白を除くのは
この作品には〔残酷描写〕が含まれています。
この作品には〔妄想・想像〕が含まれています。
文章も意味不明な点が多々あります。
苦手な方はご注意ください。
エレベーターの中には四人の人物がいた。
一人の男性は小奇麗なスーツを着た青年実業家。
一人は清掃業務を仕事とする中年の男性。
一人は水商売をしている、化粧が濃く、きつい目をした若い女性。
最後はおどおどとした態度で、眼鏡をした落ち着かなく目を動かす若い男性。
四人は、密室で言葉を発することはなかった。
すると、エレベーターが急に動きを止めた。
ボタンの近くにいた、実業家がボタンを何度も押してみるが、動かない。
困惑する四人の頭上から、エレベーター内にアナウンスが流れだした。
「おめでとうございます。あなたたちに、栄光の人生を終了するチャンスが与えられました。」
機械的な女性の声は更に続ける。
「しかし、条件を満たした人だけが、このエレベーターを出ることができます。その条件とは、一番残酷な嘘をついた人です。その方だけが、チャンスを掴むことができるのです。それでは、ごきげんよう。」
音声はそこで途切れ、それから数分経っても二度と聞こえることはなかった。
「どういうことだ?」
実業家は大声を出して憤慨した。
「残酷な嘘なんて……そんな。」
中年の男はこの世の終わりのように嘆いた。
「あはは、最高ね、これ。」
女性は酒を煽りながら、面白がった。
眼鏡の男は無言で辺りを見回すばかりだった。
「いいわ。残酷な嘘をつけばいいんでしょ?」
女は酒を一気に飲み干すと、中年の男を指さし、
「私は、この人と不倫しました!」
と、大きな声で告げた。
すると、エレベーターの扉が開いた。
全員が悔しがる中、女は当然のように歩き出す。
そして扉の向こうへ足を踏み出して、悲鳴をあげて、落ちていった。
扉の向こうは、闇が広がるばかりだった。
呆気にとられていると、扉がゆっくりと閉まった。
「いいだろう!今度は俺だ!」
実業家は自信たっぷりに前へ出た。
「ここを出してくれるなら大金をやろう!」
扉が開かれ、エレベーター内に光がさした。
実業家は扉の向こうを確かめると、意気揚々と駆けていく。
すると、狭い通路の途中で実業家は躓いた。
実業家が足を見ると、通路にはワイヤーが張り巡らされ両方の足首が切断されていた。
実業家の苦悶の表情を残して、扉が閉まっていく。
「ど、どうすればいいんだ?みんな死んでしまうのでは……?」
眼鏡の男が情けない声を出して慌てた。
すると、残った若い男が初めて口を開いた。
「じ、実は、このエレベーターは僕が設計したんです……。」
「なんだって……?」
「ちょっとしたゲームのつもりだったんです。でも、本当に実用化されるなんて……。」
中年の男の顔が引きつった。
顔を真っ赤にして、怒りの表情をする。
「おまえが……!」
中年の男は気がつくと、眼鏡の男の首を絞めていた。
「お、お、お前が、よくも、よくも、ワシの、息子と娘を……!」
眼鏡の男は必死に抵抗するが、中年の男は手を緩めることはなかった。
やがて、両手に嫌な感覚を残して、眼鏡の男は死んだ。
肩で息をする中年の男の背後で、扉が開いた。
やがて先ほどのアナウンスが響いた。
「おめでとうございます。おめでとうございます。これにて、あなたの優勝が決定しました。存分に人生を終了させてください。」
中年の男は、汗だらけの呆けた顔で扉へ歩み出した。
真白な通路を歩く。
罠が仕掛けられていないかと、何度も確かめるが、何の変化もない。
「良かった……助かった……。」
安心して走り出す。すると、目の前に腰ほどの高さの赤い台が現れた。
「お父さん。」
声がしたほうを振り向くと、青年実業家と水商売の女がそこにいた。
驚いたことに、どちらも無傷でさっきまでのことが嘘のように、立っていた。
「やっぱり、あなたは俺たちの親だったのですね。」
「……あ、あぁ、すまない、すまなかった。」
「それじゃあ、僕はやっぱり、あなたの息子ではなかったのですね。」
後ろを振り返ると、眼鏡の男がいた。こちらも、完全に首の骨を折ったはずなのに、平然と歩いている。
「実に残酷な嘘でした。さあ、どうぞ。お父さん。」
赤い台には拳銃が置かれていた。
中年の男は涙混じりに謝罪の言葉を述べて、銃口を自らの口に含んだ。
「おめでとうございます。栄光の人生の終了です。この方は見事に残酷な嘘を―――――」
いきなりどういう夢なんでしょうか。
全くわかりません。
読んでくれた方はぜひとも感想をお願いします。