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幕間(1) 魔王の一日

幕間(1)クリス視点


幕間(2)ルチア視点


幕間(3)プリケン視点


 そんな感じでお送りします。

 四天王達が地方を統治し始めてから一ヶ月が過ぎたようだが、みんな頑張ってるかな? 昨日、プリケン隠密部隊(勝手にそう呼んでる)から情報が追加されたから、さっそく四天王達の状況を読み解いていこう。


 まず、天使! 地方に出向いた理由はなんだったのか? マジで驚くほど何もしていないらしいな! 領主らしいことしたりせずに、一部の噂では賄賂に手を出しているらしい。典型的なダメ領主じゃねぇか! 前から気になってたけど、お前本当に天使か? 自称天使なのかな? 天使は天使でも堕天使のほうなんじゃないかと最近は思い始めた。


 次に、ルチア! 当初は気合を入れて改革をしていたが、どういうわけか最近は音沙汰がなくなってきている。あいつら大丈夫か? 情報が入ってこないからよく分からないけど......多分、魔界の洗礼を受けてしまったんやろなぁ......


 最後に、厨二野郎! 以下略! 全く四天王と同じ状況! 確か、あいつ魔王城を去る際に『我が力......全てを解放し、軟弱な世の中を変えてやろう! アーーハッハッハ!』と意気込んでいった結果がこれだよ......


 ウーーン......やっぱり四天王たちにはこの魔界を任せるのは荷が重かったかな......そりゃそうだ。素人がいきなり統治してくれと言われたら誰だってこうなるよね。とりあえず明日でも魔王城に集めて会議でもするか。


「殿下! 朝食の準備が終わりましたぞ!」


「おう。今行く!」




[数時間後]


 四天王達が地方を統治してくれてるおかげである程度時間に余裕が出来た。その空いた時間で自分は鍛錬を積んでいる。


「我ら一族でパーティですぞ! ヒャッハー!」


「超側近もなかなか悪くないですな! 最近はあんまり働かなくていいですし、その割に給料がいいですからな!」


 自分ははっきり言って弱い。でも自分は魔王。だから人一倍頑張らなきゃいけないんだ!


「それにしても殿下は今日もやっていますな。わざわざトレーニングルームや重力部屋を我らに作らせてまでやる必要はあるのですかな?」


「ほっときなかれ。同胞よ。多分あれは一種の病気でそ」


 やっぱり重力が重い......よくプリケンはこんなのを作ったよ。値段が高くついただけある。よし、次は重力10倍だ!




[数分後]


「殿下! 昼食の準備ができましたぞ! 早く出てきてくだされ!」


 もうこんな時間か......ふう。疲れた。


「はいよ。今行く!」


 この1ヶ月頑張って身体を鍛えているが、少しずつだけど手ごたえを感じてきている。10倍の重力にも耐えれるようになってきたし。昼食を食べたら魔王のお仕事にとりかかるか。




[さらに数分後]


「奥さん。この殿下の教育がなってありませんでそ」


「やっぱり殿下はとことん魔族らしくないでそ」


 今日のお客さんの依頼は......『オーク達が我らを襲ってくる!? 助けて! 魔王様!』『食べ物がなくて明日にも餓死しそうです。助けてくれ、魔王様......』『やっぱり仕事が少なくて責任も無く、その上金がたんまり貰える部署に行きたいでそ! 助けでそ!』この3つか......


 まずは最初の件。オークは言葉が通じないんだよなぁ......前に超側近プリケンが言ってた異種族コミニケーションができない、の言葉を具現化したような奴らだ。まさか自分が討伐しなきゃいけないの!? この案件。四天王の他に自警団でも新たに作ろうかな......人間界の自警団を参考にすればなんとか作れるかも?


 次の案件は......。食べ物が無いか......。この魔王城やその周辺はまだマシな方だけど、やっぱり食料不足が深刻だな。と言っても、プリケン曰く魔族は農作業とかそういうの好まないって言ってるしなぁ......。なんか画期的な方法が有ればいいのに......


 最後は......捨ててもいい案件だな。うん。これを送りつけた奴の確証は持てないけど、多分どこぞのスライムだろう。それよりまだまだ案件があるから、そっちを片付けよう。




[時は夕暮れ]


 それにしても大半が『食料がない』や、『魔王を辞めろ』とか、ヤバイな......自分が予想してたより魔族の不満が高まっている。仕方ない、温めていた政策を発表するか!


「超側近プリケン!」


「あ? 今一族を増やしている途中なのでそ! 殿下はこの部屋に近づくんじゃねえでそ! 皆さーーん儀式の準備でそ!」


「でそ!」


「でそ!」


[バタン!]


 この部屋で何が行われているんだ!? ちょっと気になるんですけど......。まあいい、プリケン達に邪魔されないだけいいとしよう。


 この政策は......まずは魔王城周辺の領土で様子を見てから、魔界全体に実行するか......。割とリスクがでかいからな。


「今日からこの領土は人身売買全面禁止だ!」




[夜]


「なぁ、超側近プリケンよ」


「どうなされましたか? 今日とんでもない政策を発表して魔族達に袋叩き(言葉の)にあった殿下」


 やはりこの政策は反発がデカかった。売り手からしたら貴重な収益を禁止にされるからな。この反応は想定内。でも、こんなふざけた制度は今すぐに廃止しなきゃ、負の連鎖は断ち切れない。


 その政策はどんなに反発受けようとも、やめる気はさらさらない。無いんだけど、ちょっと気になった事があるんだよね。


「異種族間コミニケーションを取れる魔族はさ、みんな共通点があるんだよね。1つ目は人間の言葉が分かる。2つ目は顔や身体が凄く人間っぽい。これって、なんか関係あるのかな?」


「我々は身体ないのですが......」


「例外がいたわ」


「それで、殿下は何がいいたいんですかな?」


 一日中人身売買の被害者について調べていて気づいた事がある。


「本題に入るけど、人身売買されやすい傾向にあるのは、さっき言った魔族達なんだよね。なんでだろう?」


 コミニケーションが取れない魔族は人身売買されなくてコミニケーションできる魔族が狙われやすい。コミニケーション取れなかったら何かと不便なのかな?


「殿下! そりゃあ、コミニケーション取れなかったら奴隷として使えませんし、オークとかスケルトンとか、誰が奴隷として買うのか、て話でそ」


 まあな......奴隷だよね。


「顔や身体が人間っぽい発言は、ただの殿下の偏見だと思うんですが......まあ狙われるのは大体美男美女の人間っぽい魔族ですな」


 なるほど......よく分からん! ウーーん。まあ......この政策効果あればいいな.......


「もういいや。明日に備えて寝よう」


◇◇◇◇◇◇

次回に続く

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