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吸血

皆様お待ちかね

さぁ、始まるザマスよ




——— 数分後 ———




「そろそろ落ち着いたか?」


「……なんのこと?」



コイツ……記憶を……!?


……まぁいいか。そっちがその気なら無理に思い出させる必要もない。思い出させたところで俺も困るし。



「いや、なんでもないならなんでもないんだ」


「変なお兄ちゃん」



コイツ……あくまでシラを切る気か……!?


魔法で記憶を消した風に装っても耳が赤いのは気付いているからな!


と、いろいろツッコミたい気持ちを全力で堪える。


ここで無駄に問い詰めても意味はない。


それに早くやることやらねばな。



……俺の理性がガリガリ削られる前に。



まったく、赤らめた顔でこっちを見るな!惚れてまうやろ!



……ただでさえこれから行われる行為(吸血)で理性が溶かされるってのに。



「まったく、お兄ちゃんが変な事言うから変に緊張しちゃったじゃん!」


「俺のせいなのか?」



やっぱり緊張してたのか。


良かった、俺だけじゃなくて。



「お兄ちゃんのせいなの!とにかく後ろ向いて!」


「へいへい……」



莉々愛に言われた通りに後ろを向く。莉々愛に背を向ける。


お互いベッドの上に座った状態で。


何も言われてないけどなんとなくベッドまで移動していた。


これは莉々愛の魔法ではなくいつもの慣習(クセ)で。


だって立ったままだと危ないから。


立っていられないから。



立っていられない程、腰を抜かすほど、気持ち良いから(・・・・・・・)




———ピトッ…




「—————ッ!?」



………ぺろっ



「〜〜〜〜〜っ!!」



首元に熱い吐息、そして生暖かいヌメっとした感触がきたと同時に舐められる。


後ろから、首元を、莉々愛に。



…れろっ……ぴちゃ……



首が熱い。顔が熱い。頭が熱い。身体が熱い。


まるで全身の血が沸騰したかのようだ…。


間違いなく血流は良くなった。


そして、これで吸血しやすくなった。



「お兄ちゃん……」



背後から……いや、耳のすぐ横から囁くように呼ばれる。


背筋がゾクゾクし、脳がとろけるかのような甘い声だった。


何を求められているのはわかっている。


莉々愛も、もう限界なのだろう。



「じゃあ……いくよ……?」


「……あぁ」



俺が答えるや否や莉々愛の(つや)やかな、(あで)やかな、しっとりとした、柔らかい唇が首元に触れる。


そして—————




———カプッ!




「———〜〜ッ!!」



吸血鬼特有の長く鋭い牙が俺の首元に突き刺さる。


痛みを感じたのは一瞬だけ。その後すぐにその痛みが消し飛ぶ程の強烈な快感が全身を駆け巡った。



さて、ここで吸血鬼(ヴァンパイア)が行う『吸血』について説明しておこう。



『吸血』……それは文字通り血を吸う行為の事。



魔族の中でも吸血鬼(ヴァンパイア)のみが行う行為で、吸血鬼は吸血によって高度な魔法を使えるようになる。


血液……それは人体を構成する際に必要な、人間が生きる為に必要な『(せい)』なる雫。命の源。


そんな血液を吸う事で吸血鬼は魔法が使える。


ならば他人の血を吸わずとも自分の血を使えば良いのでは?と思うかもしれない。


確かに自分の血だけでも魔法は使えるらしい。


しかし、血があればいくらでも魔法が使える訳ではないのだ。


血液中に含まれる魔法が使える不思議な力……『魔力』には限りがあり、尽きてしまうと新しく血液が生成されるまで魔法が使えなくなる。


それは学校に行く度……いや、外に出る度に『変幻(トランス)』の魔法を使う莉々愛にとって致命的だった。まさに命に関わる。


もしも莉々愛の正体が一般人に知られたら……言葉通りの意味で、命に関わる。


国の、世界の暗部とはそういうとこだ。



だから—————




「…ちゅっ……ちゅる………」




———だからこうして莉々愛が俺の血を吸うのは仕方のない事なんだ。



この人間社会で生きる為に必要な事なんだ。


つまり人工呼吸みたいなものだと思えばいい。



「おにぃ……ちゃん………ちゅっ……」



あっダメだ。


やっぱりムリだ。


考えに集中し、事務的な作業だと思い込んでもどうしても耐えられない。


莉々愛の声に、この動作に、(よこしま)な気持ちを抑えきれない。



それほどまでに……気持ち良すぎる(・・・・・・・)



性欲が刺激されて、妹に……莉々愛に欲情してしまいそうになってしまう。



ここで改めて吸血鬼(ヴァンパイア)の吸血行動について説明しよう。


吸血鬼、血を吸う(種族)


