21話 再び登場
[プリケン一族休暇2日目]
「ジャンケンに負けてしまったせいで、殿下の護衛をやる羽目になってしまったでそ。そもそも殿下に護衛なんているんですかな? 私も休みたかったでそ....。殿下、ただいま帰りましたぞ!」
「プリケエエエエン! 助けてくれぇええ!」
「どっどうしましたかな?」
「落ち着いて聞いてアババババ!?」
あれ? 急に視界が......
「殿下ぁああああ!?」
[数分後]
「ウギャーアアア!? 魔界の危機ですぞ! 世界の危機ですぞ! 一族の危機ですぞ!」
そりゃあこんなの話したらそうなるよね。だって今回は魔界の存亡がかかっているんだもん。自分も最初聞いたときは心が折れかけた。
「こうなっては仕方ありません。逃亡の準備でそ! 遠く離れた場所に行って隠居生活でそ!」
「超側近プリケン! 魔王を置いて逃げようとするんじゃねぇ! 一緒に打開策を考えるんだよ!」
私だって可能な事なら逃げてしまいたいけど、厨二野郎が言うには魔族皆殺しとかなんとか。厨二野郎の言葉が本当なら、1ヶ月で500万稼げなかったら終わりだ。
「そうだ! (プリケンネットワーク)を使ってギャンブルやバカンスに行ってるプリケン達に意識共有出来ないか?」
「無理です。我が同胞は楽しみを邪魔されるとすぐに怒り出すでそ。休暇は全力で楽しむ一族なんでそ」
何言ってんだ! 緊急事態なんだよ?
「最悪怒り出してもいいから繋げてくれないか? 緊急事態なんだからさ」
「しょうがないですなぁ...(プリケンネットワーク!)」
おお...なんだ? 空間が歪んで...うわぁああああ!?
[ドーーン!]
「......あれ? 何も起きない?」
[失敗しました。失敗しました。失敗しました。失敗しました。失敗しました。失敗しました。失敗しました。失敗しました]
なんだ!? (失敗しました)の文字が空中に浮かび上がってきた...
「ダメでそ! 『我々一族から娯楽を奪うものなら同胞でも容赦しないでそ!』とか言って全く聞く耳持たないでそ!」
ええい! クソが! プリケン一族の助言は期待出来ないか......
仕方ない....これがきっかけで反乱でも起こされたら、もっと状況が悪化する。それだけは避けなくてはいけない。でも.....
「あああ! もうどうすればいいんだよ!」
「そもそもグリル殿が原因かと。あんな子供のフリをした化け物と対峙したのが間違いなんでそ!」
「いやさ.....私は『強そうな雰囲気だけど多分苦戦はしないな』とか思ってたからね。厨二野郎だったら余裕で勝てているぐらいの。マジであの時戦わなくてよかった......」
よくよく考えたらあの子供、オーラを押さえて魔王城にやってきてたのか。多分相当強いんだろうな。
「超側近プリケン」
「どうしました? 私は今逃げる準備をしているのですが.....」
そもそも何処に逃げるんだよ....
「言い忘れてたんだけど2日後に緊急会議をするから」
「はあ....だから魔王の側近は嫌なんでそ....こんな事ならバカンスに行って色々したかったでそ」
はあ....ため息が止まらない。昨日あんなこと言ってしまったけど今更取り消せないよなぁ......
そうだ! 四天王から厨二野郎を外せばいいんだ。そうすればなんとかなるかもしれない! そもそも厨二野郎が全面的に悪い!
「殿下、考え中のところなんですが......」
「どうした? 超側近プリケン」
「プリケンネットワークが今度は2つ潰されました」
は? 2つ?
「プリケン一族が2人やられたってこと?」
「そういうことでそ」
「なんでよ。こんな時になんで?」
「まさか!? この魔王城に子供の仮面を被った化け物が近づいているのですかな!?」
ちょっとまて! いやいやいや。そんなバカな?
[パリーン]
うわぁああああ!? いきなり窓が割れた!?
「こんにちは〜! 魔王様! 再び四天王を探してるって聞いて来てみたよ!」
あいつは四天王候補の....名前まだ聞いてないや。ていうかなんで窓を壊して入ってくるかな? ここは玄関じゃありません!
「ああああああああああああああ!?」
またこの子プリケンを担いで来てるな。ん? 奥にもう1人いる?
「魔王様どうもご無沙汰してます」
「あっはい」
魔界統一トーナメントに居たラフィーナさん? なんでここにいるんだ? あ、ちゃっかりプリケン担いでる。
「また貴様かぁああああ!? 同胞がぁあああ!」
◇◇◇◇◇◇
次回に続く




