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幕間(3) マスター

プリケン視点


 *過去一長くなってしまったことお詫び申し上げます。(いつもは1000〜2000字前後)


 *もう一つお詫び。今回の話は最高に意味不明です。正直自分でもよく分かっていません。(38.0度の風邪の中書いていたので......)それでもよければどうぞ!

「マスター! ヒック......もう一杯!」


「おっ! 僕にもそれを下さい!」


「はいよ!」


 我々の金がぁぁぁ! 我々の金そのものがぁぁぁ! こんなことなら酒場に連れて行かなきゃよかったでそ! チクショー! さっき必要経費が必要だと納得してしまった私をぶん殴りたいでそーー!




[それは数時間前の事]


 まずは、ルチア殿に手紙を渡しました。次は......ルシフェル殿にしましょうかな。すぐ近くですし、あの殿下と同じ世間知らずだし、金を絞り取れそうですしな!


 よし! ここで合ってますかな? 何故か城がボロボロなんですか......何か嫌な予感を感じますぞ。背筋が凍りつくような感覚を覚えます。


 そもそもこの城、人いるのですか? 少しだけ、覗いてみましょう。


「滅びろーー! 世界よ滅びろーー!」


 グリル殿が物騒な事を口ずさみながら魔法陣らしきものを描いてるでそ!? 城の内部は荒廃しているでそ。


「中央に魔人様の依代を。その周辺にあのお方の封印されし神器を置きまくる!」


 なんかヤバイことはしてなさそうだけど、ヤバ()な事をしてますぞ!? あのお方って誰なんでしょうか?


「そして......セッティングが終わったら......ウォォォォイヤァァァァァ! 日が沈み昼と夜が交わる逢魔(おうま)時から日没まで祈り続けるぞぉぉぉ!」


 ヤバイです。グリル殿がとち狂いましたぞ!? なんなんですか、この儀式は!? この一ヶ月の間にグリル殿の身に何が起きていたのですかーー!?


「ヤァぁぁぁぁぁ! この城に封印されし邪神ゴルゴン様ぁぁぁ! どうかここに復活されて世界を滅ぼしたまえぇえええ!」


 こっ、ここは危険でそ! グリル殿の件は少し保留として、先にルシフェル殿に伝えていきますか! あそこまでは少し遠いですが......金を搾り取れば対等でしょう! 早速向かいます!




[一時間後]


 ここは本当に何もないですな。強いて言えば、海っぽい湖が広がっているだけでそ。後で釣りを楽しむのもいいかもしれません。


 おっ、見えてきました。同胞の情報によりますと、ここにいるらしいですが......黄金に輝く城がそびえ立っていますな。なんて悪趣味な。堂々とルシフェル殿の権力を見せびらかしていますでそ。その金分けて欲しいでそ。


 ここはルチア殿のように正面突破しようとも考えましたが、ルシフェル殿の他に誰かいるようでそ。少し様子を伺ってみるでそ。


「フフフ......アンタぐらいだよ。まさか俺様にクーデターを提案してくるとはね」


「第一王子の誇り高きダンテ様。この天使は貴方様に魔王になっていただけたく存じます! あの魔王はどうもダメらしいので......」


 つまり()()()とルシフェル殿のクーデターの密会をしているのですか。まさかこの世に殿下に歯向かう輩が現れるとはでそ。こんな無謀な事をルシフェル殿が計画するとは......。


 第一王子殿も落ちましたな〜。まあ......あの敗北者の事情は何も知らないですがな。もう少し様子を見てみますか。


「やはりあの弟には魔王は荷が重すぎたわけか......フフ。そりゃあそうだろうな、おい。あんな父上の遊び相手の子が魔王なんてできるわけないもんな。キサマもそう思うだろう? なあ、天使よ」


「そうそう! 前魔王様も大変ですね〜はい。遊び相手の子がまさか魔王になるなんてね。それよりも例のブツをくださいよ! もちろんこの提案をしたんだったらあるんですよね?」


 そういえば殿下は前魔王様の子でも遊び相手の子の身分でしたな。それで前魔王様の子にもかかわらず低い身分だったとかなんとか。大分昔に殿下に教えられましたな。


 そんな事はどうでもよくて『例のブツ』について詳しく聞かさせてもらおうか! あれは......どこからか敗北者が箱を出してきて、開けました! 中には......なんか箱が入ってますな。その箱を開けると中には......また箱が入ってますぞ!?


