04話:目が覚めると女が体育座りしながらじっとしてた
翌朝。
―― チュンチュン……
「……」
「ふ、ふぁあ……ふぅ。良く寝たなー」
窓の外から鳥のさえずりが聞こえて目が覚めた。俺は欠伸をしながらソファから立ち上がった。
そして俺は軽く背伸びをしながら、ついでに何となくベッドの方に顔を向けていった。すると……。
「……」
「ん、んんー……って、うわっ! な、何だよ、お前。起きてたのかよ?」
何となくベッドの方に顔を向けていくと、女がベッドの上でちょこんと体育座りをしてる事に気が付いてちょっとだけビックリとしてしまった。
という事はつまりこの女は俺よりも先に起きてたって事だ。
「……はい、おはようございます……」
女は俺の方を見ながらそう小さく挨拶をしてきた。昨日と同じく目は黒く濁っているし、死んだ魚のような目をしてる。という事はもしかして……。
「お、おう。おはようさん。お前起きてたのかよ。もしかして脇腹の怪我が痛くて眠れなかったのか? それでベッドの上で座りながらじっと耐えてたとかか?」
「……いえ、怪我に関しては大丈夫です。全く痛みはありません。昨日は手当をして頂きまして本当にありがとうございました……」
「ふぅん、そうなのか? まぁ怪我が治ったのなら良かったな」
もしかして脇腹の怪我が痛くて眠れなかったのかと思ってそう尋ねたのだけど、でも怪我はもう大丈夫との事だ。
それならまぁ良かったんだけど、でもそれじゃあどうしてコイツはベッドの上でじっと待機してたんだろう?
「でもそれじゃあ、どうしてお前はベッドの上でじっと座りながら待機してたんだよ? ってか、お前はいつくらいから起きてたんだ?」
「えっと……およそ一時間くらい前に目が覚めてました」
「は、はぁ? そんな早くに目が覚めてたのかよ? それなのに起きてからずっとベッドの上で体育座りしてたのか?」
「は、はい……」
俺はビックリとしながらそう言った。まさか一時間近くもベッドの上でじっと体育座りしてるなんて思わなかったからだ。暇人かよコイツ??
孤児院にいるクソガキ共だったら皆目を覚ましたら三秒でベッドから飛び出て『朝だ朝だ、兄ちゃんご飯食べよー!』って言ってテンションブチ上げながら大暴れするっていうのに……コイツは何してんだよ?
「はぁ、お前何してんだよ。起きたんならさっさと顔を洗ったり、歯を磨いたりしろよ……って、いやまぁ、俺が洗面所の案内とか何もしてなかったから出来ねぇか。いやそれなら俺をさっさと起こせよ。何で俺を起こさないで一人で静かにベッドの上で体育座りしてたんだよ?」
「そ、それはその……スヤスヤと気持ちよさそうに眠っていらっしゃるのに……そんなアナタ様を起こしてしまうなんて駄目だと思ったので……」
「いや馬鹿かよお前。駄目な訳ねぇだろ。朝起きたら顔を洗って歯磨きをするなんて人として当たり前の行動だろうが。だから洗面所の場所がわからないんだったらさっさと俺を叩き起こして場所を教えて貰えよな」
「え……えっ!? と、殿方を叩いたりするなんて……そ、そんな事は私には絶対に出来ませんよ……!」
「はぁ? 何でだよ? 別に叩くくらいしたって良いだろ? ってか昨日の内にちゃんと洗面所の場所を教えなかった俺が悪いんだから、別にお前に叩かれたとしても文句はねぇよ」
「なっ!? そ、そんな事を言われても絶対に駄目に決まってます……! な、何故なら我々淑女は常に殿方を立てるよう行動するのが義務となっておりますので……ですから殿方に対して手を出したり、口答えをするなんて事は絶対にやってはいけないのです……」
「絶対に駄目? 男を立てる? 何だそりゃ? なんか意味わかんねぇけど……ま、いいや。とりあえずさっさと顔を洗って歯磨きを済ませるぞ。ほら、洗面所はこっちだ。俺の後についてきな」
「は、はい、わかりました……」
そう言って俺はその女と一緒に洗面所の方に向かって行った。




