決意の朝
翌朝――
エミリアは目を覚ますと、深く息を吸った。
不思議と気分がすっきりしている。
昨日は、あまりにもいろいろなことがありすぎた。
だが、一晩寝たら、驚くほど気力が漲っていた。
(……よし、やるべきことをやるだけよ)
そう決めると、エミリアは勢いよく布団を跳ね除けた。
部屋の外に出ると、ジークが既に起きていた。
鍛え抜かれた体に無造作な服装、それでも隙のない立ち姿。
彼はいつもと変わらない様子で、エミリアに視線を向ける。
「おはよう」
「……おう、随分元気そうじゃねぇか」
ジークは呆れたように言った。
エミリアはにっと笑う。
「ねえ、ジーク。帝国のことや皇帝の情報を集めるのを手伝ってくれない?」
ジークは一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに苦笑した。
「おまえ、昨日まで呆然としてたくせに……ま、いいか。どうせ暇だしな」
そう言って、ジークはすぐに動いた。
彼は帝国の情勢や皇帝に関する情報を、信頼できるルートから集めてきた。
帝国内の派閥、皇帝の周囲の人間関係、政争の流れ……
それらを整理しながら、ジークは簡潔にエミリアへ伝えていく。
エミリアは真剣に耳を傾けながら、必要な情報を整理していった。
そして、全てを聞き終えた頃――
「ありがとう、ジーク」
ふと、エミリアが笑顔を向けた。
「あなた、いい人ね」
ジークは、言葉を失ったようにエミリアを見つめた。
「……なんだそりゃ」
「だって、こんなに協力してくれるなんて思わなかったもの」
「おまえが頼んだからだろ」
「それでも、感謝してるわ」
エミリアはそう言って、にこりと微笑んだ。
ジークは不器用に顔を背ける。
「……ったく。勝手にしろ」
そんな彼を見て、エミリアは小さく笑った。
(ジークは不愛想だけど、本当に優しい人ね)
そして――
期日当日。
エミリアは青の戦装束を身に纏い、腰に剣を携えた。
「……じゃあ、行ってくるわ」
そう言って、エミリアは迷いなく皇帝のもとへと向かうのだった。




