4/1188
恋その1
霧雨や揺れるワイパー二十二時咳の君へとアクセルを踏む
山に生く雪割草のつきづきし愛でたきほどに遠く眺めん
出張の駅中で見たスイーツに君が浮かんで二箱を買う
美術展膝カックンされ振り向いて手持無沙汰な君の手を握る
上映の三〇分で寝る君の指に絆創膏ランチボックス
レモンティ指折り数えるほどだったデートの君のマグボトルの中
出不精が軽やかな草履引っ張られ花火ってこんなに楽しかったんだ
一本の桜よ風でひらひらと伸ばす手に花一人立つ君
あなたへの手紙に粗相がないように下書きをするワード縦書き
余所行きの声を隠してため息の音のあなたが色づいて見える
冷酒飲み火照る頬へ手をいざない「気持ちいいなあ」この胸の熱