「だ、誰よこの女!!」 「私じゃん!!」
「はあぁ?」
自分の配達歴の中でも、盗難被害は4件ほどあります。(場所はやっぱり、アレな感じなところ)
「いや、んな馬鹿な」
しかし、”宅配BOX”に入った荷物が盗まれたケースは一度もありません。
ハイリスク・ローリターン過ぎますからね。
置き配されたものでもやるもんじゃないですよ。
ですから、先日。……というか10日前くらいから続いていた不着申告のお話が決着したのですが。
「宅配BOXごと盗む方なんていませんよ」
ましてやね
「マンションの宅配BOXですよ。あんなもん、ルパンでも盗みませんよ」
宅配BOXに入った荷物が盗まれたという事件が発生しました。
もちろん、どこにあるかは分かっていません。解決はしたけど
◇ ◇
お盆時期というのはお仕事が暇になる = 在宅されている方々が多く。
「苦情が多いんですけど~」
コールセンターの隅田川ちゃんも不満顔。涼しい部屋で仕事できるから、強くは言えないんですけど
「荷物が届いてないってー!はい、答えてね!山口くん」
「めんどくせぇーな……つーか、これ。宅配BOXに入れてんじゃねぇか」
荷物の処理を検索すると、宅配BOXに入っているという結果だ。
いや、あんた。宅配BOXを見ましたか?いちいち、連絡しろなんて言わせるんじゃねぇって内心思いながら
「5番の宅配BOXに投函してるんですけれどー」
とはいえ、……お客様からすれば、荷物がないからあんた達が誤配してるんじゃないの!?という回答ばかりである。
「いや、こちらもGPSの位置が間違いなく、そのマンションを指しておりますし、データからも」
入ってないんだから、データとデータと言わないで!!すぐに持って来てよ!!
いや、配達側からしたらそーなる理由が分からないんだよ。
宅配BOXに投函してるんだぜ。
「落ち着いてください。こちらも現地確認をもう一度とりますけど、宅配BOXの5番にはお荷物がないんですか?その宅配BOXはカードキータイプで、お客様のカードキーがないと、取り出せないはずですよ」
ダイヤル式なら、なんかの拍子で開けられて盗むというのは、理論上は可能ではあるが(まず誰もやらないけれど)。カードキーを差し込まないと開かないシステムの場合。居住者以外が使用しないと取り出すことはできないはずだ。
「連絡票はお持ちですか?お荷物を宅配BOX5番に入れたって紙」
それはあります!!でも、荷物が宅配BOXにないんです!!
いや、だから。それが分かんねぇんだよ。
「ご家族が宅配BOXからとったとかは?」
カードキーは私が持ってるんですよ!!私以外がカードキーを持ってるって言うんですか!?
「はぁ~~……ほぉ~~……」
という話。というか、苦情をガンガン言えるのも、お盆ならではだ。
幸いにも忙しくないから、お客様が納得しないというから、他のマンションや他の部屋に間違って投函したのか。聞き込み調査を行った。しかしながら、
「「いや、そんなことないんですけど」」
「そうですかー」
かなり聞いて回ったけれど、結果荷物は見つからなかったのだ。しかし、お客様は納得しない。
口だけの質問で納得できないのも分かる。その証拠が必要だ!!
「集合ポストには監視カメラがあるわ!!管理人!!お盆だからって休んでないでよ!!」
一方でお客様は管理会社に問い合わせた。というか、激しい抗議をしたようだ。……もちろんだが、お盆休み中だ。そんなことで対応なんかできるか。
こっちもこっちで、……1週間近くはこのお客様とやりとりをしていた。
「月曜日に管理人がすぐ来てくれて、監視カメラの映像を確認するって」
◇ ◇
で、管理人さんが来て、監視カメラの映像を確認したところ。
山口が確かに、その日に宅配BOXの5番に荷物を入れる映像が映っていた。
「だ、誰よこの女!!」
そして、その日の深夜帯。足取りがおぼつかない女性が、エントランスを行ったり来たりしながら、連絡票の紙を持って、宅配BOXの前で……オロオロとしていた。(という表現にする)
10分以上もそこでふらつきながら、宅配BOXを触ったりしながら、カードキーをようやく入れることに成功して、監視カメラに向けて(意図的ではないが)
『うぇ~…………』
「私じゃん!!」
いや、そもそもあんたしか荷物をとれるのが、いないじゃん!!
「えっ!?じゃあ、私のお荷物はどこにあるんですか!!?」
「知らねぇーーーよ!!!」
羽目を外してお酒を呑むのもいいけど、程々にしてください。
本人が荷物を取り出したまでは確認がとれたので、この件はもう終わりましたとさ。