 なんですか!? このテンプレみたいな展開は!? 我々一族をおちょくっているのですか? まあ、今この話を盗み聞きしているのは私だけですがな!


 ルシフェル殿も苛立ちが隠せてないですな。指を鳴らしております。あっ! 敗北者がまた箱を開けました! ほほう......! 地図らしき紙が見えていますぞ!


 それを敗北者が取り出して、ヤバイでそ!? ()()()が外に出る気ですな!? おっ! 私でもちょうどいいぐらいに隠れれる草むらを発見しましたぞ! 少し身を潜めますか。


「あの! 焦らしも大概にしろよ!? 僕はアンタの側に付くとは言ったが、クーデターの賛同はまだしてないからな! もし、例のブツがしょうもなかったら......分かっているよね?」


 ルシフェル殿。この言動、あの要求、自称天使にあるまじき行為だと私は思うのですが? 天使は天使でも堕天使でそ。 いや、堕天使ですな。間違いなく。


「せっかちな奴だ。まあもう少し待て。今、地図の通りに動いているからよ」


 ()()()は意味不明な行動を始めましたでそ。ある時には敗北者が見事な宙返りを決め、ある時には堕天使と共に変な曲に合わせて踊り始めるなど、言い出したらキリがないくらいでそ。この行動に果たして意味はあるのでしょうか?


 いい加減ヤバイですぞ。堕天使の頭から湯気が湧き出ています。それはそうと、そろそろ私も本格的に限界を迎えてしまいました。敗北者が宝箱を取り出した瞬間を狙って、奇襲をかけてやりましょうか?


 はっ! そうこう考えている内に敗北者が土を掘り始めましたな! 長かったでそ。あの堕天使さえも、怒る気力が無い様子ですな。


「やっと終わる。当初の目的ってなんだっけ?」




[数分後]


 なんという事でしょう。誇り高き我ら一族の1人である、私ことプリケン様が敗北者如きに捕まってしまいましたぞ。不覚でした。まさか私が隠れていた草むらが、ただのつむじ風で全て吹き飛ぶとは......魔界の土の(れつ)(あく)さを再確認できた瞬間でしたな。


「こいつは......あの意味不明な生態をしているキモい一族の1人じゃないか! あの現魔王と繋がっていて、僕たちを苦しめている......」


「なんと!? 見損ないましたぞ! ルシフェル殿! 我々がいつ、どこで、苦しめたと? そもそも我ら一族は何もしていません。全て殿下の所業でそ」


「ほう......」


「そうでそ! こうなったのも全て殿下が悪いのでそ! 今頃になって殺意が湧いてきました。私もこのクーデターに参加させて頂きたいのでそ! 絶対に情報は漏らしたりしません」


「ふむ......スパイまがいな行動をしておいて都合のいい奴だな」


 うるせぇぇぇぇぇ! それはそれ。これはこれでそ! 我は強い奴の味方でそ!


 今、私の心変わりが起こりました。やはり殿下は使えるだけ使って、使えなくなったらポイ。殿下......なんなら同胞も必要ないですぞ。殿下の軍門に降った者には死を! そして皆さんと共に新たな魔界を創るでそ!


「不思議な生命体だ。グニョグニョしてて気持ち悪い」


「よく見てみたらこいつ魔王の超側近だ!? もうこの作戦が勘付かれてしまったのか?」


 ヤバイですぞ。いろいろ流れが悪すぎます。このままじゃ殺されてしまいますぞ。強制的に話を逸らしてこの状況を打破するしかないでそ!


「敗北......ダンテ殿! 話は最初から聞かさせて頂きましたぞ! 何やら宝箱があるとか無いとか......アレはどうしたのですかな?」


「......最初からここに居たのか。でも宝箱なんて一言も言ってないのだが?」


「本当に神出鬼没な奴だよ、このスライムは。僕も結構周りを警戒しながら話を進めていたのにな」


「はあ......仕方ない。いいか? 今から『例のブツ』を掘り起こすが、決して驚くんじゃねぇぞ。でもその前に......バインド!」


 はえ? ギャア!? いきなり私を縛りあげて何をするのですか!?


「変な事されると面倒だからな。すこしの間だけこうしておく」


 いやでも、私スライムだからこんな縄ぐらいすぐに抜けれるのですがな。その事は黙っておきましょうか。


「あった。これだ!」


 なんと地中から掘り起こされたのは、宝箱でも金銀財宝でもなく、ただのチンケな卵でした。じゃないでそぉぉぉぉぉぉ!? 例のブツがこれですか!?


