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遠近揃いの紛いの切ない断ち

この作品には〔残酷描写〕が含まれています。

この作品には〔妄想・想像〕が含まれています。

文章も意味不明な点が多々あります。

苦手な方はご注意ください。

今日は来ているだろうか……。

今日こそは届いているだろうか……。

もう何通もやりとりしているんだ。

今回は……。

僕は半分の期待と半分の諦めの気持ちで、両足がついているポストを開く。


「あ……!あぁ……!」


思わず歓びの声が頭を突きぬける。

そこにはA4サイズの茶封筒が入っていた。

不格好な厚みをしている。

宛先は書いていないけど、これは誰がどう見ても私宛てだ。そうに決まっていた。

その場で破り開けてしまいたい、という逸る気持ちを必死に抑えつけて、私の部屋へ急ぐ。

鋏を使ってきれいに開けてやろうかと思ったが、我慢ができない。

やけに固い封筒を、私は歯を使って咀嚼しながら開ける。

震える指で中身を確認する。


「やったぞ!間違いない!」


そこには薬指が四本だけ入っていた。

彼女のだ!

同封してある手紙は、いつものように簡素な言葉を並べていたが、今回は違う。

本物がきたのだから……!

早速返事を出そうと、物置へ鉈を取りに行く。

まずは、いつものように手紙を書いて、きれいに折りたたむ。

ここからだ。今回から始まるのだ。

全身が震えだす。何しろ初恋なのだ。緊張もする。

左手を文机の上に置くと、狙いをつけて、震えを最小限にして、鉈を振り下ろした。


「……ぎゃ、ひっ、あっ!」


ああ、馬鹿、目を瞑ったから……。左腕は、前腕のちょうど真ん中あたりで切れていた。

格好悪い。でも仕方ない。

右腕一本という不便に負けずに、何とか左腕を茶封筒に詰め込む。

そしてすぐに、先ほどのポストへ投函する。これで一先ず安心だ。返事が待ち遠しい。

あまりにも待ち遠しいので、部屋に戻って、壁掛け時計の針を二時間ほど進めた。

焦る勢いで走って両足ポストへ向かう。

大き目の茶封筒が入っている。私のだ!

部屋に戻り、封筒を開ける。

今度は薬指のない右手首が入っていた。ひょっとしたら彼女は左利きなのだろうか。その事実が少しだけうれしい。

さあ、次は―――


それから、私たちは交換しあった。

私はたくさんの気持ちを伝えようと、たくさん”送り”続け、彼女は焦らす様に小出しに”送って”くれた。

とうとう僕は全部で左半身を送り出したことになった。しかし、僕の部屋には彼女の右腕部分しか完成していなかった。

少しだけ寂しい気持ちでいると、ふと、彼女の部屋へと視界のチャンネルが切り替わった。

僕の左半身の光景だ。

彼女は人体模型のように、僕の左半身をガラスケースの中へ入れ、丁寧に飾ってくれていた。

彼女は机に向って何かを書いている。僕への返事だろうか。


「それにしてもさ。」


彼女が椅子を動かしながら、僕を見た。僕の左目と目が合った。


「こんな時代遅れのやり方で気持ち伝えられてもねぇ……。古臭いなぁ、古臭いな。」


ニヤニヤと笑っている。

……あれ?

おかしい……彼女、両手がある。

僕はこのまま、彼女のことを好きでいいのだろうか。

急に不安になってしまった。



いや、このやり取りは古臭いっていうか、斬新すぎると思うのですが(笑)

夢の中の台本って誰が考えているのでしょうね?

グロくて不思議な失恋の夢でした。


何か感じ取ってくれた方は感想をよろしくお願いします。

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