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官吏としての第一歩


「お茶が入りました」


そう言いながら、エミリアは穏やかな笑みを浮かべ、湯気の立つ茶を机に置いた。

帝国の行政を担う産業管理省の執務室。官吏たちが山積みの書類に目を通し、時折議論を交わしている。


この国の行政を知るには、まずは現場を知ること。

皇帝から第三等官・産業統括官の辞令を受けていたが、それよりもまずは足元を固めるべきだと判断したエミリアは、役所の雑務係として潜り込み、情報収集を始めた。


「おい、知ってるか? 今度、皇帝指名の官吏が来るらしいぜ」


隣の机で、湯飲みを片手に話し込む官吏たちの会話が耳に入る。


「聞いた聞いた。国試も通ってないのに、いきなり第三等官だとよ」


「皇帝陛下は戦は上手いが、こういう人事はな……。現場を知らない奴が来ても、まともにやれるのかね」


「どうせお飾りだろうさ。数ヶ月もすれば、実務を任されている第二等官・部門長あたりに丸投げされるさ」


――なるほど。


エミリアは黙って湯飲みを下げながら、彼らの会話を脳裏に刻んだ。

どうやら、この国では「国試」と呼ばれる試験を通じて官吏となり、その成績次第で昇進のスピードが決まるらしい。


つまり、自分のような特例は、現場の人間にとって歓迎されるものではない。


(……おもしろいわね)


彼らの懸念は当然だ。

では、それを覆せばいい。


エミリアは湯飲みを洗いながら、静かに微笑んだ。


――「皇帝の指名」ではなく、「実力」で認めさせてみせる。

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