08話:ミリアの衣服を買ってやる
ミリアと一緒に大肉串を食べていき、それからミリアを助けてやると宣言した後。
「ま、とりあえず人間ってのは衣食住さえあれば生きていけるからな。そんで今のお前は食と住は確保できてるから……だから後は衣をどうにかするだけだな」
「衣をどうするか……ですか。でも私、服を買うお金なんて――」
「だから金の心配なんてしなくて良いって言ってるだろ。俺が買ってやる。だからここは素直にありがとうございますって感謝しろよ」
「あ、は、はい……そ、その、ありがとうございます。ジークさん……」
「おうよ。だけど当たり前だが物凄く安物の服しか買わねぇからな。今までお前は貴族だから絹みたいな高級な服しか着てなかっただろうけど、これからは贅沢なんて出来ると思うなよ? これからは貴族ではなくてただの一般庶民として生きていくっていう覚悟を決めろよ? ミリアにはそれが出来るか?」
「一般庶民として生きる覚悟……はい。出来ます。私、これから一般庶民として生きていきます」
「よし。その覚悟が出来てるなら大丈夫だ。それじゃあ早速服を買いに行くぞ。確かあっちの通りに衣服の露店が並んでいるはずだ。という事でさっさと向かうぞ」
「は、はい。わかりました」
という事で俺達は早速衣服が売ってる通りに向かった。そこには多種多様な衣服を売ってる露店がズラっと並んでいた。
俺達は適当に近場の衣服を売ってる露店にお邪魔した。
「邪魔するぞ」
「はいよ。いらっしゃい。どんな物を探しているんだい?」
「コイツ用の衣服を欲しい。あ、でも価格はなるべく安いので頼む。そんで沢山買うからそこそこマケてくれると助かる」
「安い服か。まぁここに置いてあるのは中古の衣服だから全部安いけど……でもさらに安いのが欲しいんだったら、あっちの棚に入ってる服なら何着でも持っていってくれて構わないよ。何着持っていっても銀貨1枚ポッキリで良いよ」
「え? なんだよそれ、めっちゃ安いな? そんな格安で良いのか?」
「まぁ中古の中でも状態の悪い物ばっかりの棚って事さ。大きな穴が空いてたり、ほつれが酷いのが多いのさ。ま、そこら辺は自分達で確認しなよ」
「わかった。それじゃあ見させて貰うぞ。よし、早速見ていくぞ、ミリア」
「は、はい。わかりました……!」
そう言って俺達は衣服の露店売りの商品棚を確認していった。
棚には大量の衣服が置かれているけど、店員が言う通り大きな穴が空いてたり、ほつれが酷い衣服ばかりだった。
「うーん、まぁ格安とはいえ、流石にこんな大きな穴が空いてる服は駄目だな。こりゃあ違う店で買った方が……」
「いえ、大丈夫です。これくらいの穴だったら私……修繕出来ますから」
「え? 直せるのか?」
「はい。私……幼少の頃から裁縫は沢山やっていたので、ですからこれくらいの穴なら自分で裁縫して直す事は出来ます。あ、でもそのためには裁縫道具が必要になりますが……」
「あぁ、そういう事なら大丈夫だ。裁縫道具は昔ババアから貰った裁縫セットが家のタンスの中に眠ってるからそれを使ってくれ。それじゃあミリアが自分で直せるなら問題はないし、ここからミリアの欲しい服を沢山買っていくぞ。荷物持ちは俺が引き受けるから、ミリアは欲しい衣服を見つけたら制限無くどんどんと選び取ってくれ」
「は、はい、わかりました。それじゃあ、えっと、これとこれと……」
という事でそれからミリアは沢山の衣服(穴あき状態)を購入していった。
◇◇◇◇
ミリアの衣服の買い物を終えてからすぐ。俺達は一旦自宅の貸部屋に戻ってきた。
そして俺はミリアに裁縫セットを手渡していき、ミリアは試しに大きな穴が空いてた服の修繕を始めていったんだけど……。
「はい、出来ました。どうでしょうか。試しに一着修繕してみたんですけど……」
「え? もう出来たのか? さ、さっき縫い付けを始めたばっかりなのに早過ぎだろ。それじゃあどれどれ……って、えっ!?」
ミリアは修繕を終えた服を俺に見してきた。なので確認してみたんだけど……あまりにも綺麗な出来栄えだったのでビックリとしてしまった。
もちろん穴を塞ぐために他の生地を流用して縫い合わせているので、若干ツギハギ感は出ているけど、でも縫い目はとても細かく綺麗だった。物凄く洗練とした裁縫スキルを持っているようだ。
「え……って、どうしたんですか? も、もしかして……酷い出来栄えでしたか……?」
「あ、いや逆だよ逆。物凄く綺麗に修繕出来ててビックリしたんだ。いやミリア凄いじゃんか! こんな熟練の裁縫スキルを持ってるなんてマジで凄いぞ!」
「ふぇっ? す、すごい……? ほ、本当ですか? い、いや、でも別にこんなの大したスキルじゃないですよ。ただ昔から裁縫をしていたってだけですし、こんなスキルは今まで何処にも役立ちませんでしたし……」
「いやいや。今まさに役立ってるじゃんか! そんな謙遜なんてしないで、もっと誇って良いだろ! ミリアは凄いぞ!」
「そ、そうですかね? す、凄いですかね……え、えへへ……そうですか……」
俺がそう言うと不安そうな顔をしていたミリアは喜んだ表情に変わっていった。それに少しだけ顔を赤くしていた。
「あぁ、本当に凄いよ。俺も自分の服が破けた時に裁縫はちょこちょこするんだけど、でも手先が不器用だから全然上手く縫い付けられねぇんだ。だからミリアのその熟練の裁縫スキルは羨ましいな」
「そ、そうなんですか? あ、そ、それじゃあ良かったら私……ジークさんの服の修繕とかしますよ……? もしもご迷惑でなければですけど……」
「え? 本当か? 全然迷惑じゃねぇよ! むしろ大助かりだよ! それじゃあお願い出来るか?」
「そ、そうですか……ふふ、良かったです。わかりました。私に任せてください。それでは修繕して欲しいジークさんの服を渡して頂けると助かります」
「ありがとう。恩に着る。それじゃあ俺の服なんだけど……」
という事俺はミリアに服の修繕を頼むことにした。俺はミリアに渡すために棚の中から修繕して欲しい服を探し始めていった。
それにしてもミリアは何だかさっきから嬉しそうな顔をしているんだけど……一体どうしたんだろう?