他者から血を吸う事で魔法を使う事が出来る伝説の魔族。


その特性故に吸血鬼は他者から吸血しやすいように、吸血させてもらえる為に長い時間をかけて進化してきた。



その結果———吸血行為には催淫効果が付与された。



色魔(サキュバス)夢魔(ナイトメア)、他者(主に人間)から魔力を補う種族達が行うその為の行為に共通する点がある。


それは……相手に快楽を与える事。


精液だったりエンドルフィンだったり……血液だったり、大切なモノを相手の方から進んで提供させる為には快楽を与えるのが一番手っ取り早かったのだ。


薄い本(エロ同人)並みの考え方だが、真理を得ている。


大きな快楽は中毒となる。


身体の健康やお金、バレた際の社会的地位を失うと理解していても麻薬をやめられないのも日常では味わえない異常な快楽による中毒のせいだ。


つまりそれぐらいの快楽が俺を襲っているのだ。


常人ならば腰を抜かし、 理性を失う程の強烈な快楽。


ただし幼い頃から……10年以上も前から吸血され続けた俺はそんな無様な姿は晒さない。晒せない。


猛烈な快楽過ぎて慣れたとは言えないが、耐性が出来た。


中途半端に耐性が出来てしまったせいで、こんなに苦しむ羽目になった。



「………ぐっ…ぉ……っ…!!」



全力で歯を()いしばる。自分の身体を抱くようにして動きを封じる。そのついでに脇腹を抓っておくのも忘れない。


そうしないと理性が保てなくなるから。


そうしないと莉々愛を……この手この腕で抱きしめ、身体全体を使って抱きつき、襲ってしまいそうになるから。


義理とはいえ10年以上も家族(兄妹)として過ごしてきた妹相手に欲情するのはいけない。それはおかしい。


こんなの莉々愛だって困——いや、困るなんてもんじゃないな。兄に欲情されるなんて下手したらトラウマもんだぞ。家族だから逃げられないし。


それ以前に妹だろうが他人だろうがこっちが一方的に欲情して襲おうとするなんて兄として、男として……人間として最低最悪だ。


だから俺が出来る事は耐える事のみ。


身体を拘束して耐えて、これは事務的な作業だと自身に言い聞かせて耐えて、今このようにひたすら考え事をして耐える。



耐えて、耐えて、耐えて耐えて耐えて—————




「………ぷはっ…♡」




———どうやら、今日も、耐えきれた。



熱い吐息を残して莉々愛の牙が、唇が、顔が俺の首筋から離れる。



「……………終わったのか?」



上ずらないように最大限気をつけたこの言葉の最初につくのが『もう』なのか『やっと』なのか、自分でもわからない。


そして肝心の莉々愛の返事はない。


これはまぁ驚かない。いつもの事だから。


そして背中に極上の柔らかさと温かさと癒しと快楽と恋しさとせつなさと心強さを持つ大きな双丘が押し付けられる。


これはまぁ驚くよね。いつもの事ながら。



「………おにぃ…さま(・・)ぁ……♡」


「〜〜〜〜〜ッ…!!」



甘い言葉と共に背後から抱きしめられ、胸だけでなく腰も、身体全体を押し付けられる。


いくら柔らかいとはいえその豊満過ぎる胸のせいで密着しようにも完全には出来ないのはご愛嬌。


それを嫌がってか莉々愛がぐいぐい身体を押し付けてくるから背中に押し付けられた2つの極柔の宝球がぐにょぐにょと形を変えてあああああああ!



「莉々愛!!」


「……………———ッ!?えっ!?あっ!?お兄様!?」



大声で呼びかけると莉々愛の身体が一瞬止まり、すぐに離れていった。



「おにいさ——お兄ちゃん!ごごゴメン!!私また(・・)……!!」



また(・・)、その言葉の通り、莉々愛は俺の血を吸うとよくこんな酩酊状態になっていた。


父さん曰く、これはもの凄く自分に合った血を飲んだ吸血鬼(ヴァンパイア)にごく稀に起きる状態らしい。


つまり俺の血は莉々愛の身体に完全に調和したということ。莉々愛にとって極上の味だということ。


なんか嬉しいな。


ただし理性がゴリゴリ削られるので少し勘弁してほしいな……。



「いや……まぁ……その……大丈夫だ、気にしてない。だから莉々愛も気にするな?」



「〜〜〜ッ!!お兄ちゃんのバカ!でも今日はありがと!また明日!!」



バタン!!タッタッタッ………



そう言い残し、俺の部屋から逃げるように去る莉々愛。


……なぜ最後に俺は怒られたんだ?正直に『ものすっごくドキドキしました、全然大丈夫じゃありません』って言えばよかったのか?いや、妹相手にそれはダメだろう……。



「あ〜〜〜〜〜……!!」



なんか疲れた、超疲れた。しかも大量に汗をかいたせいかベッドのシーツがほんのりと湿っている。主に莉々愛が座っていた所だが。



「風呂にもう一回入って……いや、この後は莉々愛ももう一度風呂に入るはずだ。鉢合わせたらヤバイ」



主に俺の理性が。


この状態で莉々愛の裸を拝もうものなら間違いなく襲いかかる。長年鋼の理性で耐え続けてきたから限界がわかる。これは推定ではなく確定だ。



「でも……今日もなんとか耐えきったな…。凄いぞ、俺。よくやった、俺。……マジか、俺」



ともあれ夜は更けていく。


いつもの日常が終わり、明日からまたいつもの日常が始まる。


歪んだ感情を持ちながら、昨日も今日も明日もその先もちょっと変わった普通の兄妹として俺と莉々愛はいつもの日常を、吸血生活を過ごしていく。



………そう、思っていた。



もはやこのシーンの為の吸血鬼設定

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