春よ来い
眠り足りない。
目覚めても、
起き上がっても、
また横たわる。
この冬の明け方は、
特に眠り足りない。
淋しい夢で、
眠れないからか。
いったいどうなって
しまうんだろう。
体にも気持ちにも、
力が入らない。
もうやめようか。
感じることもある。
やめてどうする。
どうもしないか。
いったいここは
どのあたりか。
手探りで生き長らえ、
一人きりの朝寝坊。
優しき人たちは、
皆、見えなくて。
愛しき人たちは、
皆、思い出の話で。
心の癖のように、
息をするたびに、
脆弱な鼓動が鳴る。
不埒な人生を泣く。
春よ来い、春よ来い。
歩き始めたのは、
誰、誰だったか。
自分だって歩きたい。
綴り足りない。
目覚めても、
起き上がっても、
また黙るのか。
ああ、うっすらと
障子の紙が白い。
光が当たって白い。
明け方は朝になり。
もう冬の端っこ。
二月の終わりか。
来月は三月の頃。
いつしか忘れていた。
畑に行ってみようか。
春の芽を見たい。
してみたいことを
とりあえずして。
話しかけるほどの、
勇気はあるのか。
追いかけるほどの、
希望はあるのか。
そうしたなら、
何かいいことに、
出逢えるのかと。
気づけるのかと。
心の痣のように
願い事を積み、
逃避の体が病む。
不穏な人生の孤独。
春よ来い、春よ来い。
歩き始めたなら、
確か、確か楽に。
自分だって 生きたい。