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雑詠その7
心待つ流星群は雲海に隠れて見えずとも祈りを込める
霧がかりいつもの港は見えずとも船は波先進んで行く
霧靄を悠々として進み行く汽船の羅針迷いなきこと
時化ずとも窓外に見える島稜線上下に揺れる冬の客船
船底のガラス板から覗く海そちらの魚はこちらを知らず
なでるように打ち返す波にゆだねるは耳だけでなくしがらむ心も
星爛と群青色の海音の中でただ息をしている
万葉の詩を噛んでは映じてく時を隔てぬ想いの重み
我が母校閉校式の知らせ読み青き年月走馬の如く
故郷や二十年は会わずとも一目一声分かる旧友




