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01話:生まれ育った孤児院を訪れる

 俺の名前はジーク。17歳の男だ。


 両親はいない。俺が赤ん坊の頃に事故で死んだらしい。


 だから俺は赤ん坊の頃から王都にある孤児院で暮らしていたんだけど、俺はその孤児院での暮らしに毎日イライラを募らせる日々だった。


 だって孤児院にいるガキ共はクソうるせぇし、ババアの作る飯はいつもクソ不味いし、ボロボロな孤児院だから隙間風が入ってきて毎日クソ寒いし……マジで良い所が一つも無いクソ過ぎる孤児院だったんだ。


 だから俺は子供の頃から早く仕事を見つけてさっさと独り立ちしたいと考えていった。


 仕事を始めればそれはもう一人前の大人という扱いになるので、そうすれば必然的に孤児院を出れるようになるからだ。


 という事で俺は冒険者ライセンスが取得出来る15歳の誕生日にすぐさまライセンスを取得して冒険者になった。冒険者は学がねぇ俺でもなれる最高の職業だった。


 そして冒険者になった俺は毎日のように数多くの冒険依頼をこなしていった。山や森やダンジョンなど色々な所を冒険してきたし、沢山のモンスターとも戦ってきた。


 そんな数多くの冒険依頼をこなしてきた事で、今の俺には何不自由なく暮らせる程の稼ぎが出来ていた。


 今はワンルームの小さな貸部屋を借りてそこで一人暮らしをしている。あのボロボロな孤児院に居た時はとは比べ物にならない程の優雅な生活が出来ていた。


 今は毎日美味い飯が食えてるし、一人でベッドを占領出来てるし、綺麗な服を毎日着れてるし、それにうるせぇガキ共もいなくて毎日静かな生活が出来てるからストレスも一切無くて最高な毎日だ。


 あのクソ過ぎる孤児院にいた時は毎日不満だらけでストレスも半端無かったけど、冒険者になった今ではあの時のストレスなど一切なく毎日楽しい生活が出来ている。もはや人生の勝ち組だと言っても過言ではない程だ。


 という事で今日はそんな人生の勝ち組となった俺の姿を見せびらかすために、俺は久々に孤児院を訪れてみる事にしたのであった。


◇◇◇◇


 ボロボロな孤児院にやって来た俺はすぐに院長室に向かった。すると院長室にはいつも通りのしみったれた面をしてるクソババアが居た。


「おう。クソババア。まだ生きてたのかよ?」

「ふふ、ちゃんと生きてるわよ。ジークはどうかしら? 一人暮らしは楽しく出来ているかしら? それとお仕事は上手くいっているのかしら?」

「そんなの毎日楽しく暮らせてるに決まってんだろ。それに仕事も順調だ。最近なんてオークゴブリンを倒せるようになったからC級冒険者に昇格したんだぜ。ほら見ろよ、この銅色に輝くC級のタグをさ。はは、どうだ、カッコ良いだろ??」


 俺はC級に昇格して手に入れた銅色に輝く冒険者タグをババアに見せつけていった。


 するとババアはその冒険者タグを見つめながら嬉しそうな表情でこんな事を言ってきた。


「まぁ、本当ね。ピカピカに輝いていてカッコ良いわ。それにこんなにも早くC級に昇級するなんて凄い事よね。昔からジークは頑張り屋さんだったから、きっと冒険者になった後も毎日頑張って冒険者活動をしてきたのよね。ふふ、本当に偉いわね、ジーク」

「はぁ? 何言ってんだババア? 俺は別に頑張屋なんかじゃねぇよ。俺には冒険者の才能があったからここまで爆速でC級に上がったってだけだよ。まぁでも冒険者になってからは毎日大金が稼げてるから最高だぜ。今日の朝も高級な美味い飯がたらふく食ってきたからな。はは、どうだよババア? 俺が羨ましいだろ!」

「ふふ、そうなのね。ジークが毎日お腹いっぱい食べれてるようで、私も凄く嬉しいわ」

「嬉しい? いやちげぇよ。俺は羨ましいかを聞いてんだよ。ババアやクソガキ共が毎日貧しい飯しか食えてないのを横目にして俺は毎日美味ぇ飯を食いまくってるんだぜ? はは、どうだよ? 本当は俺の事が羨ましくてたまらねぇだろ? 素直にそう認めろよ」

「ふふ、そんなの嬉しいという気持ちしかないわよ。私にとってジークは血が繋がってなくても大切な息子だから。だからそんな大切な息子のジークがどんどんと優秀な冒険者になっていって、それで美味しい物が沢山食べれるようになっているなんて、そんなの嬉しいに決まってるでしょ?」

