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此岸彼岸 その2
星爛と群青色の海の間でただ一人きり息をしている
五月晴れタイヤ交換いまさらに額を拭ってくしゃみ一つ
炎天下子泣きじじいがやって来て昼夜問わずのむさくるしさよ
この腰がずっしり重く張ったなら体調崩す予告シグナル
日和良し寒の戻りで捻挫やら炎症起こした古傷が病む
出汁を取り味見をしては首傾げ旨味引きだす母の腕知る
たらちねの母の命日墓前にて読経に合わせホトトギス鳴く
木の間よりもりくる月はないけれど光は秋の色を伝える
さを鹿の鳴く音は街に聞こえねどなほも涙は落つるものなり
ハロウィンが終わればロビーに樅飾りサンタの都合を聞いてもないのに
故郷や二十年は会わずとも一目一声分かる旧友




