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愉快痛快Bassパート!!  作者: 雨黄金
6/8

3ヶ月目

「こんにちは。今日は、2年生は視聴覚室でミーティング、1年生は、その間練習していてください。」

『はいっ!』

 今日は、昨日あった浜崎南高校との合同練習のことをお休みだった人に伝える事と、昨日の経験を今後どのように活かすかなどを2年生が話し合うそうだ。

 その間1年生は、練習だが…。

 そう。本来なら今日、先輩方が修学旅行に行っている間の成果発表をする予定だったのだ。だけどミーティングなら明日に延期かな…。

「秋音。今日って修学旅行に合奏してた曲の発表だよね5:00にミーティング終わらせて音楽室に帰ってくるから、それまでに最終確認しておきなさいね。」

 と菜々先輩が言った。…ん?先輩、知ってたの?

「じゃ、行ってくるから!しっかりやりなさいよ〜。」

 ………。これは、サラちゃんに相談だ。

「サラちゃん、実は………、なんだけど、どうする?」

「えぇっ!幹部の先輩以外は知らない感じかなぁ。」

「そうだと思う。」

「そっか〜。なら…、スーーーー。」

『スーーー。』

「先輩方がミーティングでいない間に私達は音出しと発表の準備をします。」

 サラちゃんが音楽室にいる、どこか落ち着きのなかった1年生達に指示した。

『はいっ!』

 さぁ、私もチューバを出すとするか。



「おー。やってるな~。」

 そんなのほほんとした声でやってきたのは、顧問だった。

「今から最終確認の合奏するから準備しろ〜。」

『はいっ!』

「先生、すみません。少し待ってくれませんか?」

 と、トランペットの子が言った。

「実は、一人鼻血を出していて、今トイレなんです。」

「マジか!おいおい、あと10分だぞ。大丈夫か?」

 おぉ、トラブル発生!

 そして、トランペットの子が見てきます、という言葉を残し、去って行った。

「あぁ~~、おし。いる人だけでやるぞ!準備しろ!」

『はいっ!』



「血、止まりました!」

 と、鼻血の子が帰ってきて数秒後………。

「ミーティングおわりました〜。」

 と、先輩も帰ってきた。

 その時、

「今日は、私達1年生が、先輩方に演奏を披露します。」

 と、サラちゃんが言った。

 その言葉に先輩方は、顔をほころばせ、音楽室の前の方に固まって座り、私達の方へ感覚を集中させた。




 顧問の持っている指揮棒が上がる。

 そしてその曲は、ゆっくりと始まった。




 滑らかに降ろされた指揮棒を見て、長いような、短いような、この合奏が終わったことを意識した。

「……。すごい!!!!!!!!よくここまで仕上げたね!えらい!」

 と、皐月先輩が半分叫ぶように言った。

 それを聞き、ホッとしたのか、疲れがどっと押し寄せてきた。そして、ストンと椅子に座ってしまった。

 そんな私のもとに皐月先輩がやってきて、

「秋音ちゃん、最後のほう、下の音、吹いてたよね!きれいに出てたよ~!うーんあとはロングトーン、かな。」

「はい。これでもだいぶ伸ばせるようになってきたのですが…。もっと頑張りますね。」

「うんうん!無理せずコツコツやろうね。」

「はいっ!」

 ほめられた。………うれしい。

「この曲は、サマコンで、1年だけにやらせようと思ってる。いいよな?」

 顧問が煽るように先輩に問いかけた。

『はいっ!』

 そう、元気よく先輩方が答えてくれてとても嬉しく思った。

 頑張って、よかった…。




「こんにちは。今日からサマコンの曲の練習に入ります。音とりをしておいてください。」

『はいっ!』

 浜南から帰って一週間。サマーコンサートにむけた曲の練習が本格的に始まった。

 サマーコンサート、略してサマコンでは、コンクールで演奏する自由曲、課題曲に加えて、1年生のみで演奏する曲、2年生のみで演奏する曲、それと2学年で演奏する曲が2曲、計6曲を披露する。

 そのうち2曲がまだ仕上がっていなかった。

「そうだ、今日でサマコンまであと1ヶ月となりました。間にはテストもあるので気合い入れて行きましょう。」

『はいっ!』

 この前、テストが終わったばっかりだったのに、もう次がくるなんて…。辛い…つらい…。




 

 


 …待って…。すぅー、ふぅ~。

 何でこんな難しい曲を1ヶ月で仕上げれると思ったの!!!!!

 そう、残っていた曲は、激難楽曲だったのだ。

 あぁ…どうしよう。

「今日の練習は、ここまで。お疲れさまでした。明日からテスト週間だけど、サマコンが近いので音楽室を開放します。課題が終わった人から来てくださいね。」

 よしっ!練習だ!そうと決まれば、鈴木君を誘おう。

「鈴木君、音楽室開放、いかない?」

「秋音さん、秋音さん。課題、か・だ・い。」

 うっ。そうだった。

 突然降ってきた正論パンチに私のHPは、0になった。

「テスト週間前半で課題やって、後半は、練習。それならできそうじゃない?」

 と、鈴木君がフォローしてくれた。

「……そうする。」





 ―数日後―

「課題ヤバい。練習行けない…。」

 私は案の定、課題が終わらなく死にそうになっていた。もちろん、練習になんていけてない。

「秋音さん、課題が第一優先事項だよ。」

 と、余裕の表情の鈴木君。ムカつく。

「……………あぁ~~、頑張りますよ。やってやりますよ。課題!」

 こうして、テストがやってきたのである。

 課題が間に合ったのか、それは、誰も知らない。





 

補足です。

本文中の「スーーー」というやつは、部員が音を出していて指示が通らない時に「静かにして」という意味で使うものです。

この小説は、私の経験をもとに書いているので、ローカルルール的なのが出てきます。ご了承ください。


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