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此岸彼岸その3
テレビでは葉桜惜しむ声がする近所の庭に満開の桜
暖冬を越えての畑名も知らぬ雑草たちが雪代わりする
豊作の野菜が取れたこの畑雑草まみれまずは一握り
旧暦の桃の節句を迎えるが寒さ残りで桃の木買えず
春が来た冬の時化から比べれば無音の波が教えてくれる
春告げるお宮の祭り集落の男手立てる幟旗めく
ふもとから刈上げをして白雪を頂に残す春山の頭
刈った草目には見えない根や種で芽吹いて刈られまた芽生える
新芽まで一年待つを散ると言う桜木が消える訳でもないのに
針葉樹の枯葉と思い凝らすと黄土色した動かぬカマキリ
草刈りの鎌の先に現れる何にもいないかまきりの巣




