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育成スキルなどいらないと、大魔王は暗黒大陸に追放される~今更「戻ってきて」と言われても、最強領地と嫁がいるので十分です~  作者: 延野正行
第4章

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第27話 すきるの いくせい ほうほう

「レベルアップ禁止です」


 みんながレベルアップに励む中、俺は唐突に切り出した。

 同時に、獣人族を主力とした攻撃部隊が目を丸くする。

 早速、抗議してきたのはミャアだった。


「どうしてみゃあ、ダイチ!」


 尻尾をピンと立てて、俺を睨む。

 その後に、ルナとチッタも揃って首を傾げた。


「どうしてですか、ダイチ様」

『キィ!』


 質問する。


 実は、案外難しい答えではない。

 俺はその答えを実践的に知ってもらうことにした。

 ルナに愛用している木の棍棒を持ってもらう。


「それでいつも通り、木を叩き折ってごらん」

「え? はい?」


 いつも通りっていったけど、日常的にルナは木の棍棒で木を倒しているわけじゃないぞ。

 一応フォローしておくと……。


 行きます、と言って、ルナは振りかぶる。

 さして速度もなく、割と軽い感じで振り抜いた。


 バギィ!!


 凄まじい音が鳴る。

 そのままメリメリと音を立てて、木が横倒しになった。

 周りからは「おお」と歓声が上がる。


 ルナ、脳筋聖女まっしぐらだな……。


 知ってはいたけど、すごい力だ。

 何せルナの力は、今や初期値の20倍以上だからな。

 ナメッ●星に降りたばかりの●空ぐらいなら倒せそうだ。


 良いことなのかも知れないけど、ちょっと複雑だった……。


「ダイチ様?」

「あ。すまん。理由は、それ――。ルナが持ってるそれだ」


 俺は指を差す。

 ルナ愛用の棍棒が根本から折れ曲がっていた。


「強くなっても、武器が折れていたら、レベルアップしても意味がないってこと」


 ステータスが上がることは喜ばしいことだ。

 だが、攻撃力を伝える武器の耐久力を越えてしまうと、こうやって武器が折れてしまう。

 古いRPGではレベル99の戦士が、檜の棒を持っても壊れないけど、残念ながらこのマナストリアでは違う。

 ステータスと武器の耐久力のバランスは、考察必須なのだ。


「ならミャアには関係ないみゃあ。獣人族の戦士は、自分の爪と牙で戦うみゃ」

「そうでもないんだよ、ミャア」

「え――――?」


 確かにミャアの言う通り、素手ならば武器の耐久力は関係ない。

 けれど、今度は身体の耐久力を損なう可能性がある。

 身体がついていかないのだ。


「でも、獣人族の牙や爪はすぐに生えてくるみゃよ」

「戦闘中に折れて、すぐに牙や爪が生えてくるの?」

「みゃ! そういえば――――」

「だから、しばらくレベルアップ禁止だ」


 ルナやミャアのステータスを生かすには、やはり木製の武器ではダメだ。

 せめて鉄ぐらい強いものじゃないと……。


 鉄なら、俺の力でいくらでも出すことができる。

 その気になれば、もっと強い金属だって。

 だけど、残念ながら村の中にも、獣人の中にも金属を加工するスキルをもっている者はいなかった。


 魔族の時も苦労したっけ……。


 だけど、この大陸にはドワーフがいる。

 見つけることができれば、依頼も可能になるかもしれない。

 でも、今から言って説得できたとしても、ブラムゴンの襲撃に間に合うか微妙だ。


 なら、やることは1つ。


「レベルアップはやめて、スキルアップに努めよう」

「スキルアップということは、スキルを使いまくるということですね」


 優等生のルナは答える。


「その通りだ、ルナ。ただ回数をこなすだけじゃダメだ。質もよくしないとな」

「どうするんですか?」


 ステノが尋ねる。

 戦闘系ではないけど、彼女の強い要望で戦闘訓練に参加していた。


「ふふふふ……。とっておきの方法があるんだよ」


 俺はニヤリと笑うと、みんなの顔から血の気が引いていった。



 ◆◇◆◇◆



 【言霊(ネイムド)】――――ドリアード!


