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アンデッドと錬金術師⑤

2022年4月28日に双葉社様Mノベルスより第2巻が発売っ!

挿絵(By みてみん)

イラストは布施龍太様

シーズン1後半部の話になっております~

是非購入検討をば!

「すまない! ライトロード殿!」

「構わないよ、援護するから確実に行こう」


 エルフのケンブリッジさんやオレ達だけならば別に問題は無いが、この場には殿下の護衛の騎士達もいるのだ。

 どの騎士も鋼鉄製の武器での物理攻撃主体だ、どうしても殲滅には時間がかかる。

 自分たちの数百倍の数もいるアンデッドに囲まれて無事でいられる保証はない。


「自分も助太刀するっすよ! っす!」


 地面に降りて気合を入れて。ハルバードをぶん回し、殿下が走り回るスペースを作る。


「主、あまり前に出られるな」


 いつの間にやら大きくなったイリーナが、ジェシカの乗っていた錬金馬に乗ってオレの横に到着。


「さて、バカの一つ覚えだが」


 オレはポーチ型にしておいた魔法の袋からいつもの杖を取り出して、カートリッジを起動。


「マジックブースト、フレイムエンチャント」


 殿下の動きは流石ともいえる、だがエルフの魔剣に魔力を込めて戦うにはまだ不慣れだ。

 その剣に炎の属性を付与し、アンデッドに有効だと言われている属性を乗せてあげる。

 白部の様に聖なる属性を乗せることは出来ないので今回は炎だ。


「助かる! はぁぁぁ!」


 深淵の騎士へ強烈な炎の斬撃を飛ばす。しかし深淵の騎士はその斬撃を盾で簡単に防いでしまう。


「ちっ!」

「いや、それでいい」


 盾と炎の威力で視野の狭まった深淵に騎士に、足元にいたジェシカがハルバードを振るう!


「くらえっす!」

『コ、コロス!』


 深淵の騎士は、足が切り開かれて倒れそうになる。剣を杖変わりにして何とか姿勢を保つと、足が自然と繋がっていく。


「なんという回復力!」

「仕方ない、こいつを使うか」


 小さな瓶に入った透明な液体を取り出す。白部印の聖水だ。


「ジェシカ、こちらに」

「はいっす!」


 姿勢を変えてジェシカに視線を向けたタイミングでオレはジェシカを呼び寄せる。


「はあああ!」


 今度は接近した殿下が剣を振るう、その一撃は盾で防がれそうになるも、盾の下半分を切り落とす。

 エンチャントした武器のおかげでかなり攻撃力が上がってるように見える。


 ドスンという音と共に盾の半分が地面に落ちる、その攻撃を受けた深淵の騎士は、殿下に視線を向けて剣を振るう。


「剣は早いがっ! 本体は重鈍だな。これくらいなら躱せるっ!」


 回避しつつもそんな事を口にする殿下。

 しかし、深淵の騎士の攻撃はそれだけではなかった。

 地面まで振り下ろされた剣から、強烈なエネルギーが放出されて大地を穿ち、辺りを吹き飛ばす。


「ちっ!」


 直撃こそ回避するものの、飛び散った小石や大地の欠片が殿下にダメージを与えてしまう。


「あ! 殿下が!?」

「まだ大丈夫だ。それよりジェシカ、ハルバードの刃をこちらに」

「うう、旦那様の命令とはいえ、主に刃を向けるのは気が引けるっすね」


 可愛い事を言うジェシカの武器に、雑に聖水をぶっかける。


「これで切りつけてこい。殿下と交代だ」

「了解っす!」


 ジェシカはハルバードを掲げながら、なおも攻撃を受けている殿下の元へ走る。


「かわるっす! 旦那様のところで回復を!」

「すまん!」


 ジェシカは殿下に向けられた剣を、その横からハルバードで叩きつける様に攻撃をしていく。

 うん、あいつの剣を砕けたな。ジェシカの鎧に付与された魔法は身体能力の向上を主とした魔法だ。それに加えてハルバードはその攻撃力でジェシカ自身に負荷がかからないようになっているため、毎回必殺の一撃になっている。

 更に白部の聖水も乗っかっているからとんでもない威力になっているな。


「くっ、こちらに来いと……」

「ああ、ポーション飲んでくれ。まだやるんだろ?」

「もちろんだ! もらおう」


 ジェシカの攻撃に警戒心を示しているのか、ジェシカのハルバードを回避し続ける深淵の騎士。


「イドリアル様やエイミー殿もすごいが、あの従者も中々だな」

「あいつが一番未熟だがな」

「主から直々に専用の武具を授かったのですから、あのくらい出来て当然です」


 大きくなったイリーナがオレに魔物を近づけない様に剣を振るいながらも、そんな事を言う。


「ジェシカの攻撃を躱すのに集中して周りへの注意が散漫になってきてる」

「……なるほど、ライトロード殿は良く見ているな」

「オレの仲間は強い奴ばっかだからね」


 稲荷火達クラスメートの面々はどいつもこいつも無茶苦茶強かった。だけどその分、連中の戦う悪魔も無茶苦茶だった。

 弱いオレでも連中の少しでも助けになるならと。戦いの中で役に立とうとして、立ちまわった結果、戦闘時の視野はかなり広くなったと思っている。


「背後に上手く回っておいてくれ、オレが魔法で体勢を崩そう」

「了解した、頼んだぞ」


 回復した殿下は、剣を軽く振って調子を見る。

 そして頷くと、駆けだしていった。


「さて、言ったからにはやらないとな」

「主、また氷の蛇?」

「あれでもいいけど、深淵の騎士には倒れて貰いたいからな」


 背の高い深淵の騎士に対し、前衛の二人は致命傷を与えにくい。

 杖のカートリッジを回し、別の属性に切り替える。


「マジックブースト、大地の顎」


 オレは魔法を発動させて、深淵の騎士が片足を踏み込んだ瞬間に、その足元を分断させる。

 割れた大地に足を突っ込んだ深淵の騎士は、そのまま驚きの声と共に倒れこんでしまう。すぐさまにひび割れた大地は再び閉じて深淵の騎士の足を挟み込み、奴の動きを阻害する。


『コ、コロス?』

「はああああああああ!!」

「やあああああっす!!」


 そこに攻撃を加えるのがジェシカと殿下だ。

 ジェシカはその長いハルバードで胴体を、殿下はその首に刃を突き立て分断していく。


「うん、見事」


 ジェシカの攻撃により胸が開かれて、そのまま動かなくなる。

 実は首は斬っても再生するので、殿下の一撃はダメージを与えただけだ。


「よし!」

「やったっす!」


 どちらもタイミングを合わせて同時に攻撃をしかけた為、二人で倒したって感じになっていた。

 ジェシカよ、ハイタッチしてる相手、この国の皇太子だからな?

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こんな作品を書いてます。買ってね~
おいてけぼりの錬金術師 表紙 強制的にスローライフ1巻表紙
― 新着の感想 ―
[気になる点] >殿下の動きは流石ともいえる、だがエルフの魔剣に魔力を込めて戦うにはまだ不慣れだ。  その剣に炎の属性を付与し、アンデッドに有効だと言われている属性を乗せてあげる。  白部の様に…
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