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4話 怪しい雰囲気の男

前回のあらすじ? 知るかボケェ!

「先生! 先生ですぞ!」


「よんだかな?」


おっ......お前は......


「夜の海......漆黒の渦の波間から出てるもの。深淵の闇に轟く混沌!」


 その口上自分で考えたの!? いやいや待て! ちょっとプリケンに問いただしたい件ができたんだが!? ふざけんなよ! この巨漢、この洗練された筋肉。やっぱりこいつはなぁ確か......


「ふっ......ここからは私が相手をしよう」


「どっ......どうして凄腕傭兵のお前が......」


「こんなこともあろうかと私が金で雇ったのでそ」


 お前、いくらなんでも準備万端すぎるだろ!? そんなに私が魔王になるのが嫌か? なんでわざわざ自分如きに魔界の英雄を......


「話は聞いているぜ、クリス殿下。なんでも魔界を漆黒の渦に沈めたいとな」


「言ってない。言ってない。」


「え? 言ってないの?」


 はぁ? なんだこいつ......? 本人は至って真面目に漆黒なんちゃら言ってそうだし、いったいこいつは何を言っているんだ? 言葉のキャッチボールを求む!


「全然違うし、こんな厨二臭いこと言ってない」


「おかしいな......それじゃあ魔界を煉獄で焼き尽くす。とかか?」


「はあ?」


 ちょっとなに言ってるか分からない。なんなんだこの厨二野郎は? こいつの脳や耳はもしかして、厨二語録で腐っているのか?


「違いますぞ。グリル様」


 ◇◇◇◇◇◇◇


 傭兵=グリル


 ◇◇◇◇◇◇◇


「殿下は(ぐへへ......あらゆるものを食べ尽くしてやる)と言ったでそ」


「そっちだったか」


「言ってるわけないだろ!? 側近プリケン! 変なうそを吹き込むな!」


 プリケンが悪質な悪ノリをしてきた。なんでよりによってあんなやつを連れてきたんだ!? いや......厨二野郎以外が来ても、多分面倒な展開になりそうだから誰も連れてこなくていいわ。


「とにかくあんたには死んでもらうぜ」


 なっ......雰囲気が変わった......冷や汗が止まらないし身体の震えも止まらない......やっぱり凄腕傭兵の名は本物だ。凄えよ。


「いえ、殺されては困りますぞ。殺されたら転職しなければいけません。適度にボコってやる気をへし折り、ろくに仕事もない。暇な状態を維持してくだされ」


「そういえばそういう依頼だったな」


 クソ! 思うように身体が動かないぞ。私の攻撃が当たらない。さっきの言動でいろいろ呆れていたが、こいつはいくつもの勇者を葬ってきた。人間界の視点でいくと魔界の悪魔! 自分とは天と地ほどの力の差がある。自分はこいつに勝てるのか?


「ええい! ちょこまかと動きやがって!」


[バキッ]


 やっと当たった。でも傷は浅いか......


「ほう......なかなかやるな......闇の力を取り込んで無ければ危なかった」


 こいつの言葉を聞いていると頭がおかしくなりそうだ......なんなんだこいつの厨二語録は? 自分の中での英雄像が木っ端微塵に砕け散ったわ。英雄じゃなくて厨二野郎だ。ていうか......


「側近プリケン! なんで必死に止めるかと思えば......そんな理由だったのか!?」


「特にやることの無いお飾りのバカ息子の側近......これで給料が入るんだからたまんねえでそ」


 開き直りやがった!? 顔が急に悪人面してるし完全に本性を表したね。このムカつく顔をなんとかしてやりたい気分だ。


「これが魔王の側近になろうものなら、ブリブリに忙しくなってしまいます。コーヒーの一杯も満足に頂けない労働環境には破滅を!」


 ていうか、なんでこいつ自分がそのまま繰り上がると思ってるの......?


「いやいや、魔王になったらもっと有能なの雇うに決まっているでしょ......」


「なぁ、お前ら最初の喧嘩から黙って聞いてたんだがな......」


 そんなに前から待機してたの!? つまりプリケンに宣言する前からずっと待機していたかことになるけど......控えめに言ってこいつもいろんな意味でヤバそうだ。


「魔王になるか、ならないかと......もしもの話をしやがって......」


「殿下が言い始めたからですな」


「私は魔王になって魔界を変えたい! それの何がいけないんだ!」


 もうツッコミ所満載すぎて当初の目的を忘れかけていたが、自分は魔王になってこの腐った世界を変えたいんだ。たとえ魔界の英雄や厨二野郎が自分の邪魔をしたとしても、自分の夢は砕けることは無い! あれ? 厨二野郎の殺気が消えた?


「そうか......それじゃあ、私が介入するべき問題では無いな」


 え? どういうこと?


「はああああ!?」


「傭兵さん?」


「私はグリル。闇に愛され闇を取り込んだ男」


 おっおう......そうか。なんか急に戦闘中止してきた。グリルって奴。


「まっ待つでそ! 何を言って......」


「悪いが、この話は無かったことにさせてもらう」


「いやそんな......金はたっぷり払うでそ!」


「闇が告げている......混沌した世界......さらば!」


「ああああああ!!?」


......なんだったんだあいつ......


「もう反乱できる力がないでそ......」


「待て! 同胞! 魔王様はまだ健在! まだまだ安泰ですぞ」


「そうでそ! 殿下には魔王様を押しのける力がない! これでそ!」


 まあ......いいか! 私は魔王になって魔界を変えたい! それだけは変わらない!


 でも...魔王になるにはまだ先になるかのかな。100年かぁ.....本当に嫌になるくらいに長い。この先どうなるんだろう。




[一方その頃、魔界の何処か]


「あいつ...魔界を変えたいか......おもしろい! あいつならきっと......ん? あいつは......」


「魔王! 覚悟しろよ! この勇者様が葬ってやる!」


「ククク......ハッハッハ! なんてタイミングだ! 運命を感じる! 私はあいつを気にいった!」


 ◇◇◇◇◇◇

 次回に続く

新章入ります!

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― 新着の感想 ―
[一言] 興味深く拝読させていただきました。 あふれ出るイメージとお話、そして浮かんだお話の、自身でも次が知りたいと、次の展開が知りたいと、楽しく活き活きと書かれているさまが目に浮かぶようです。活気と…
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