 俺はドリーを召喚する。

 早速、ドリーにお願いした。


「ドリー、例の種を」

「え? 本当にあの種を使うのですか?」

「ああ……。頼む。ここにいるみんななら、安心だろ」

「まあ、確かにそうですが……。では――――」


 ドリーは俺に数粒の種を渡してくれた。


「ダイチ様、これは?」

「マンドラゴラの種さ」


「「「マンドラゴラ!!」」」


 ルナ、ミャア、ステノが大きな声を上げる。

 俺はみんなが止める前に、その種を適当に地面に蒔いた。

 すると、種がひとりでに動き出し、地中へと潜っていく。

 しばらく経って、紫色の茎がにょろにょろと土の中から飛び出してきた。


「きゃあ!」

「気持ち悪い」

「なんみゃ! これ!!」


 これがこの世界のマンドラゴラだ。

 地面から抜いた瞬間、すごい絶叫を上げて失神、最悪死に至るという魔草は、こちらでは魔獣扱いになっていた。


 こっちのマンドラゴラは、ほとんど無害に近い。

 悲鳴を上げることもないし、死ぬようなことはほとんどない。

 厄介なのは、今見たような成長の早さぐらいで、雑魚魔獣の一種だ。


「なんみゃ……。ほとんど無害なのみゃ」

「マンドラゴラは魔獣と聞いていたので」

「安心しました」


 ミャア、ステノ、ルナはホッと胸を撫で下ろす。


「でも、安心してる場合じゃないよ。放っておくと、そこら中マンドラゴラになってしまうからね」


 マンドラゴラの繁殖能力は、蔓や葛以上の繁殖能力だ。

 放っておくと、村の周りがマンドラゴラだらけになってしまう。


「じゃあ、どうするんですか?」

「それを今から説明するんだ。ミャア、まずはマンドラゴラに攻撃してくれる? できれば、スキルを使って」


 ミャアは首を傾げた。

 言われるまま、マンドラゴラに向かってファイティングポーズを取る。


「正拳突きを使っていいのかみゃ?」

「ああ。『ためる』と『瓦割り』を使ってもいいよ」

「雑魚魔獣にそこまでするなんて、ダイチはサドみゃ」


 そういう言葉、どこで覚えてきたんだよ。


「いくみゃよ」


 ミャアは拳を振るう。

 まずは『瓦割り』を使った。

 マンドラゴラに向けて拳を向けると、薄い壁が壊れるようなエフェクトがかかる。


 防御力が下がったことを確認した後、ミャアは構えた。

 『ためる』を使う。

 ミャアの周りに、薄いオーラのようなものが立ち上った。


 スキルの発現を確認した後、ミャアの拳が高速で撃ち出される。


 『正拳突き』!!


 マンドラゴラに向かって放たれる。

 その茎に触れた瞬間、マンドラゴラは弾け飛んだ。

 見た目において、マンドラゴラは消滅した。


 ――かに見えた。


「ルナ、マンドラゴラに『大回復』!」

「え? マンドラゴラに? いいんですか?」

「ああ。構わない。やってくれ」


 ルナは恐る恐るマンドラゴラに『大回復』をかける。

 茎の部分は完全消滅してしまったから、その根本の部分に向かってだ。


 『大回復』!


 マンドラゴラは再び茎を伸ばす。

 元に戻ってしまった。


「みゃあ! ダイチ、何するみゃ! またマンドラゴラが復活したみゃ!」

「それでいいんだ。ミャア、さっきのもう1回!!」

「え?」

「ミャアのすごいところをもう1回、見てみたいなあ」

「だ、ダイチがそういうなら仕方ないみゃあ」


 ごろにゃあ、という感じでミャアは自分の赤くなった顔を撫でる。

 再び『瓦割り』『ためる』『正拳突き』のコンボを決めた。


「ルナ、もう1回」

「はい!」


 『大回復』!


