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雑詠その4
早春の夜空寒さに息吐けば月をも覆う白色の幕
新芽まで一年待つを散ると言う桜木が消える訳でもないのに
日夜とも首振り続ける扇風機真似は出来ない奉仕の姿
草刈りの鎌の先に現れる何にもいないかまきりの巣
彼岸より一日早い墓参り盆に供えた花は痩せ枯れ
秋雨は袈裟切りしたかと思っていると忍者のように雲隠れする
楓たち揺らめきながら空中を舞い落ちた後レッドカーペット
十六夜の月を食らうと進み行く鵺の姿の秋の雲群
星空を半時ほどでかすませる気まぐれ秋の雲の一群
冬至前傘の親骨へし曲げるビルの谷間に風ぞ吹きける