「フッフッフ......流石は俺様だ。わざわざ地図まで作って隠したかいがあったぜ。これさえあれば魔界征服もあと一歩になる! よく誰にも見つからなかったと俺を褒めてやりたい」


 この卵如きにいったい何が出来ると言うんですかな? 本当にクーデターをする気なんでそ? まさかですかな? いや、流石に他の策があるでしょう。この卵作戦は無謀すぎますからな。殿下はこんな子供騙しには屈しませぬ。


「ダンテ様! この卵どうするんすか? 食べるんですか? ならスクランブルエッグがいいなあ! 好きな料理トップ10に入ってくるんだよね」


「食うわけないだろうが! なんでわざわざ苦労して掘り起こした卵を食わなきゃいけない。この天使(笑)は脳味噌が溶けているのか?」


 また醜い暴言を吐いていますな。第一王子時代はそんな事は無かったはずなんですが、何があったのでしょうかな?


「とにかく! この卵は明日の朝に孵化する予定だ。孵化したタイミングでクーデターをする予定だからそれまでどうしようか......」


「ダンテ様! 前祝杯をしませんか? ほら、貴方様が魔王になる祝杯祭ですよ! 僕、近くにいい店を知っているんで行きましょうよ!」


 あれ? いつのまにか私のことほったらかして話が進んでいますな。まあ話の展開が早すぎて発言する間も無かったわけなんですがな。てか、完全に私のこと忘れていませんか? これはマズいですぞ。


「おいでそ! 誰か忘れちゃいませんか?」


「まだこいつ居たのか。さて、こいつの処遇どうしようか」


「待って話を聞くでそ! その処遇については天使殿が言っていた店に行ってから話すでそ」


「なんでこいつ、クーデター仲間気取りをしてるんだ? そもそもこいつを仲間に加えたわけじゃないんだが......図々しいにも程があるだろう。なあ天使よ」


「ぐぬぬ......頭が硬い奴らですな! 仕方ないでそ。私が持っている全ての情報をアンタらに教えてやるでそ。もちろん金は貰いますがな」


 殿下、仕方ないでそ。私もいろいろ不満が溜まっていましたからな。今はっきりと決めました。私は殿下を魔王の座から引きずり下ろし、働かずに金が貰える理想郷を建国するでそ。きっと同胞も賛同してくれるに違いありませんな。ククク......




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 そんな感じで店に行く事になったプリケン一行。(どんな感じだよ)今回行く事になった店とは、どうやらルシフェル行きつけの居酒屋らしい。さてさて、プリケンはどうなったのかな?

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 なんとかここまで対処してきた神対応プリケン様でしたが、最悪の事態になっていますでそ。なんと私がこの店の支払い担当になってしまいましたでそ。ぐぬぬ......クーデター仲間に入るための、いわゆる必要経費と言うわけですか! どうか食べすぎないでくださいな。


「マスター! ヒック......もう一杯」


「おっ! 僕にもそれを下さい!」


「はいよ!」


[以下冒頭に戻る事になる]




 店に着いてから我々はクーデターの件を話しておりません。それにしても凄い食欲でそ。そもそもこんな店、私は知らないのですが......魔王城周辺でもそんな店はありません。あるのはただの荒野でそ。


 この卵が一応、クーデターのキーパーソンになるんですかな? なんでこんな卵が......まさか、この卵の中身が!? いやまさかですな。考えすぎでそ。


「ダンテ様! 反乱は早い方がいいと聞くし、明日やりましょうよ!」


「そうだな。うむ。スライムも金払ったら帰っていいぞ。明日の集合場所はここで! 明日が楽しみだ!」


 は? わざわざ店まで付いてきてやったのに、クーデターの作戦一つも語らずにお開きですか!? こいつら計画性の欠けらもないでそ。確かにクーデターに参加するとは言ったものの、本当に大丈夫なんでしょうか? ()()()に何か策があると信じて明日を待つしかありませんのですかな。


 今日はもう寝て明日に備えるでそ。あれ? そういえば何か重大な事を忘れている気がするのですが......いや、もう終わった事でそ。もう寝ようでそ。


◇◇◇◇◇◇◇

次回に続く

 幕間が長くなってしまった事を謝罪していく〜! 1人1人のキャラが濃すぎるのが悪い!(責任転換)


 疲れた。もし良かったらブクマお願いします。

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