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暴走

暴走と聞くと初号機のイメージ



ワー……ワー……



5時間目、昼食終わりの一番面倒くさくて一番眠たくて一番体力がある時間帯。


そんな時間に俺は———




「———ウラァ!!」




『ゴーーール!!』



授業でサッカーをしていた。



「ッシャア!!」


「ハァ……ハァ……。颯月、絶好調だな……」


「そうか?……まぁ、いい憂さ晴らしにはなってるかな」


「憂さ晴らしって……まだ昼ご飯の事根に持ってるのか?」


「当然だ!まさか———」


「吾妻!最上!そっちにボール行ったぞ!」




「———まさか学食があんなにも味気ないものだったとは、ね!」




「ナイスパス!吾妻!」



あれからさらに数日、今まで俺の昼飯は莉々愛の手作り弁当だった。が、ここ最近は作ってくれなくなった。


だから学食を利用してたんだが……。



「量はある。味も……美味くはないけど不味くはない。が、何か足りん!」


「なんだそりゃ」


「何が……何が足りない?何が……愛か…?」


「なに言ってんねん」



呆れられた。



「そんな事よりせっかくの他クラスとの合同体育なんだ。女子達に良いところ見せようぜ!」


「それは別にどーでもいーかなー」


「お前って奴は本当に欲がないよな…。男として逆に不健全だぞ」



んなこと言われても……。


そう思い、チラッと女子の方を向く。



「………お?」


「………む」



と、そこには孤島千影(風紀委員長)の姿があった。


そっか、今回の合同体育は孤島さんのクラスとだったのか。


あ、ちなみに孤島さんの下の名前、千影(ちかげ)っていうそうです。別に呼ばないけど。



『……ひらひら』


『……ふりふり』



手を振られたからこちらも手を振り返す。


するとなんだか向こうの女子陣が盛り上がった。


俺も雄馬に詰め寄られる。どした?



「颯月、お前風紀委員長と知り合いだったのか!?」


「え?あぁ、うん。そうだけど?」


「ほへ〜……なんか意外」



そうなのか?そうかもな。


もし雄馬と孤島さんが知り合いだったら確かに俺も意外って思うもん。



「颯月って莉々愛ちゃん以外にもちゃんと興味あったんだ…」


「そっちかよ!」



別に女性に興味がないわけじゃない。


アイドルを見れば可愛いと思うし、モデルさんを見れば綺麗だと思う。


ただ好きにならないだけなんだ。


そもそも孤島さんは確かに可愛いし良い香りするし胸大きいと思うけど、別に異性として見て———はいるけど(よこしま)な気持ちを抱いてはいない。


孤島さんと知り合って数日が経ち、仲良く話したり至近距離で熱弁したりしてもドキドキはしても友達以上の関係になりたいとは思わなかった。それが証拠だ。



「せっかく運動がそこそこできてルックスもそれなりに良いんだから…」


「中の上であることを褒められた」


「なんなら俺の妹とくっ付いてもええんやで?」


「七香ちゃんかー。可愛いと思うし性格も良いんだけど雄馬を義兄(にい)さんって呼ぶのは嫌だなー」


「俺が原因かよ!」



それは冗談として、七香ちゃんは確かに可愛い。雄馬の妹とは思えないほど可愛い。


でもなー、やっぱりなー、恋愛対象としては見れないんだよなー。


妹の親友、親友の妹。それだけなんだよな。付き合いはそこそこ長いけど正直あまり長く話したこともないし。


それにしても、



「異性への興味、か……」


「え、なに?マジで七香の事気になったの?」


「いや、そういう訳じゃないんだが……」



莉々愛はそういうのどうなんだろう?


先日の浜崎(後で調べた)からの告白といい、莉々愛は昔からよく告白されていた。まぁ可愛いから当然だがな!


そしてその全てを振ったと聞いている。この前みたいに実際に見た事もあるし、莉々愛はそういうの逐一俺に報告していた。相手のプライベートなんてあったもんじゃないな…。


ただ前回の浜崎の件については何も報告がなかったんだが。いや、それが普通なのか?


