義弟と結婚
その後、フェルディア様に、熱烈なアプローチを受けた。第1第2皇子の年代に合う子女は、私以外公爵家くらいの地位ではいなかったので、フェルディア様を好きになって結婚できるのは、運がよかった。一度、フェルディア様と話していたことがある。
「我が公爵家以外、フェルディア様に合う身分の子女はおりませんものね。…もしも、私が断ったら、フェルディア様はどうなさったのかしら?男子と偽装結婚?他所の家の方を養子にしたとか?」
血筋を優先する我が国では、養子も考えにくいなと思いながら、問いかけてみた。
「やめてくれよ!兄上が継承権剥奪された時点で、マリーの結婚相手は僕だけだったんだよ。他のパターンなんて考えるな」
幸せな結婚をして、3年後、短期留学予定だった第1皇子オズベルト様とメルル様が戻ってきた。まさに、人が変わったような2人になって。
オズベルト様は「クズな僕を許してください、一生を2人に捧げます」と土下座し、「靴を舐めてもよろしいでしょうか?」と私に問いかけるので、フェルディア様に蹴飛ばされていた。
メルルさまは「クソみたいな私を使ってください。何でもします。申し訳ありません。私は社会のゴミです」と、ドアの目の前から動かずにひれ伏し続けていた。
「オズベルトとその女は結婚なさい。よかったわね、愛し合う人と結婚できて」
と皇后陛下が微笑んでいると、
「ありがとうございます。ご慈悲に感謝します。僕には相応しくない素敵な女性メルルと結婚できることを光栄に思います」
と、再びオズベルト様は土下座し、
「発言をお許しいただけるのでしょうか?……私めの汚い声でみなさまのお耳を汚してしまわないか心配になってしまいますが、元第一皇子ともあろう高貴で優しいオズベルト様と結婚できる許可を誠にありがとうございます」
と、一度も顔を上げずにひれ伏し続けていた。
2人が揃って退場し、今までの2人では到底できなかった量の業務をこなしてくれる。
「とても、助かりますね?フェルディア様?」
「あぁ、そうだね。マリーを傷つけたことは許せないけど、役に立ってくれている。」
そんな私たちを手伝いながら、優しい微笑みで皇后陛下が仕事を手伝ってくださる。
「あのお二人は、別れることはなかったんですね」
オズベルト様の取り巻きたちは一斉に去っていったので、よかったなと思って、皇后陛下にと話しかけてみた。
いつも通りの優しい笑顔で
「あなたたちのせいで何もかも失ったという話よりも、真実の愛に目覚め、皇帝夫婦に従う2人の方が耳にいいでしょ?だから、そのようにしてもらったの」
と皇后陛下は笑った。背筋が少しぞくりとした。
後から聞いたところ、皇后陛下のお父様が女好きで、幼い頃から苦労した皇后陛下にとって、浮気する男は許せないらしい。それなのに、一度皇帝が若い女に走りかけて、家庭内では皇后陛下の絶対王政が敷かれるようになったらしい。
「兄上もあんなに浮気者は最低って聞かされて育ったのに、なんで自分は母上に許されると思っちゃったのかな?」
フェルディア様がこてりと首を傾げていた。
でも、それよりもこわいことが起こった。オズベルト様とメルル様が留学された帝国男子学園と王立経営学園で特殊授業の教鞭を執っているハノン様と皇后陛下の会話だった。
「私、第一皇子も第二皇子も同じように育てたはずですのに、こんなにも性格が変わってしまって…不思議ですわ」
うっとりとする優雅さで疑問を問いかける皇后陛下。それに応えるのは、優しそうな老紳士という見た目のハノン様だ。
「生まれ持った性格というのは、環境によって影響を受けても、変えられないんです。だから、正しい愛情を持って育てている限り、親のせいじゃない。もちろん、育てる環境によって、変わってしまう可能性もありますがな。異常な愛情を与えすぎることも、与えないこともいけません。難しいです。ですので、私は、今回お2人には、子供のうちに行ったのならば、精神から壊れてしまう教育をしたんです。だから、オズベルトくんも、両陛下の愛情を一心に受けた幼少期がなかったら、ここまで矯正できませんでしたよ」
ニコニコと容赦ない発言が飛び出す。
「まぁ!どんな教育をなさったのかしら?今後のために知りたいわ……ねぇ、あなた?」
ちょうど部屋を覗きにきた皇帝陛下に微笑みかける皇后陛下。
「あ、あ、あぁ……」
皇帝陛下は、顔を青ざめながら、固まってしまった。
「皇后陛下は、どのようなことを矯正されたいのですか?」
ハノン様は、ニコニコと穏やかに問いかける。
「私、浮気だけは絶対許せませんの。軽い気持ちを抱くことすら。ですので、他の女性に興味を持たないようにしたいですわ」
「あぁ!なら、いい方法がありますよ」
「大丈夫です!大丈夫です!大丈夫です!あの件以来君以外の女性を女性と認識したことはございません」
皇帝陛下が慌てて割り込んできた。
「あら、本当かしら?」
「おや?皇后陛下もなかなかの腕の持ち主のようですね…よかったら、ぜひ我が校で教鞭をとりませんか?」
「まぁ!もしもフェルディアが浮気なんてした時に、とても役立つものね」
「大丈夫です!母上!私は一目見た時から一途にマリーを愛しております」
慌てた様子のフェルディア様が、皇后陛下を止めに入る。
「…じゃあ、マリー?もしも、何かあったら、一番にお義母様に言うのよ?疑わしいだけでもすぐに言いにいらっしゃい?お義母様がうるさい羽虫を潰して差し上げるわ?」
にっこりと笑顔で私に微笑みかけてくださる皇后陛下。強い味方を手に入れたようだ。今後、私の姑皇后陛下は、私に嫌な思いをさせるものをすべていじめてくださるようだ。
〈長編連載予定のお知らせ〉
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『【詳細版】完璧令嬢の嫁姑問題〜姑皇后にいじめられたら〜』
多くの方にお読みいただき、本当にありがとうございます。
まさかランキングにまで載せていただけたことに、作者本人が大変驚いていて、同時にありがたく、嬉しく思っております。ありがとうございます。
実は、こちらは長編予定だったものを諦めて終わらせてしまった作品でしたので、皆様からの不足点等のご教示を受けて、長編を再度書いていこうと決意いたしました。
自身の執筆力向上のために書くつもりだったので、非公開にして書いていこうかと悩んでおりましたが、きちんと書き上げるためにも公開で投稿していきたいと思っております。
ただ、こちらの作品はこの余白があるからこそ、皆様に楽しんでいただけたとも思っております。そのため、詳細版では、思った印象と変化する部分も出てくると思います。
こちらでの姿を裏切られたくないと思う方に、無理やり新作を読んでくださいと押し付けるつもりはございません。むしろ、こちらの作品を楽しんでくださったことに、本当に心から深く感謝いたします。ありがとうございます。
皆様のお眼鏡に適うような作品が書けるように、若輩者ながら精一杯頑張りますので、もしもよろしければ、次作も覗いていただけると幸いです。
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