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不至 その5
『パンセ』読む宇宙時間のささくれの私の座標観測出来たら
かさぶたをはがしてはがして痕になる痕をなでててはがした時の血
歳時記を広げながら句を作るところてんみたいに下の句が出る
日が暮れて雪の世界は白い部屋照明は点く影を作って
一口の炭酸水は呼吸から心のあたりふわりと弾む
しあわせになるために生きているいや違うなしあわせになりたい
今日の日を変換キーを叩くように変わればいいな不安の日には
メールでの丁寧語こそまろやかに思いを言えるそう思ってください
ため息を二回連続する時は砂糖二つのコーヒーを出す
冴え返り四月の雨はしどけなく座椅子に埋もる言い訳になる
ティラミスを人生みたいと呟いて味を嗜む時間が消える
日が落ちて玄関の鍵閉める時闇がこの手をつかみそうで




