◆◆◆◆◆大型量販店で小さなレース参加したら色々大変な状況になった件②◆◆◆◆◆
純香ちゃんが広げてくれたシートの上に荷物を置くと、殆ど座ることができない。
まぁ、半畳だしね。
「少し狭い……」
「一人分だと半畳もあれば十分だけどね」
純香ちゃんの視線が刺さるなぁ。
知らなかったとは言え、シート類を持ってきてない自分がふがいない。
「次は、もっと馬鹿デカイシート用意するか……」
「確かにね。でも、会場のサイズを考えて持ってこないと、だよ」
「ん?」
「ウチの店でも時々話しになってるだけど、場所を大きくとりすぎて、
後からきたお客さんが困っちゃうことがあるんだよね」
「悪意があってやってるわけじゃないのは分かるんだけどね。
後から来た人も、場所を空けてもらうようにいうのも難しいし、
最初から場所をとってる人も、店員が場所を開けて欲しいって言われてあけるのも
ばつが悪いだろうし……」
「花見の場所取りみたいな感じだな」
ウチの店でやるときも、そのあたり気をつけておかないとなぁ……。
「それはそうと、セッティングは終わってるの?」
「見てくれ!」
といいながら、鞄の中から俺のサンダーショットを取り出す。
「お! 珍しい! 緑色なんだ!
しかもこのボーリングの玉のようなくしゃくしゃした模様って…」
お! さすが模型屋の娘!
「そうラップ塗装!だ」
「へぇー、結構ちゃんと塗装とか出来るんだ」
「まぁ、昔からプラモの塗装しまくってたからな」
「よく見ると、ラップ塗装のくしゃくしゃに隠れて雷のマークも入ってる! 」
へへへっ。簡単に作れるとは言え、ラップ塗装ってカッコイイよな!
「なかなか、やるじゃん。 で、この子なんて名前にしたの?」
「緑の雷……名づけて!」
「名づけて?」
「って、名前なんて考えてねぇ」
「そっか、それは残念」
名前かぁ、
せっかくだし考えてみるかな。
「で、セッティングはどうなの?」
おおっと、忘れるところだった。
デザインばっかりに目が行ってしまった。
「この間からセッティング取りにきてたから、一通りは取れてるよ!」
「そっかぁ……アタシはセッティング取れてないし、あっちに並んでくるよ!」
純香ちゃんが指差した先……
つまりコースには、ちょっとした人だかりが出来ていて、
皆順番に走らせている。
レース開始時間まで何回走らせられるか分からないけれど、
テスト走行は必要だよな。
そんな事を考えている間に、純香ちゃんはマンタレイを取り出してコースに行った。
むう。どうしようか……
とりあえず、サンダーショットを見る。
うーんせっかくだし、名前付けるか……
緑の雷だからグリーンサンダーショット
……ださいな
他には、リョクライ……
中二っぽいのは嫌いじゃないけど違う気がする。
うーん……
「にいちゃん何考えてんねん」
!?
顔を上げると、目の前に小学生……。
「じゃなくって!!! 師匠!」
「ちゃんと来たんやな。こうへんのかと思ったわ。」
「セッティングは、取れたか?」
「まあね」
「そういえば、師匠はどんなミニ四駆使ってるんだ?」
「これ!」
師匠が取り出したのは、赤と黄色のグラデーションが綺麗なミニ四駆だった。
「アバンテ!?」
「エアロアバンテや! 基本をしっかりとしたものが一番やからな」
「あれ!? でもボディ透明なんだ」
「ポリカボディ! これ買うん大変やったんや!」
「大変?」
珍しいパーツだったとか?
「金曜日は、弁当作らんっていうから、そこに目をつけてな
昼飯安いもんで済ませて、残ったお金で必死にためて作ったんや!」
「それは大変そうだな」
なるほど、それは大変だ。俺も昔そういう事しながら、小遣いためてた記憶がある。
っていうか、今もそれに近いことしてるな。
今も、食費を削ってまで遊び続けているし。
「まぁ、自分のマシンが速くてかっこよくなるなら、それぐらいは我慢するって!
それより見てくれ! このボディ!」
「確かにファイヤーパターンとか綺麗に塗ってるな」
俺も、そこまでやっていない。
ラップ塗装をしたのは、手をかけすぎずにかっこよく見せたかったからであって、
ファイヤーパターンを丁寧にマスキングして塗るなんて根気が必要だろう。
と、そんな事を考えていると、
「今日の調子はどうです?」
と、源さんの声。
少年を見る源さん……
「ばっちりや! 今日は勝たせてもらうで!」
「さすが師匠! でも、僕も負けませんよ!」
「師匠!? って、えええーーー!?」
確かに、師匠って読んだけれど……
えええ??
「おや? 二人は知り合いでした?」
なるほど、確かに実力から行くと
師匠・・・ってのはわかるけど
爺さんが中学生の弟子。
なんて、言うか不思議な関係性もあるもんだ。
「そういえば、セッティングは決まったんか?」
「師匠のおかげで、いい感じに走れるようになりましたよ」
そうか、俺も師匠のこと師匠って読んでるな。
実力もそうだけど、ある種あだ名みたいなもんか。
「それは良かった。 運が良かったら決勝で勝負できるかもな」
笑いながらそういう師匠。
俺も、一番になりたいのはなりたいんだけどね。
トントン……
って誰だ? 肩を叩いてるやつ!!
振り向いた瞬間指が、ほっぺにささった。
……
「……なんですか?」
「楽しそうに話してたから、気になって」
俺と、純香ちゃんをまじまじと見る師匠。
しつこく指でほっぺを刺す純香ちゃん。
なぜか、見る見る形相が変わっていく師匠。
「お前なんか、絶対俺に勝たれんからな!!」
そう言うと、ピット?へと走っていった。
なに!? なんで!?
師匠!? 急に!?
どいうこと???




