1話:勇者に本業がバレました
こういう系書くの初めてなのでお手柔らかにお願いします。
「おぞましい魔術師め……よくも僕たちの事を騙したな……!」
喉元に突き付けられた聖剣の切っ先が怒りで震えているのを感じながら、俺──アルマは、そっとため息をついた。
「言わなかっただけで騙したつもりはありませんでしたが……」
「煩い、煩い、煩い!詭弁だ、そんなもの!穢れた魔法で助かるなんていう屈辱、この勇者である僕が許せると思うか?!」
「いえ、それは…」
「黙れ、お前の話なんか聞きたくない!今すぐここで斬り殺してやる……!」
それはさすがに困る。びくりと震えて立ち上がりかけて、仲間の一人……僧侶であるエレオノーラが声を上げる。
「お、お待ちください勇者様!いささか早計かと存じます……」
「お前、こいつをかばうのか!」
「違います!!ですが、いかに穢れた力とはいえ、勇者様のお命を救ったのも事実。一度城に戻り、陛下の判断を仰ぐのが正しいかと……」
「だが!」
尚も言い募る勇者に、黙って見ていた斥候のクルスが口を開いた。
「さすがに見苦しいぜカイン様。仮にもまだパーティメンバーのこいつを勇者が殺したとなりゃ、国中大騒ぎになんだろ。それが例え死霊術師なんてとんでもねえ代物だったとしても、アルマに恩義を感じてる連中は少なからずいるはずだぜ」
「……それは、確かに。……不本意だが、引き返すぞ。どちらにせよ傷薬などを補給しなければならないし……。」
「さ、アルマも立った立った。とりあえず命拾いしたな?……この後死ぬかもしれないけど。行ってみよーぜ、イチかバチか陛下のトコにさ」
「……ああ……悪い……」
二人の説得でようやくカインが剣を収める。
クルスに促されながら、俺たちは一度、アルシオン王国へ引き返すことにしたのであった。
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