覆われ悔悟
この作品には〔残酷描写〕が含まれています。
この作品には〔妄想・想像〕が含まれています。
文章も意味不明な点が多々あります。
苦手な方はご注意ください。
逃げなきゃ……!
捕まったら、きっと、殺される!
もうどのくらい走っているのだろうか。
後ろを振り返りたいが、すぐ目の前にウガキさんがいそうで、振り向けない。
スピードを落としたら、捕まる。
喉が痛い。呼吸をすることが辛い。
いっそ心臓を取り除いてしまいたい。
「誰か!助けて……!」
走り続けながら、必死に叫ぶ。
こんな街中なのに、誰一人として家から出てこない。
車も何もない。
どうして、どうして、僕がこんな目に合わなきゃいけないんだ。
何かに気づいて、顔を上げる。
ここは、シンくんの家だ。
そうだ。いつも一緒に遊んでいる……。
構うもんか。きっと誰もいないんだ。
幸い、ドアには鍵がかかっていなかった。
転がるように屋内に入り、鍵を閉める。
どこかに隠れてやり過ごすんだ……。
二階へ駆け上がり、誰のものかもわからない部屋に入る。
押入れがあった。
押入れに入る。
呼吸を整えて……落ち着こう。
「おい。」
身体が飛びあがる。
「ここは先に俺が見つけたんだ。出て行けよ。」
暗闇の中に、誰か、いる。
目だけが浮かび上がって、こっちを見ている。
「出て行けよ。」
「い……嫌だ。お願いだよ。外にウガキさんがいるんだ。君も知ってるだろ?ここで大人しくしているからさ。」
目が大きくなる。充血していく目を見て、背筋が凍った。
「出て行け!出て行け!出て行け!」
ああ、お願いだから、うるさくしないでよ。
「お前が来たから!ここは何もなかったんだ!それなのに……!」
「うるさい!黙れよ!黙れ!」
ウガキさんに見つかる前にこいつを出さなきゃ。
目玉に飛びかかり、掴む。
押入れの扉を開いて、そいつを叩き出した。
今度は扉を押さえる。こいつが入ってこないようにだ。
騒いだってどうでもいい。
ウガキさんも、一人捕まえれば、そのまま帰るはずなのだから。
「……。」
……どうもおかしい。
普通なら、形振り構わず、扉を突き破ってくるんじゃないのか?
静かだ。今度は、静かすぎて、怖い。
「おい……どうしたんだよ。」
「……。」
けれど、そこには確かに、そいつがいるのだ。
どうして、何も喋らない?
「ごめん……ごめん。やっぱり、一緒に入って―――」
「やっぱりな。」
びっくりする。
いきなり話しかけられた。
「そうすると思った。」
声が出せない。
「やっぱりな。そうすると思った。」
え?え?え?
意味がわからない。
扉を開こうとする。
でも、開くことができない。
腕は血が巡っていないかのように、力が入らない。
「やっぱりな。」
そうか、わかった。
腕がない。脚もない。
どこかに消えてしまった。
今は、きっと身体も消えて、こいつのように……。
「次はお前の番だからな。」
押入れって怖いですよね。
何もないとわかっているのに、開くたびに何かいそうで。
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