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育成スキルなどいらないと、大魔王は暗黒大陸に追放される~今更「戻ってきて」と言われても、最強領地と嫁がいるので十分です~  作者: 延野正行
第6章

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第37話 りょうしゅに なりますか?

「――――これを称えるものとする。よくやってくれた、ダイチ」


 エヴノスは賞状を俺に渡す。

 続いて、禍々しい髑髏を模した勲章が授与された。

 エヴノス自らの手で、俺の胸に挿す。

 ローデシア曰く、これもマニュアルなのだそうだ。


 エヴノスのヤツ、さっきから滅茶苦茶怒っているな。

 ローデシアに厳しく言われているからだろうけど……。

 それに、こういう堅苦しい式典が苦手なヤツだったから仕方ない。

 実は、何度かこういう褒賞授与を俺は受けているのだけど、毎回毎回エヴノスはこうなのである。

 いい加減慣れろというか、覚えろよと思う。

 他の事は割とすぐに覚えるのにな。

 まあ、こういう上司は、日本にいた時にもいたけどな。


 しかし、今回は銀の髑髏か。

 次はダイヤモンドとか?

 よく知らないけど、さすがにこれを胸に挿して、繁華街は歩きづらそうだ。


「本当によくやってくれたな、ダイチ」

「なんかお前にそう何度も褒められると、こそばゆいな。でも、お前も大変だな。相変わらず式典の作法が覚えられないのか?」

「だれの――――――」


 エヴノスは何かを言いかけて、止める。

 こほんと咳払いをした。


「いや、すまん。さ、最近の古代魔族語の勉強をしていてな。ついそっちの言葉を」

「そっか。そういうところは熱心だよな、お前は」

「わ、我のことはいい。早く皆にその勲章を見せてやれ」

「ああ。そうだな」


 俺はルナやミャアたちが並ぶ村人や獣人の方に身体を向ける。

 賞状と勲章を見せると、皆の顔が一気に輝いた。

 拍手が鳴り、お祝いの言葉が聞こえてくる。

 顔を真っ赤にしながら、笑う者、泣く者、反応は様々だ。


「ダイチ様、おめでとうございます」

「良かった、ダイチ様」

「やったみゃああああああ!!」

『ガウゥゥゥゥゥゥゥウウウ!!』


 ルナは笑い、ステノは泣き、ミャアは叫び、チッタは吠える。


 声が聞こえる。

 皆の表情がはっきり見える。

 これまで俺と関わった人々の気持ちが伝わってくる。


 あの時と一緒だ。

 魔族たちとともに、異世界の神と勇者と闘った日々を。

 成長した彼らが、ついに最後の勇者を追い払ったあの瞬間を。


 いや――――。


「違うな……」


 俺がぽつりと漏らす。

 その声ははっきりとみんなに聞こえたらしい。

 ミャアがピクピクとトレードマークの耳を動かして、尋ねた。


「ダイチ? どういうことみゃ?」

「これは俺だけの勝利じゃない。みんなの勝利だ。だから、おめでとう、みんな」


「ダイチ様」

「ダイチ……」


 俺の言葉に、再びみんなうるっと来たらしい。

 さっきまでは喜びの涙だった。

 けれど、今は違う。

 喜びであると同時に、それはこれまで自分たちが苦しんできたものを清算するための涙だった。


「いえ。ダイチ様がいたから私は生きて来られた」

「ダイチ様が見つけてくれたから、私はここにいられる」

「ダイチがいたから、勇気を持てたみゃ!」

「ダイチ様がいたから、おいしい料理をみんなに振る舞うことができましたわ」

「あんたがいたから、村のみんなの顔が変わった」

「「俺たち兄弟の絆も深まった」」

「ゆっくりと余生を過ごすだけだと思っていたんだがのぅ」

「ミャアの婿になってくれるまでは、死ねなくなったわい」


 だから――――。




「「「「「「「「「こちらこそありがとう!!」」」」」」」」」




 気付けば、皆が頭を垂れていた。

 俺に向かって、整然と……。

 その光景に俺だけではない。

 側で見ていたローデシアやエヴノスですら驚いていた。


「こ、こっちこそ。ありがとう。だけど、違うんだ。いや、感謝は凄くうれしい。でも、俺が言いたいのはそういうことじゃなくて……」


「どういうことですか、ダイチ様?」

「……ダイチ様?」

「なんみゃ、ダイチ?」


