朝の温もり
超久々の新作投稿に期待と不安がものすっごいです
チュンチュン……
「んぁ……?」
スズメの鳴き声が聞こえる……。
カーテン越しに朝日の光を感じる……。
………朝、か。
目覚ましが鳴る前に起きるなんて我ながら珍しいな……いったい今何時だ…?
時計を見ようにも身体全体が気だるくて動かない。
……まぁいいか、時間なんてどうでも。
目覚ましが鳴ってないならまだ寝てていい。まだ起きなくていい。これさえわかってればいい。
それにこんなにも暖かい布団から出たくない……。
こんなにも暖かくて……温かくて、肌触りが良くて……柔らかくて、とてもいい香りのする布団から………。
……………布団……?
ちょっと待て、確かに寝起き直後の布団の中は最高に気持ち良いが、この気持ち良さはなんか違わないか?
それに俺がこんなに早起き出来るわけがない。何かしらの違和感があってこんな時間に目覚めたんじゃないのか?今何時かわかんないけど。
急激に目が覚めていく。
この感触……まるで少女をそのまま抱き枕にしているような……。
そこまで考えた俺はあれほど離したくなかった布団を慌てて一気に引っぺがした。
するとそこには予想通りの光景が……人物が。
「……おい、何してんだお前」
「………ふぁ…?……ぁ……お兄ちゃん……おはよぅ……」
「うんおはよう。で、何してんの」
「………寒い〜……」
俺だって寒いわ。
布団の中では少女が俺に抱きついて寝ていた。
朝日によって綺麗に煌めく金色の髪。1人用の布団に2人いるのにすっぽり収まる小柄な身体。寒さから耐える為に全力で抱きついてくるその身体からは温かさと柔らかさが……特にお腹に感じるのは小柄な身体からは想像できないほど超ボリューミーな弾力と柔らかさ………ってこれはマズイ!!
そして………金色の髪から覗くのは二本の黒い角。
手足とともに俺の身体に抱きついて……巻きつけているのは腰のあたりから生えている黒くて細い尻尾。
薄く開いてはすぐ閉じる瞼の奥には真紅の瞳。
吸血鬼の妹が、布団の中で俺に抱きついて寝ていた。
……とりあえず倫理観(と下半身的)にヤバイからこの甘えん坊で寝坊助な妹を起こすとしようか。
「おい、起きろ。起きろってば、莉々愛」
「……んぁ……あと10分〜……」
「地味に長い!?」
俺の妹、俺の義妹。
そして……吸血鬼である莉々愛は朝に弱い。
二度寝の誘惑には人間も吸血鬼も勝てない
そこが最高に気持ち良くて安らげる場所なら尚更