5話 魔界統一トーナメント前夜 (前編)
長くなりそうだから前編、後編に分けました。
許して。
部下が反乱を起こしてから3日が経った。このまま自分は魔王になれないまま終わるのか。
そんな事を考えていると、自然と考えるのをやめるようになる。いけない、正気を保て! まだまだチャンスがあるはずなんだ! それまでは我慢の時間かぁ......
[城内]
「なっなんですとー!?」
「どうした? 側近プリケン?」
「まっ魔王様が......」
え? なになに? パパがまた変なことをしたのか? 例えば、そこら辺にいる魔獣を食べて腹を壊したとか! また変なの嫁に貰ってきたとかか? 何をやらかしたんだ!?
「魔王様が勇者に殺されたでそー!?」
「え? まって!? いや悲しいけど......」
なんかチャンスが転がって来たぁー! 嘘でしょ? こんなすぐにパパ魔王が殺されるのか! ヤバくない? この超展開! ん? でもまって......
「なんで勇者がパパの城まで来ているの? この魔界は勇者でも一筋縄ではいかないと思うけど?」
そう、魔界は文字通り魔族の住む世界、みんなそれなりにスペックあるし、例え勇者だったとしてもそんな簡単に攻略出来るとは思えない。
「今現在、勇者を倒すメリットがあまり無いからでそ」
「え? でも、勇者を倒したら褒美があるとか聞いてたんだけど......」
「昔はありましたな。勇者を倒したら城とかをポンと」
「なんで今ないの?」
「勇者は長くて100年、短ければ瞬時にその才能を持つ者が生まれてきます。そのため部下が勇者を倒す度に褒美をあげていたら、王都のお金がなくなってきたのでそ。ですので、勇者倒したら褒美制度は無くなりました」
ちょっと待て! 金も無いの!?
「そうなるとクソ強い勇者にわざわざ襲いかかる者なんておりません。たまに空腹で見境なくなり襲いかかる者がいるくらいでそ」
「ほんとしょうもねえな......今の魔界......」
「殿下のお父上、オジシ上と、2世代何百年も怠けてましたからな」
「まあ......でも! だからこそ改革しがいがあるもんよ!」
「え?」
「なぁ? 側近プリケン。魔界統一トーナメントは(魔王が亡くなった)次の日にあるんだよな?」
「ええ......まあ、魔王様が遺言を残して......まさか!?」
「遺言を残していないなら明日にあるな!」
「私、トーナメントに出場して、魔王になる!」
「プギャァァァァ!?」
◇◇◇◇◇
後編に続く