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09話:一人で裁縫をしていく(ミリア視点)

 ジークさんの部屋に戻って来てからしばらくして。


「それじゃあ俺、仕事があるから出かけるぞ」

「は、はい、わかりました。お仕事頑張ってください。それでは私は引き続きここで破れた衣服の修繕をしています」

「わかった。ま、適宜休憩を挟みながらノンビリと修繕作業してろよ。それと今日の生活費を少額だけどお前に渡しておくぞ。昼飯とか飲物とか何か欲しい物があったらその金を使って自分で買ってこいよ」

「え? お、お金を頂いてもよろしいのですか?」

「そりゃ良いに決まってんだろ。このまま何も飲まず食わずでずっと作業するなんて無理なんだから、金が必要になったら勝手に使ってくれ。あ、そういえばお前はここら辺の地理はわかってるのか?」

「あ、は、はい。私は王都出身なので、王都の地理は全て把握しています。ですからここら辺の地理もバッチリと把握しています」

「そうか。それなら安心だな。それじゃあその金を自由に使って昼飯とか飲物とか自分で買ってくれよ。何も飲まず食わず一日中作業とかだけはすんなよ。そんじゃあな」

「は、はい。わかりました。それでは行ってらっしゃいませ」


―― バタンッ……


 そう言ってジークさんは部屋から出ていった。ジークさんはまだ17歳なのにもうお仕事をしてるなんて凄いと思った。


「だから私も……頑張って出来る事をしなきゃ……」


 という事で私は目の前に積まれている沢山の衣服の修繕を始めていった。もちろん私の衣服よりも先にジークさんの衣服を先に修繕していった。


 だってジークさんには昨日から何度も助けて貰っているし、今日は生活費まで頂いてしまったのだから、私もしっかりと恩を返さなければならない。


 それに……。


―― そんな謙遜なんてしないで、もっと誇って良いだろ! ミリアは凄いぞ!


「……え、えへへ……」


 私はそう言われてちょっとだけ嬉しい気持ちになっていた。だって私は今まで生きてきた中で褒められた事なんて滅多になかったんだ。


 私は幼少の頃から立派な淑女になるために、毎日大変な勉強や修練などを沢山教え込まれていき、その教えを少しでも間違えたり上手く出来なかったら、すぐに怒られるという辛い毎日を送っていた。


 だからさっきジークさんに凄いって褒められたのが何だかとても嬉しい気持ちになったんだ。こんなにも全力で私を褒めてくれたのは生まれて初めてだったから……。


 だから私は何だかとても嬉しい気持ちになったんだ。そしてそんな気持ちにさせてくれたジークさんのためにも……ちゃんとジークさんの衣服の修繕を綺麗にやってあげよう。


◇◇◇◇


「……あ、ど、どうしよう……」


 裁縫を始めて二時間くらいが経過した。ジークさんの衣服を修繕したり、自分の衣服をしていったんだけど……でもその修繕作業の途中で糸と布が枯渇してしまった。


 まだまだ修繕したい衣服が沢山残っているというのに……。


「う、うーん……あ、そうだ。そういえばジークさんからお金を少し貰ったんだ」


 私はそれを思い出して机に置いといたお金が入った袋を手に取った。これはさっきジークさんが私に預けてくれた今日の生活費だ。


 私はすぐさまその袋の中身を確認してみた。すると中にはお昼ご飯を買っても十分おつりが貰えるくらいのお金が入っていた。


 ジークさんは“少額の生活費”と言ってたけど、でもそんな事はなかった。私のためにちょっと多めにお金を私に預けてくれたんだ。


「ジークさん……ありがとうございます……」


 という事で私はジークさんに感謝の気持ちを呟きながら、お金が入った袋を手に持ってジークさんの貸部屋から出ていった。


 そして私は衣服の修繕のために使う糸と布を買うために、それらが売ってる露店通りに向かって歩いていった。

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