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雑詠その8
月蝕に嘆声漏れる自転やら公転やらを身は感じなくとも
教科書の北斗七星僕の死後柄杓と違う形に変わる
水が消え虹は水から生まれしを虹を見止めぬ視線は画面へ
深い春日は長くなり汗滲む眠くて叙情どころじゃない
深い夏不快な夏の昼と夜暑くて叙情どころじゃない
深い冬吹雪いて不安で怖いやら寒くて叙情どころじゃない
集落の宮祭りの日の台風は「我を呼べよ」の龍の咆哮
スーパーでにぎわう新米帰り道禿げた田んぼと放置トラクター
去年より紅葉まばらな山の肌メールを返して今朝見れば雪
晴れたから窓を二センチ開けると障子戸揺らす生きる冬風




