◆◆◆◆◆『女子高生』のお願いで喫茶店のバイト店員になったら『ミニ四駆』の基礎技術を覚えることになった件⑥◆◆◆◆◆
セッティングって難しいですよね!
「おめでとうございます。弾さんの勝ちですね!」
「それにしても、二人とも面白いレースでしたね」
「電池の違いで勝負をするなんて」
「あっ、気づきました?」
さすがおねぇさん! よくわかってらっしゃる!
結婚してくれ!
「えぇ、もちろんです。」
えっ!? 心の声きこえちゃった?
そんなわけは無く、おねぇさんは、俺から純香ちゃんへと視線を移した。
「うーん……ちょっと速度上げすぎたかな?
前のレースの速度で完走されたら、負けそうだったから育成電池使ったんだけど、
スラスト角も触ったのはやっぱ、まずかったかなぁ……」
「そうねギリギリを狙いすぎですよ。」
イクセイデンチ? ストライクカク? なんじゃそら?
ボディ以外、殆ど何も変えてないと思ってたけど、実は色々変更してたんだ。
「やっぱし、負けるって悔しいし、どうせ勝つなら圧倒的にって思ったんだけど」
頭をぽりぽりとかく純香ちゃん。
「レースっていうのは直線だけが速ければ良いわけじゃないんだろ?」
「そうですね! 弾さんは面白い事やってましたよね。」
「面白い事って?」
きょとんとした顔で、俺を見る純香ちゃん。
「実は、何度か走らせてて、気づいたんですよ。
電池って使えば減るって事に」
「は? 当たり前じゃない?」
「そう! 電池を使えば減るって事は……遅くなるってこと」
俺がうなづくと、
「あ? え? あーーーーーー!!!」
目を見開き、俺を指差すと大きな声で叫ぶ!!
「だから、レース開始前にスイッチ入れてたんだ!!」
「正解!!」
「この間からコース走らせてて、気づいたんだけどさ。
充電完了させた直後に走らせるとブレーキが絶対に必要で、
ブレーキかけてたら、だいぶ遅くなって勝てる気がしなかったんだ。
なんとかしてブレーキを外せないかなと何週も走らせてると、
だんだん速度が下がってきやがって……
それで、そのままレーンチェンジに入るとガクッと速度が下がったんだ。
速度が下がったときにブレーキが当たって利きすぎてたってわけ、
それならブレーキかけなくっていいじゃねぇか?
って思って走らせたら、結構速く完走できたんだ。
……で何度も、コースアウトさせながらも、ベストな電池消費時間を探してたってわけ」
「裏で細々と、そんな事やってたんだ。意外と勉強家さんなんだね」
そういいながら純香ちゃんは、俺のサンダーショットを手に取りまじまじと見る。
「尊敬した?」
「ちょっとだけ」
口を尖らせながら純香ちゃんは、サンダーショットを返してくれる。
「電池残量の調整って大切なんですよね。
上級者の方たちは、いろいろな充電器を使って、電池の設定を調整しているんですよ。
中にはスマホアプリと連動した充電器を使って、個別に残りの電池量がどれくらいかとか調べてる人が居たりするんですよ」
個別に残り残量……って、そんな便利な道具があるなら、電池買ったときに教えてくださいよおねぇさん。
「ちなみに、その充電器はラジコン用ので1万円以上ですね。
さすがに最初からこの充電器を使う人とかはいないですけど……」
うん。その金額出すのは無理。
使えるって聞いていても買うことはないと思う!
まぁ、なんにせよ俺が勝ったことには違いない。
「それじゃそろそろ、私はランチタイムの準備しますね。」
そういうと、おねぇさんは喫茶店のほうへと、歩いていった。
作者も未だにフル充電で、走らせることができなくてなやんでます。
あぁーーー! 電池奥深し!




