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12話:ブラフのみで喧嘩していく

 という事で俺はこの状況を利用してニヤニヤと意味深に笑い始めた。


「俺が何者だって? はは、お前らはそんな事もわからねぇのか? この俺の身なりを見ればすぐにわかるだろう……?」

「う、うわっ……!」

「わ、わわっ……!」

「ひ、ひぇっ……!」


 俺はそう言いながら腰に差している片手剣の柄に手をそっと添えてみた。


 そしたら思った以上に効果があったようで、目の前の三人組の男女は滅茶苦茶ビビッた顔をし始めた。


 どうやら俺の事を裏稼業の人間だと完璧に勘違いしてくれたようだ。


 でもこんな簡単に騙されるなんて逆にピュア過ぎるだろ。ミリアもそうだけど、貴族様ってのはピュアな人種が多いのかもしれねぇな。


「うっ……あ……お、おい、ミリア……! お、おまえ……! き、貴族のクセに……こ、こんなヤベェ身なりのヤツとどうして知り合いなんだよ……!?」

「そ、そうよ……! ミリアだって由緒正しい貴族の端くれでしょ……! そ、それなのに……ど、どうしてこんなヤバイ男と一緒にいるのよ……!」

「えっ? い、いや、ジークさんは決してそんな変な御方では――」

「はは、俺がヤバイって? 俺がヤバいヤツだって言うんなら、ミリアもヤベェ事になっちまうぞ? だってミリアは……俺の女なんだからよ!」 

「え……えぇっ!?」

「なっ、なんですって……!?」

「ミ、ミリアが……こ、こんな危ない男の……!?」

「ふぇっ!? わ、私がジ、ジークさんの女っ!?」


 俺は笑いながらそんな事を高らかに宣言をした。そしたら案の定三人組は思いっきりビックリとした表情を浮かべていった。


 だけどミリアもアイツらと一緒になって思いっきりビックリとした表情をしてしまった。


(はぁ、全く……ミリアって絶対に嘘とか付けないタイプだよな)


 という事でこのまま長い事コイツらと口論していても、ミリアの表情とか喋り方で俺の嘘がバレる気がした。


 だから俺は嘘がバレる前にさっさと決着をつけるために、俺はすぐさま早口でこうまくし立てて言った。


「ビックリとしているようだが事実だ。ミリアは俺の女なのさ。そんで俺はここら辺のアウトロー界隈ではそれなりに知れ渡っている男だ。改めてよろしく頼むぜ?」

「え……お、お前が……ミリアと……? い、いや、で、でも……あ、ありえねぇだろ……ど、どうしてお前みたいな男が……あ、あの陰気で暗いミリアなんかと……?」

「そんなの男のお前ならわかるだろ? コイツが物凄く美人な女だからだよ。一目ぼれってヤツさ。俺は今までミリア以上に良い面をした女を見た事がねぇ。だから俺は全力を尽くしてミリアを俺の女にした。ただそれだけの話さ」

「ふ、ふぇっ!? び、美じっ……ん……!?」


(……おいおい。いちいちリアクションを取り過ぎだろ。少しはポーカーフェイスを決め込んでくれよな)


 俺がそう言うと、またミリアが思いっきりビックリとしだしていた。しかも顔を真っ赤にしてしまっている。何だか頭から湯気が出てそうな雰囲気もある。


 ちょっとくらいは平然としてくれよな。まぁいいけど。


「という事で俺にとってミリアは世界で一番大切な女なんだよ。そんでお前らに聞きたい事があるんだけどよ……お前らは俺の女を泣かせているようだが……この落とし前はどう付けるつもりなんだ……?」

「えっ!?」

「ひ、ひぇっ……!?」

「い、いや、そ、それはその……べ、別にその……俺達が泣かしたわけでは……」

「はは、面白い冗談だなぁ。でもそんな舐めた態度でいると……お前らは大変な事になるかもしれねぇぞ……? だってここら辺はスラップラード通りだからな。お前らもスラップラード通りの治安については聞いた事あるんじゃねぇのか?」

「え……い、いや、でも、スラップラード通りは日中なら安全だって皆言ってるし……そ、それに今まで何度もスラップラード通りで遊んでるけど……あ、危ない目なんて遭った事は一度もないし……」

「そ、そうよ。そ、それにそんな犯罪まがいな事が起きたら、周りの警備隊だってすぐに動くに決まってるわよ……! だ、だからそんな変な事なんて出来る訳ないでしょ……!」

「そりゃあ俺だって捕まりたくはねぇからな。だから極力カタギには迷惑をかける事はしねぇよ。でも俺の女を泣かせたなら話は別だ……今すぐに俺の仲間に号令をかけてここに集結させるわ。そんで今からお前らには俺の女を泣かせた落とし前をしっかりと付けて貰うぜ? はは、覚悟しとけよな……??」

「ひ、ひぇっ……!!」

「お、おい、逃げるぞ!! こ、こんな所にいてられるか!」

「う、うん!! わ、わかった……! い、今すぐ逃げよう……!!」

「あ、ちょ、ちょっと!? わ、私を置いてかないでよ……!!」


―― ダダダダダッ!!


 そう言って三人組の男女は駆け足で俺達の元から去っていった。どうやら俺のテキトーに付いた嘘を全部信じたようだ。


 だけどこんなテキトーな嘘を全部信じてすぐに逃げてしまうなんて……ふん、やっぱり思った通り軟弱なクソガキ共だったな。

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