いつものお茶会
「マリー、あなたまた失敗してらっしゃって？」
「申し訳ありません、皇后陛下。」
「母上の言うことを良く聞くんだ、マリー。」
「かしこまりました、第一皇子。」
「オズはいつも正しくてよ？」
「ありがとうございます、母上。」
またいつものお茶会で皇后陛下に指摘される。
今回のミスは私の作法が帝国流から母の故郷である王国流に寄ってしまったからだが、今回わかったのは皇后陛下くらいなものだ。大変勉強になるからありがたいのだが、その後の自分の息子であり、私の婚約者である第一皇子オズベルト様を褒め称え続ける。第一皇子も皇后陛下と一緒に私のミスを指摘してくるのだ。
私は次期皇后であり、第一皇子の婚約者のマリリアント・ウィナーベルだ。みなからはマリーと呼ばれている。
皇后陛下の指摘はありがたくとも、その後の無駄に自分の息子を誉める姿、第一皇子からの影での叱責が大変辛い。
明日は卒業パーティーだが、うまくやれるのだろうか…。
といろいろ考えていたら、第一皇子に送っていただき、我がウィナーベル公爵家の屋敷に着いた。血筋的にも我が家しかふさわしい令嬢がおらず、婚約破棄することもできない。
「明日の卒業パーティーだが、都合があってエスコートできない。弟に頼んでおいたので、弟にエスコートしてもらうように。」
「承知いたしました。それでは、失礼致します。」
オズベルト様は幼い頃から男子校育ちであったが、私と同じ学園に通うために去年から王立学園帝国支部に編入してきた。そこで、様々な女性に囲まれて、パーティーでは毎回女性たちを侍らせながら過ごしている。今回もそういうことなのだろう。特に1番のお気に入りのメルル様が平民でも参加できる卒業パーティーはエスコートしたいのだろう。
そういうときは第二皇子であるフェルディア様にエスコートしていただくが、物腰柔らかで優しいフェルディア様と過ごす時間はとても気楽なため、楽しく過ごさせていただいている。
「別の女性をエスコートする第一皇子を見たら、皇后陛下は私を叱責するんだろうなぁ…。」
「お嬢様は悪くないのですから、気を落とさないでくださいませ。」
幼い頃から面倒を見てくれている乳母で侍女のフラメールが励ましてくれる。
明日はどのような1日になるのかしら…。