 再びマンドラゴラが回復する。


「みゃ、みゃみゃあ!! また復活したみゃ!」

「ミャア! もう1回!!」


 こうしてミャアとルナは、10回ほど繰り返した。

 そして――。


「あ――――。ダイチ様、またレベルが上がりました」


 ルナは報告する。

 そろそろ頃合いかな。


「よし。2人ともそこまで。ステノ、マンドラゴラの中の本体にとどめを刺しておいて」

「は、はい!」


 マンドラゴラの本体は、土の中にいる。

 こいつを倒さないと、マンドラゴラは一生再生を続けることになるのだ。


 ステノは覚えたばかりの『急所突き』というスキルで、マンドラゴラを倒した。


「ルナ、ステータスを見せて」

「はい」




  名前   : ルナ

 レベル  : 31/99

    力 : 148

   魔力 : 189

   体力 : 173

  素早さ : 137

  耐久力 : 168


 ジョブ  : 聖女


 スキル  : 超回復LV1 浄化LV4

        明光LV4  結界LV4

        怪力LV4  状態回復LV2

        突き飛ばしLV3 瓦割りLV1




 お。ついに第三派生の『超回復』か。

 これでだいぶ安全に戦えるようになったな。

 ブラムゴンがくるまでに、レベル3まで上げておきたいところだ。


「ダイチ、ミャアのも見るみゃ」

「うん。見せてくれ」




  名前  : ミャア

 レベル  : 22/90

    力 : 187

   魔力 : 74

   体力 : 143

  素早さ : 183

  耐久力 : 114


 ジョブ  : ナックルマスター


 スキル  : 三段突きLV1 瓦割りLV4

        ためるLV4  チャクラLV1




 こっちは『正拳突き』の第3派生か。

 『瓦割り』と『ためる』の第2派生も目前だな。

 ブラムゴンとの対決には、第2派生のLV3ぐらいまではいけそうだ。


「2人ともすごい成長速度ですね」


 ステノは目を丸くして、感心する。


「これもドリー様の『成長促進』のおかげでしょうか?」

「良い質問だね、ルナ」


 ルナの言う通り、それもあるだろう。

 実際、俺も予想外の成長だし。

 でも、ここまで成長したのには、今やった一連の流れが起因している。


 スキルが上がるのは、回数と質だ。

 『回復』系であれば、使用回数と回復させた量による。

 実は、この量というのが、割と曲者なのだ。


 この世界には、ゲームのようなヒットポイントはない。

 だから、回復量というのは、その生物の単純な死に至るまでの生命の量に起因している。


 俺はこれを生命量と呼んでいた。


 たとえば魔獣の生命量が、10だとして、相手の攻撃によって1しかないとする。

 『回復』のスキルで10に戻した場合、その差分が回復量としてカウントされているらしい。


 ちょっと回りくどく説明するとこういうことになるんだけど、要は生物の生命量の割合で回復量が決まるので、雑魚魔獣だろうと強敵の魔獣を回復させようと、回復する質は変わらないのだ。


 実は、これは攻撃スキルも同じなのである。


 どんなにタフネスな魔獣に攻撃を与えて、致死量ギリギリまで至らしめたとしても、割合でカウントされるため雑魚魔獣を瀕死にさせた時と同じポイントしか貰えない。

 つまり、無理して強い魔獣を倒すよりも、雑魚を狩っていた方が、効率がいいのである。


 これ間違いなく、ステータスシステムの欠陥だ。

 現実にこういうゲームがあったら、クソゲーってレビューに書かれるだろう。


 だが、いちいち雑魚魔獣を探すのも面倒だ。

 そこで俺は、マンドラゴラを使ったトレーニング方法を編み出したのである。


「さすがダイチ様です」

「よーし! ミャアはもっと強くなるみゃあよ!!」

「だ、ダイチ様! 私もやりたいです!!」


 みんながやる気になってくれたようらしい。


 スキルは魔法みたいなものだから、どんなに強くなっても身体の負担は少ない。

 まあ、ソンチョーみたいな高齢者は別だけどね。

 素手で戦うよりは、こっちとしても安心して見てられる。


「よし! この調子でガンガンスキルを上げていこう!」


「「「おおおおおおおおおおおおお!!!!」」」


 みんなの声が村に響き渡る。


 そして、3日後。

 ついにヤツらはやってきた。


ついに決戦か?!


面白い、早くあの蛙を轢きガエルに、と思った方は、

是非ブックマークと、下欄の⭐︎評価をよろしくお願いします。


本日、拙作『叛逆のヴァロウ』のコミカライズ更新日となっております。

ニコニコ静画、pixivコミック、コミックドア他で更新しておりますので、

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