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短歌「足跡」  作者: 金子よしふみ


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117/1263

明晰

ぼやけてもこれが世界な裸眼だから夜中のトイレ迫真の立体


かすんでは曇った眼鏡のまんまで遠く見るようなそんな期待を


水曜日ちょうど真ん中折り返しやんぬるかなと奮い立たせて


カチャカチャとキーボード打つオノマトペ電子レンジはいまだに「チン」とな


摂氏○度影は○度で車内は○度○度に左右される毎日


朝剃った髭が昼にはチョロチョロと自己主張する白いもの混ぜて


顧みれば天地無用の恋だった逆にしたのは他でもない俺


ブラインドタッチで綴る短歌にはクセ字もなければ下手な声なし


拭っては汚れ落とした眼鏡かけ明るい世界眼に飛んでくる


どうしても気になっちまうかさぶたは血が出てそして痕になる


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