まあこんな大河でも高校行けば彼女の一人や二人くらい楽勝だろう。おい、聞いてんのか」昔のことを思い出していたせいか全く聞いていなかった。




さっきまで静かだった桜の木の下だがゾロゾロと下駄箱の方から生徒たちが出てきた。



今日でここに来ることはないのかと思うの少し寂しい気もするがもう一か月後には新しい生活が待っているわけだから悲観している暇はない。




そう俺たちは四月には華の高校生なのだから。



一か月はすぐに過ぎ、、、、、。


____________________桜が満開に咲いている四月七日入学式だ。




俺と幼馴染3人は歩いて10分ほどのところにある夢の咲高校に進学することになっている。




夢の咲はこれといって目立つ高校ではなく偏差値も平均よりやや高いくらいで基本的には平凡な高校だ。しかし、ほかの高校と比べて文化部、同好会の数が異常に多い。




どうせ俺はどの部活にも入る気はないからあんまり関係ないんだけど。高校になったらなんか部活やろうと思ってたけど春のぽかぽか陽気のせいかそんな気はなくなっていた。



そんなこんなで俺は今学校へ向けて歩いているわけだが今日は二人がいない。何でも雄志のやつが寝坊したらしくそれを姫が起こしに行くそうだ。すぐ追いつから先に行っててというメールがさっき来ていた。相変わらず面倒見のいい姫である。



俺はすこしゆっくり学校へ向かっていると後ろから肩を叩かれた。俺は雄志と姫だと思い俺は振り返った。すると黒髪でいかにもお嬢様という容姿の美少女が立っていた。よく見ると夢の咲の制服を着ている。新入生かな、だとしてもなんの用だろう。




「あの~夢の咲高校の生徒さんですよね?」俺の顔を覗き込むように聞いてきた。声も澄んでいて心地よくきれいな声だった。



「そうですよ。制服見たらわかるでしょ。どうしたんですか?」少し無愛想だったkな。姫以外の女子と普通に話すのはかなり久しぶりだから少し緊張した。




うん?俺が緊張?なんか久しぶりの感覚だな。




「実は学校に行く道が分からなくてよければごに学校まで一緒にいってくれませんか」恥ずかしそうにハニカミながら言った。やっぱお嬢様なんだろうな。きっと中学は高級車で送り迎えしてもらってたのだろう。




俺はあんまり考えず「わかった一緒に行こう」と言った。なんとなく置いていくわけに行かないような気がした。てか断る理由もないしな。




「ありがとうございます~私葵木栞っていいます」とまぶしい笑顔で自己紹介してくれた。うん。すごくかわいい。




「俺は、天城大河よろしく。」と少し顔を俯きながら自己紹介した。




すると彼女は俺の顔を覗き込むようにして「顔赤いですよ?体調悪いんですか?」と聞いてきた。君がかわいいからだよとは言えない。




これはもしかして計算された行動のなのか。だとしたら、とんだ食わせ物だ。もう少しで騙されそうになったぞ。




俺は「大丈夫。今日は少し暖かいからね」緩んだ心と体を引き締め答えた。





「そうですか~無理は良くないですよ~」と彼女は言ってまた歩きだした。あのふわふわした話し方も計算なのか。恐ろしい。




無言なのも気まずいと思った俺は何かはなすことはないかと考えていると彼女のほうから「大河君は部活入るんですか~」と聞いてきた。




「今のところ予定はないかな。葵木さんは?」「私は楽しい部活に入りたいです。」また太陽のようにまぶしい笑顔で言ってきた。




普通なら小学生かと馬鹿にするところだが俺はそうしなかった。初対面でそんなこというのは失礼だろと思ったのか。いや俺は彼女が本心でそう思っていると思ったからだろう。




「なら自分で部活を作るといいよ。夢の咲なら同好会ならすぐ作れるし。楽しいことをする同好会を」と普段言わない冗談を言ってみた。




すぐに返事がなかったのですべったのかと思ったがそうではなかったらしい。




「う~ん。いいですね~葵木栞と楽しいことをする同好会。作ったら入ってくれますか?」と彼女はまじめに受け取ったらしい。



「作ったらね。でもその名前はやめたほうがいいと思うけどね」なんかいかがわしい響きだ。



「え~そうですかね~あっそれと栞でいいですよ~私も大河君って呼びますから~」と彼女はいった。



「いや、葵木さんで」と即答した。下の名前で呼ぶのは姫と志穂さんくらいだ。



「え~なんでですか~」とすこし不満そうだが俺は何でもと答えた。そんな話をしているうちに俺たちは夢の咲高校に着いた。夢の咲高校は全校生徒約500人と生徒数は普通だがさっきも言ったとおり文化部、同好会の数約50個そのほかにも運動部もあるので他の学校に比べてかなり多いだろう。



そのせいか教室のある、本棟と部室棟が少し離れたところにある。




「ついたよ」と一応つたえると彼女は「ありがとうございます」と言って学校に入っていった。俺は幼馴染二人を門の前で待つことにした。




それから待つこと数分で二人と合流してクラスが張り出されている下駄箱の前へ向かった。その時も葵木栞の名前が頭の中をグルグルしている。




下駄箱に着くとそこの掲示板にクラスが張り出されていた。俺たちは1組から自分の名前を探していくが俺は葵木栞の名前も一緒に探していた。




3組まで探したところで雄志が「大河お前六組だぞ。もちろん俺も」と言って肩に手を置いてきた。またか。てことは姫もだろうなと思っていると雄志が置いていないほうの肩に手が置かれた。



やっぱりな。中学からなぜか俺たちは同じクラスだ。ほんとに腐れ縁。まあ心地よさを感じてる俺もいるわけだが。




そして六組の名簿を見ると一番上に_____葵木栞______と名前がありその次に天城大河、犬咲雄志と続いていた。さすがに名前順だから姫は少し遠い。




クラスを確認したおれたちは、体入学式が行われる体育感に向かい、指定された席に雄志と二人で向かった。俺の右隣は雄志で左は葵木さんのわけだがまだいない。まさかまた迷子かと思ったがさすがにそれはないだろうとおもっているうちに式がはじまってしまった。




着々とプログラムが進んでいくが彼女は現れない。ほんとに迷子かと思っていると新入生代表の言葉と先生が呼び込むと壇上の右から「はい」と澄み切ったきれいな声が聞こえた。




そういうことか彼女は才色兼備のお嬢様だったのだ。



「暖かな春の訪れとともに私たちは_______」テンプレとも言える新入生代表の言葉が終わると思ったとき彼女は声を大ににして言った。





「私は、私が楽しく学校生活を送るための部活、______葵木栞の娯楽部________を作りますと。




本気だったのか。式場がざわめく共に俺は葵木栞という女の子が計算ではなく天然であることに気が付いた。

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