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雑詠その1
大野亀名にし負うならカンゾウの波竜宮の君へ導け
いちじくは薄味庭の切り株よ今は昔のとうがきの味
ライスカレーいつでも叔母はそう言って従姉はまるで気にも留めない
新年に手帳は変わる亡き母のいたわる一筆今年のにも
冴え返り桜のつぼみ満を持すこらえればこそこらえたからこそ
秋の空どんより雲が広がって小学生はがむしゃらマラソン
玄関の赤玉石よ御力でせめて今宵は水を差されず
胸と背に赤子を抱く母は両手にゴミ袋軽トラ見やる
CGの戦国部隊の大将と記号にならない足軽たちと
真夜中の空寒いような玄関は朝の左義長下げた注連縄
赤鬼の気持ちはかれるくらいなら思いを尽くして言葉を尽くして
山頂ののっぺりとした積雪を見上げているのはのっぺりとした僕