「……っち。相変わらず張り合いがねぇババアだな。まぁいいや。あ、そうだ。そういやババア、孤児院のグラウンドに何かこんな袋が落ちてたぞ。ほらよ」

「え? グラウンドに落とし物?」


 俺はそう言ってババアに袋を投げ付けた。ババアは俺の投げた袋を受け取っていき、中身を確認し始めていった。


「子供達が落としたのかしらね? ……って、あら。これは金貨じゃないの。袋の中に大量の金貨が入ってるわよ」

「へぇ、そうなのか。どうやら間抜けな誰かが孤児院にウッカリと落としていったみたいだな。ま、このボロボロな孤児院は万年金欠で大変なんだし、ここはお布施だと思って受け取っておけよ」

「……ふふ、そうね。それじゃあ有難くお布施として受け取っておくわ。いつもありがとうね、ジーク」

「はぁ? いや何で俺にお礼なんてしてるんだよ? 俺は落ちてた袋を拾っただけだぞ? 何勘違いしてんだよババア。急に意味不明な事を言いやがって、ついにボケたか?」

「ふふ、そうね。私の勘違いね。わかったわ。それじゃあ金貨の入った袋を落としたどこかの誰かさんにお礼をしておくわね。ありがとう。この孤児院のためにこんなにも大量の金貨をお布施してくれて。大切に使わせて貰うわね」

「おうよ。まぁ大切に使うかどうかはババアが決める事だから俺はとやかく言う気はねぇけどよ、でもせっかく大金が手に入ったんだから、今日くらいはクソガキ共にうめぇ飯でも食わせてやれよな」

「えぇ、わかったわ。それじゃあジークの言葉に従って、今日はとびっきり美味しい食材を買って子供達の好きなモノを沢山作ってあげる事にするわね」

「おう。そうしとけそうしとけ。それじゃあババアのしみったれた面を拝めた事だし、そろそろ俺は帰るとするかな」


 ババアが金の入った袋を受け取ったのを確認した俺は、そう言って椅子から立ち上がっていった。


「あら、もう帰っちゃうの? まだ来たばかりで何もしてないじゃないの。せっかくだからもっとゆっくりしていって頂戴よ」

「はん、嫌だね。こんなクソみてぇなボロボロな孤児院に居ても何にも楽しくねぇからな。それに俺は一流の冒険者だから俺宛てへの依頼が大量に来てるんだよ。だからこんな所で油を売ってる暇はねぇんだよ。今日もこれからすぐに冒険に出なきゃいけねぇんだからよ」

「あぁ、そうだったのね。お仕事ご苦労様。忙しいのにわざわざ孤児院まで来てくれたなんて嬉しいわ。それにジークの近況報告が久々に聞けて嬉しかったわよ」

「別にババアを喜ばすために来た訳じゃねぇよ。ま、ババアのしみったれた面を拝めたのは面白かったから来た甲斐はあったけどな。あはは」

「ふふ、私もジークの元気そうな顔が見れて嬉しかったわ。あ、そうだ。そういえば子供達も皆ジークに会いたがってたわよ。だからまた時間が出来たら孤児院に遊びに来てくれたら嬉しいわ」

「はんっ、クソガキ共のお守をしに来いだなんて嫌に決まってんだろ。それに俺は一流の冒険者だから毎日依頼を引き受けてて忙しいんだから、そんな簡単に孤児院に立ち寄れる訳ねぇだろ。そんな馬鹿みてぇな事を頼んでんじゃねぇよクソババアが。……まぁでも、ババアのしみったれた面を久々に拝めて楽しかったし、いつか気分が乗ったらまた遊びに来てやるよ。そんで次来た時はクソガキ共のしみったれた面を見て盛大に笑ってやるとするかな。ぷはは」

「ふふ、そう言ってくれると嬉しいわ。きっと子供達も喜ぶと思うわよ。それじゃあまた遊びに来てね。いつでも歓迎するからね、ジーク」

「おう。ま、気が向いたらまた来てやるよ。だからまた俺が来るまでちゃんと長生きしろよな、クソババア」

「えぇ、もちろん。ジークこそ冒険中の怪我には気を付けてね。これからもジークの活躍を応援してるからね。ふふ、それじゃあ気を付けて行ってらっしゃい、ジーク」

「俺が怪我なんてする訳ねぇだろ。馬鹿かよクソババアが。ま、でも忠告くらいは聞いといてやるよ。そんじゃあまたな……ババア」


 俺はそう言って孤児院を後にした。クソババアのしみったれた面を拝めてマジで最高だったぜ。それに相変わらず貧乏臭そうな身なりで笑っちまったぜ。


 そしてあんなみすぼらしい姿のクソババアを見れた事で今日のやる気が一気に出てきた。よし、それじゃあ今日も冒険依頼を頑張っていくとしよう。

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