07話:ミリアを助けてやる事にする
ミリアと大肉串を食べ始めてからしばらくして。
「ご馳走様でした……! とても美味しかったです……! ジークさん、ありがとうございました……!」
ミリアは大肉串をペロリと平らげていき、俺に向かって深々と感謝を伝えてきた。
「おう。別にいいさ。それにしてもあんな大きい肉串をこんな短時間でペロリと食べるなんて凄いな。それに物凄く美味しそうにバクバクと食ってたよな。お前の食いっぷりは見てて気持ち良かったぞ」
「ふ、ふぇっ? あ、い、いえ……す、すいません、食い意地を張ってしまい、ガツガツと食べてしまって……」
「いや怒ってる訳じゃないんだから謝るなよ。でもあんだけ早く食うって事は、もしかして結構腹が減ってたのか?」
「は、はい、そうですね。お腹はちょっと空いてましたけど……で、でもそれよりも、こんなに美味しい物を食べたのが初めてだったから……それでついつい食べる速度がいつも以上に早くなってしまったといいますか……」
ミリアは顔をちょっと赤くしながら恥ずかしそうにそう答えてきた。その様子からして本当に美味しかったと思ってくれたようだ。
「はは、そういう事か。ミリアがそれ程までに肉串を気に入ってくれたのなら俺も紹介した甲斐があったってもんだ。よし、それじゃあ腹ごしらえも済んだ事だし、そろそろ本題に進んでもいいか?」
「は、はい……って、え? ほ、本題ですか? それって一体……?」
「もちろんお前の事だ。お前は許嫁に婚約破棄されて、家からも追放されちまったんだろ? お前、これからどうすんだよ? 頼れるヤツとか周りにはいるのか?」
「え……あっ。え、えっと、そ、それは……その……」
「? 頼れるヤツはいねぇのか? それじゃあこれからどうやって生活するんだ? これから一人で生きていく計画とかちゃんとあるのか? 何か考えてるのか?」
「う……そ、それは……そ、そういうのは……その……えっと……」
「おいコラ。真面目に質問してんだからウジウジしてねぇでスパっと答えろよ。どっちなんだよ?」
「あ、は、はい、す、すいません……そ、その……頼れる相手はいませんし……これからの生活についても……何も考えていません……」
俺がそう聞くとミリアは暗い表情になりながらそう言ってきた。まぁそりゃあ昨日追放されたばっかりだからな。何も考えられてなくて当たり前だろう。
「ふぅん。なるほどな。ま、そういう事なら、これからもしばらくは俺の貸部屋に暮らしてくれて構わねぇぞ?」
「はい、本当にすいませ……えっ?」
「? どうしたよ? そんなポカーンとした顔をして?」
「え、えっと……い、いや、それはポカーンとした顔にもなりますって。これからもジークさんの貸部屋に泊っても良いなんて……ほ、本当に言ってますか……?」
「もちろんだ。だって流石にこのまま一人で生きていくのは大変だろ? だからお前がちゃんと一人で暮らせるようになるまでは、俺が力を貸してやるよ」
「えっ!? い、いや、そんなっ……ち、力を貸してくれるなんて……で、でも私、昨日からずっとジークさんには物凄く迷惑をかけてしまっているんですよ? だ、だからその……こ、これ以上ジークさんに迷惑をかけてしまうのは流石に申し訳ないですよ……」
「迷惑をかけてしまうのが申し訳ない? いや今はそんなの気にしてる場合じゃねぇだろ。ここは助けてくれるって言ってるヤツの力を素直に借りとけよ」
「で、でも……ジークさんは私の怪我の手当てをして下さったり、自宅に泊めて下さったり、朝食も御馳走して下さったりして……こんなにも沢山ジークさんには迷惑をかけてしまっているので……だ、だからこれ以上ジークさんには迷惑はもうかけたくな――」
「あーうっせぇな。年下のガキのクセに申し訳なさそうな顔すんじゃねぇ!」
「え……あ、いたっ!」
―― ピシンッ
俺は申し訳なさそうにしているミリアに向かって軽くデコピンをしていった。
そしてそれからすぐミリアにこう言った。
「おい。ミリア。お前何歳だっけ?」
「え……そ、それは……16歳ですけど……?」
「だろ。俺は17歳だ。つまり俺の方が人生の先輩なんだ。そんで人生の先輩が言った事は、後輩なら素直に従わなきゃいけねぇんだぞ? そんなのも知らねぇのか?」
「え……そ、そうなんですか……?」
「あぁ、そうなんだよ。人生の先輩がお前を助けてやるって言ってんだから、後輩のお前はそれに素直に従って助けて貰えよな」
「そ、それは……でも、ほ、本当に良いんですか……? 私……ジークさんに助けて貰う程の価値なんて無いですよ……?」
「価値のねぇ人間なんてこの世にいる訳ねぇだろ。馬鹿かお前は。そんなの気にすんな。いいから俺に助けさせろよ。それとも助けなんていらないってことか?」
「い、いえ……そ、そんな事は……私、助けて欲しいです……」
「だろ。それならさっさとそう言えよな。よし、それじゃあ俺が助けてやるよ。だからそんな暗い表情なんてするなよ」
「え……あっ……」
―― ポンポンッ……
俺はまたいつものガキ共を慰めるみたいに、ミリアの頭をポンポンと優しく撫でていった。
「まぁいきなり家から追放されて大変だとは思うけどよ、でも俺が助けてやるから安心しろよ。ちゃんとお前が一人で生きていけるように力を貸してやるからさ。だからもう安心しろよ。ミリア」
「ジークさん……はい……ありがとうございます……」
「おうよ」
そう言って俺はそれからもしばらくの間はミリアの頭を優しく撫で続けていった。