そしてそのまま報告がなくなっていつの間にか……。



「なぁ雄馬」


「なんだ?」


「もし七香ちゃんに彼氏ができたらどう思う?」


「急だな!?……まぁいろいろ思うことはあると思うけどおめでとうって感じになるかな」


「………そっか」


「……ん?颯月、なんか震えてないか?」


「武者震いだ」



そうか、おめでとうって感じになるのか。



そうか。



でも、



でも俺は———




「吾妻!最上!またそっちにボール行ったぞ!!」




なんか無性にムカつくんだよなーー!!!




「———ドラァ!!」




怒りのままボールを思い切り蹴る!!





そして、事件が起こった。




パァンッ!!




「———んなッ!?」



「うおッ!?」



全力でボールを蹴った。


そこまではよかった。


いや、それがダメだった。



なんと———サッカーボールが破裂した。



「………は…?」


「……え……えぇ!?」



ざわ…… ざわ……



途端に運動場内がざわつく。どんどん騒がしくなる。


これはヤバイ。


かなりヤバイ。



「雄馬!さっきの爆発で足をやられた!保健室行ってくるって先生に伝えといて!」


「ぅえっ!?お、おぅ……って脚!なんか痙攣してるけど大丈夫か!?」


「大丈夫じゃないからしばらく帰ってこない!」


「えぇっ!?」



雄馬の言葉に適当に返事してこの場を離脱する。


これはマズイ。


かなりマズイ。


何がヤバくてマズイのかというと———




「———莉々愛…!!」




莉々愛の身に何かあったからだ。


当たり前だが、少し破れてもしない限りサッカーボールを蹴って破裂させる事など不可能だ。そんなの、人間業じゃない。


だから、人間じゃない力(・・・・・・・)を使えばボールを破裂させられる。


吸血鬼(ヴァンパイア)の力を使えばボールを破裂されられる。


でもなんだかんだあっても所詮人間の俺には吸血鬼の力を自由に使うことはできない。


つまり先程の俺の異常な脚力は莉々愛の能力によるもの。



……なのだが、意味もなく、こんな目立つ場所で俺を強化するメリットは何もない。むしろボールを破裂させて異常(人外)性が目立つ最悪の状況になった。


そもそも莉々愛には外で魔法を多用してはならないと父さんや組織から言い付けられていたはず。


よって……これは莉々愛の身や精神に何かあったことによる魔法の暴発だと思われる!



「……くそッ!」



今思えば身体の震えや脚の痙攣は筋肉が異常に活性化したからか…!自分の身体がおかしかった事くらい気づけよ!俺!考えごとなんてしてる場合じゃなかった!


幸い身体能力強化はまだ続いてる。このまま人外の脚力を使って莉々愛の元へ!


今はまだ授業時間だからクラスに居るのか?まぁ移動教室だとしても全て探し出すまでだ。とりあえず莉々愛のクラスへ全力———




「きゃっ!?」




———ブレーキッ!!



「っとと!ごめん!!急いでたんだ!大丈夫!?」


「えっ、とっ、はい、大丈夫です。……って吾妻先輩!?」


「えっ……あっ!七香ちゃん!」



ぶつかりそうになった相手は七香ちゃんだった。


胸までかかる髪に少し明るい髪色。目も大きく顔立ちも良い。莉々愛と並べる美少女だ。


そんな彼女に恋愛感情を持たない俺は異常なのか?……ってそんなのは今はどうでもいい!


なんで授業中にこんな場所にいるのかわからんけど確か七香ちゃんは莉々愛と同じクラス。つまり莉々愛の場所がわかる!



「ちょうど良かった!七香ちゃん、莉々愛は今どこにいるかわかる!?」



「吾妻先輩!莉々愛ちゃんがどこに行ったか知ってますか!?」




……………。




「「………え?」」



キック力を増強するシューズも凄いけど、どれだけ異常な力で蹴っても破裂しないボールも凄いと思うの

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