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中 その3
秋の雨目瞼の痙攣止まらないギュッとつむって虚空の中か
ワイパーを一度動かし雨あがる車体の中の守られている身
溶けるなら雪の中へと一粒が見えなくなって世界になって
ファンヒーター外は吹雪で部屋の中なかなか気温上がらず丸まる
中空を見上げてかすんだ視界には幻映る過去か未来か
寒明けてこの晴れ空を眺めては眺める一人背中丸める
御詠歌のCD流す仏間には彼岸中日の線香の香
春めいて一つ一つのお別れを年月の中じんわりとくる
東風強く洗濯物は泳いでるマスクの中で唇ギュッと
午後からは台風並みの低気圧風雨の中の隙間風吹く
空き缶の収集の朝打ち付ける集中豪雨缶たちも悲鳴




