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雑詠その3
夕映えに紅色の雲がほら火の鳥になって優雅に浮かぶ
大陸と太宰が呼んだ佐渡島むしろ背を出すプレシオサウルス
それほどにあるのであればこの手にも掬えていいのに煌めきの星
ちはやぶる神の元への参道を濡らす霧雨息と交わる
白々と昇る陽に手を合わす元旦の日の朝の出来事
境内のつぼみの梅はもういくつ朝を迎えて春を告げる
水色の空を背にして冷風に耐え揺れ梅の花が今咲く
春を呼ぶ空や風やと肌に触れ名残の香る冬に振り向く
松の葉の先に結んだ雨雫新芽のように光を湛えて
磨りガラスその向こう側で紫陽花を光らせ揺らす音のない風