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換喩
人生のあちらこちらに付箋あり記憶はそこへ誰が貼ったか
半熟のベーコンエッグ黄身あふれ波となるからベーコンを越え
晴れたから宅配便は船に乗る雨でも雪でも風でも届く
夕方に冷たいポスト開いては虚空手探り待つ物はなく
牛丼の熱さなんぞもなんのその箸は等速直線運動する
鏡には何ともひどい寝ぐせあり顔もろともに冷たい水を
扇風機冬と言えども活躍す室内干しは静かに揺れる
トレーにも具材もなくて仕方なく具なしチャーハン味噌汁の夕食
焼酎のロックを嗜みしたたかに酔ってそのまま眠りに落ちる
コーヒーの跡が残ったマグカップ漂白剤浸け白く輝く