 みんなが頭を上げる。


 一方、俺は頭を掻きながら言った。


「みんなの力はこんなもんじゃない」


 はっきり言うとだな。

 なんか消化不良なんだ。

 ブラムゴンは強かった。

 まともに闘えば、確かに苦戦していただろう。

 でも、勝利が揺らぐかといえば、そうではない。

 ある程度、損害は出したかもだけど、間違いなく勝てた。


 そもそもみんなの能力を出し切ったとは言いがたい。

 まだまだLVも低いし、武器もよくなかった。

 ある程度、限界性能がある中で戦ったのだ、みんなは。


 俺にもっと力があれば、もっと強くなる。

 おそらく――――。


「魔族よりも……」


 ギョッとする一言に、エヴノスとローデシアが反応した。


「ダイチ、お前――――」

「ダイチ様?」


 今のは、ちょっと失言だったかな。

 だが、まあ偽らざる俺の本心というヤツだ。


 きっと強くなる。

 予想ではなく、これは確信だ。


 人族や獣族は、魔族よりも遥かに強くなるはずだ。


「別に魔族と戦おうとかと思ってないよ。俺が興味があるのは、ここにいるみんなの潜在能力だからな」

「…………」

「はははは……。ダイチ様らしいですね」


 エヴノスはちょっと警戒したような表情を見せる。

 横のローデシアは豪快に笑い、理解を示してくれた。


「そこでだ。2人にお願いがある」

「お願い?」

「といいますと?」


 エヴノスとローデシアは首を傾げた。


「褒賞の話だ」

「褒賞? 案ずるな、すでに決めて――――」

「いや、それは却下する」

「なんだと!?」


 思わずエヴノスは身を乗り出した。


「エヴノス、改めてお願いするよ。俺にこの暗黒大陸をくれないか」

「お前、何を言って。そもそもお前には――――」

「ああ。異世界からの侵略戦争に十分な功績を残したということで、お前からこの暗黒大陸をもらっている」


 俺がそう言うと、ローデシアが意外そうな顔を浮かべる。


「え? エヴノス様。ダイチ様は、暗黒大陸の人族に会いたいと……」

「い、いや、それは――――」


 エヴノスは急に言葉を詰まらせる。


 ん? エヴノスのヤツ、そんなことを言っていたのか。

 ローデシアと話が合わない時があったが、そういう事だったんだな。


「ローデシア、それはエヴノスがお前を心配させないための方便だよ」

「そ、そうなんですか、エヴノス様」

「……ぐっ。そ、そうだ」


 エヴノス、なんでお前そんなに不服そうなんだ?


「あの時の話は暗黒大陸を貰えるって話だった。けど、ここに住んでいる村人や獣人、他の種族もそうだ。そうした種族を治める権利まではもらっていない」

「な、なるほど」

「ならば、ダイチよ。お前は何がほしいのだ?」

「統治権がほしい」



 俺を正式な暗黒大陸の領主にしてくれ……。



 ざわり……。

 魔族も、そして俺の後ろに控える人族や獣族もどよめいた。


 最初に慌てたのは、ローデシアだった。


「よ、良いのですか、ダイチ様。ここは暗黒大陸ですよ。何もない――――」

「あはははは……。ブラムゴンと最初に出会った時にも、同じようなことを言われたよ、ローデシア。けど――――」

「ふぇ……」


 俺はルナの後ろに回り、小さな肩に手を置いた。


「ここには優秀な人材がいる」


 ニヤリと笑った。

 エヴノスを初め、ピンと緊張感が張り詰める。


「俺は彼らや彼女らと暗黒大陸を復活させるよ。そして、魔族と共存共栄できる対等な力を付けるつもりだ」

「我らと対等だと……。人族がそんな――――」

「できる!」

「――――!!」


 きっぱりと言い放つと、再びエヴノスたちは驚いていた。


「俺たちはブラムゴンたち魔蛙族を一蹴したんだぜ。……エヴノス。あんまり人間を舐めていると――――」



 足下を掬われるぞ。



 こうして俺は暗黒大陸の領主となることを宣言するのだった。


~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~


ここから領主になる戦いが始まる(エヴノスのプライドがズタズタに……)。


面白い、まだまだエヴノスはいじってほしい、と思った方は、

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